鉄道の通じていない和歌山県日方の町と、山間部の集落を結ぶ鉄道として大正５年に日方〜野上（後、紀伊野上）が野上軽便鉄道により開業した。
大正１３年にようやく紀勢東線（現、紀勢本線）和歌山〜箕島間が開通し、日方駅の側に日方町（現、海南）駅が開業する。
その後、昭和３年に野上〜生石口（おいしぐち：後、登山口）が開業、同時に社名を野上電気鉄道に改称する。その後さらに４．７Km先の神野市場（こうのいちば）まで建設が進められたが、太平洋戦争の激化により建設が中止、そのまま昭和３６年に免許失効となった。
昭和４０年代になるとモータリゼーションの影響で乗客が激減、昭和４８年に沖野々〜登山口間の部分廃止申請を行うが、同年１２月に勃発したオイルショックの関係で乗客が若干増加したため、国からの補助金による全線存続となる。
しかし、乗客の減少は続き「昼間は車内に自転車持ち込み可能」などの方策を打ち出したが効果は上がらず、平成４年には国からの補助金もうち切られ経営が立ちゆかなくなり、平成６年３月３１日の会社解散と共に廃止された。

　日（乗）　　幡　重　紀　　　　　八　紀　動　龍
　　　連　春　　　　　伊　沖　野　幡　伊　　　光　下　登
　　　絡　日　　　　　阪　野　上　馬　野　　　寺　佐　山
　方　口　前　川　根　井　々　中　場　上　木　前　々　口
　○−○−○−○−○−○−○−○−○−○−○−○−○−○
　ひ　れ　か　は　し　き　お　の　は　き　と　り　し　と
　か　ん　す　た　こ　い　き　か　ち　い　ど　ゅ　も　ざ
　た　ら　が　が　ね　さ　の　み　ま　の　ろ　う　さ　ん
　　　く　ま　わ　　　か　の　な　ん　か　き　こ　さ　ぐ
　　　ぐ　え　　　　　い　　　か　ば　み　　　う　　　ち
　　　ち　　　　　　　　　　　　　ば　　　　まじ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　え

３０年台の軟券乗車券（上段左）と末期の軟券乗車券（上段中央）。上段右は最終日の駅名補充式軟券乗車券。
下段は日方駅に設置されていた自動券売機券で平成４年のもの、地紋は南海電鉄になっておりしかも、自動改札もないのに磁気券である。

動木駅発行の硬券往復乗車券。

車内乗車券。左の物は生石口が昭和３３年に改称される以前のもの。

回数券片のうちの１枚。左は駅名常備式のもの、右は駅名補充式で券番が表にある。