2000年、発眼卵放流レポート

 11月17日に狩野川漁協から約3,000粒のアマゴの発眼卵を入荷しました。平日だったため漁協の孵化器にストックして貰い19日(日)に森村さんの指導のもと藤岡さん、黒岩さん、杉山さん、三枝の5名で発眼卵放流を実施しました。

下写真左:漁協の孵化器に入れられた発眼卵。左端のステンレスのボールに入っているのが我々の約3,000粒の発眼卵。右2つの四角く見えるのが漁協の分。それぞれ10段の孵化ネットに約30,000粒の発眼卵が入っている。

下写真右:発眼卵をイソジンで消毒し、クーラーボックスに氷を入れ湿らせたタオルを敷きネットに入れ運搬。常に湿気のある状態で。

下写真左:現地に到着したらバイバードボックスを埋設するための石拾い。

下写真右:石が集まったところで、使用する器具とバイバードボックス、そして手をイソジンで消毒。

下写真左:消毒したボックスへレンゲにより発眼卵を移す。

下写真右:1個のボックスへ約500個の発眼卵を入れる。

下写真左:場所を選定しボックスを埋設する。シルト(細かい砂粒や泥)がたまらず緩やかな水流がある場所。
集めた石で回りを固定しながら水流も調整し、卵がやや動いている状態にする。動きすぎないように注意。

下写真右:最後に大きな平たい石を蓋として載せる。固定の役目もする。

徳永川で森村さんの指導のもと無事ボックスの埋設が終了し、次は三枝・杉山組と森村・藤岡・黒岩組に分かれ菅引川、地蔵堂川にボックスの埋設に行く。

下写真左:徳永でボックスに発眼卵を入れ、今度はこのような状態で運搬する。

下写真右:先ほどの指導に忠実に埋設。

下写真左:放流終了後、藤岡邸のテラスにてフライフィッシングについて語り合う。あっ、この前に薪割りをみんなで手伝いほとんど握力0の状態。

 11月20日の夕から21日未明にかけ、伊豆地方に大雨警報が発令されるほどの大雨が降りました。21日には杉山さんが徳永川に様子を見に行ったがボックスの確認できず。
 24日には三枝が菅引川と地蔵堂が話に確認に行く。奇跡的に地蔵堂には2個のボックスが残っていた。石の蓋は流されボックスの下段には枯れ葉とシルトが詰まっていたが発眼卵は無事であった。ゴミを掃除しもう一度埋め直す。菅引川では確認が出来なかったが砂防ダム上のプールで、水面より3.5〜4m上の草木に破損したボックス1個が引っ掛かっているのを発見、急激な大雨による増水のすごさを思い知らされる。

下写真右:24日に漁協の発眼卵の様子を見に行く。10数個が孵化し卵の間を時々元気良く動き回る。

下写真左:30日に地蔵堂の様子を見に行く。3分の2が孵化し下のボックスに落ちているのが確認できた。上段にも孵化したばかりと思われるものが卵の間を動くのが確認できる。

下写真右:同じく30日の漁協の様子。ほぼ100%が孵化し元気に動く様子がうかがえた。まだ浮くことは出来ず水底を動くのみ。同時に入荷したのに孵化の状況が異なるのは川と池(湧き水)の水温の差によるものか。

それにしても季節はずれの大雨はとても悔やまれる、、、自然の力ではどうしようもないが、、、

12月15日に漁協の池に観察に行って来ました。孵化した稚魚は孵化器から遊泳槽に移され、自力で浮上できる稚魚については池に落ちるというシステムになってました。

写真下左:ピントがぼけていますが、遊泳槽に移されて玉のように固まって元気よく泳いでいる稚魚たちです。このような固まりが遊泳槽のいたる所にあり、水流をちょっと当てると散りますがすぐにこのような状態になります。
写真下右:青色の水槽が遊泳槽です。自力で浮上できるようになると黄色の部分から下の池に落ちます。奥の黒い水槽は孵化器でまだ孵化していない発眼卵が残されています。

地蔵堂のボックスは上の槽にはほとんど居ず、中を見ようとボックスを動かしたところ、オレンジ色のさいのうが付いた稚魚がボロボロとボックスから逃げ出したのであわてて元に戻し、写真を撮ることが出来ませんでした。

写真下左:池で泳いでいる稚魚たちです。まだ数は少ないです。
写真下右:遊泳槽の出口と池です。浮上した稚魚が黄色い部分からビニールをつたわって池に落ちます。手前のバーの下にも壁があり2回浮上しないと池には落ちません。

この段階でのアマゴは2cmほどですがもうパーマークも確認できます。

1月24日に藤岡さんが漁協の池に観察に行ってくれました。写真から5cmほどには成長したのでしょうか。ハッキリとアマゴの模様が確認できます。(写真:藤岡さん提供)

1998年の2月初旬、ある支流に観察に行ったところ3cmほどのアマゴの群を確認することが出来ました。
ちょうど12月15日に観察したように固まりになっていて手で掬うことも出来ました。
魚の大きさと時期的なものは一般河川と栄養豊富な漁協の池の成長速度の差でしょうか。
その後、地蔵堂のボックスの観察には行けていませんが、今までの経過の中で水温、栄養などの違いが成長に及ぼす影響を観察できればおもしろいと思います。

来年はさらに多くの発眼卵を入荷し、多くのアマゴの泳ぐ豊かな川を育てていきたい。

森村さん、いろいろご指導ありがとうございました。