3日目・全国大会(その1)
朝、空を見上げれば雲ひとつなくカンカンと照りつける太陽があるだけで、肌に触れる空気さえもすでに熱かった。
ボクの「よさこい祭り」は、昨日の「はりまや橋商店街」で終わっていた。本当は、今朝帰る予定だったが、たまたま今夕の全国大会に出場する地元の「粋・イキなかみせ鳴子隊」の代表・田中さんに会ったので、帰りのバスや宿泊するホテルの便乗をお願いしたところ快く承諾をいただけた。おかげで予定外に残留し全国大会を見る事が出来るようになった。

「FUJIYAMA組」の踊り子を駅まで見送った後、一人になったボクは、今日一日はただのギャラリーとして「よさこい祭り」をゆっくりと見物したいと思っていた。
始まりまで、まだだいぶ時間があるので「序の舞」を見た後、帯屋町筋の「ひろめ市場」でラーメンを食べてビールを呑んだ。酒については、元々それほど強い方ではないと思っていたのだが、高知では幾らでも呑めた。暑いので呑んでも呑んでもすぐに汗になって流れ出てしまうせいらしかった。

帯屋町筋をフラフラと歩いていると一昨日お世話になった升形競演場の責任者・神田さんに出会う。帯屋町筋のど真ん中に運営の関係者達が集まり何やら打ち合わせをしているところらしかった。一昨日の「升形」での帰り際は、ゴチャゴチャしていて挨拶もできなかったので、改めて挨拶をして迷惑にならないようにすぐに立ち去ろうとすると、責任者の隣りに居た人を紹介される。
紹介されたその人は、ダボシャツを着ているので祭りの関係者と判るのだが、短パンにスニーカーにウルトラマンサングラス、いたって軽装のその人が、「よさこい祭り競演場連合会」の岡崎会長だった。

会長には、常日頃から何かとご指導いただいているので、「よさこい沼津まつり」に関わっている人ならば、たいがい知っているのだが、ボクはインターネット上やEメールでご意見は伺うものの直接お会いするのは初めてだった。
沼津を発つ時から高知に行くのならお会いしたいとは思っていたのだが、会長からすれば一年で一番忙しい日のハズで、訪ねるのも迷惑になると思い遠慮していた。

会長は、突然現れたボクに迷惑な顔一つ見せず笑顔で「よさこい祭りはどうだ?」と聞かれた。ボクは、湧き出る言葉のまま「スゴイっす!」と答えた。

初日、升形で初めて見た本場の地方車のすごさ!スピーカーを何段にも重ねたその上に足場を作り「煽り」が立つが、テントの中に座っていると上が見えず、地方車の全体を見るために何度もテントから身を乗り出して空を見上げた。

審査員席に向ける踊り子達の真剣な眼差しはボクの目に焼き付いていて、メダルをあげたいと思っていながらタイミングを外して通り過ぎてしまった踊り子の一人一人の顔をハッキリと覚えている
彼女たちの「想い」の深さに答えることの出来なかった自分を、今でもとても後悔している。

振りを合わせるのに一生懸命で何となく頼りなかった「FUJIYAMA組」の踊り子達は、二日間の本番を踊り抜く間に、高知に集まった踊り子達の熱気と観客の声援に育てられ、自分達の想いを留まることなく表現できる、本当に大きな踊りを見せるチームとなった。

高知では、最初に「すごい!」思ったその後に、さらにもっと「スゴイ!」モノが現れ、その後に現れるのは、それよりも更にもっとすごかった。
ボクの「よさこい祭り」を見た感想は「スゴイ」の一言からすべてが始まった。


 駿河屋市辺衛
surugaya@po2.across.or.jp 

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