
全国大会・その2
ひょうひょうと歩き始めた岡崎会長に連なって一緒に歩き始めた。
どこに行く宛もなく歩いているのかと思っていたら、帯屋町筋の北側、追手筋に隣接する追手前小学校まで来るとグラウンドに入っていった。
グラウンドの片隅にはテントが幾つか張られていて、その周りで大勢のボランティアスタッフが忙しく歩き廻っていたり寄り集まって打ち合わせをしたりしている。ボクも片隅に座りその様子を見ていた。
グラウンドの入り口から3人ほどの女の子が入ってきて、自分達をボランティアとして派遣した町名と人数を会長に告げる。会長は、各会場の人員配置の表を見ながら「○○町の給水所に行ってくれ!」と指示を出す。
しばらくして、派遣されたハズのその3人の女の子達が戻ってきた。「現地に行ったら、スタッフが充分に居るので、私達が居ても無駄だと思ったので戻って来ました。」と報告している。会長はすぐさま次の人手不足であろう場所を告げる。
よさこい祭りは、表に見えないところの各々の自覚と責任による地道な活動を重ねた結果としてスムーズな運営がなされている。
全国大会の開始時間も間近にせまり、ボランティアスタッフもそれぞれ所定の位置に着いたようだった。
会長は、また、行く先が有るような、無いような、そんな感じで歩き出してグラウンドを出ると隣接する追手筋競演場に出て、その通りのど真ん中の植え込みに立った。
幅の広い片側2車線、両方向で4車線の追手筋は、その通りの中央が車道を1車線設けられるほどの広さを持つ植え込みで仕切られている。植え込みの両脇から競演場となる通りが西の高知城に向かって延び、通りの外側の歩道には階段状に作られた桟敷席がある。その植え込みから高知城のある方角を見れば、遠く中程に審査員席のやぐらが立ち、それからもっと向こうに表彰式を行う舞台が見える。それから更に、もっと向こうに高知城がそびえ立つ。
追手筋は、全面桟敷席で開始時間まで入場できない。入り口にロープが張られ長い列が出来ている。その列に並んだ人たちがすべて桟敷席に座っても、埋まることのない広い追手筋の中央にボクは居た。これからここで全国大会が始まる。始まれば、また踊りを夢中になって見ている間に、観客席は人で一杯に埋め尽くされているのだろう。この3日間、いつでもそうだった。
東の空に大きな虹が浮かび上がっていた。
もうすぐ始まるという時になって、係員が隣りに居る会長のところに走り寄ってきて「次番の地方車がスタート地点に来てない」と言う。会長は、すぐに待機しているはずの場所に確認しに行くように指示を出す。確認に行った係員は、再び走りながら戻ってきて「スタート地点に向かったらしいが行方が判らない」と報告している。会長からは、「何でも良いから地方車を持って来い!」と指示が出る。
そんな事を言いながらあたふたしていてスタート時間になると地方車はどこからともなく現れた。
そして、何ごともなかったように次番のチームもスタートした。
「よさこい祭り」の期間中、こんな事ばかりだったが実際にトラブルになったのは一度も見なかった。はた目には、スケジュール通りにきちんと進行しているようにしか見えなかっただろう(笑)
そんな風に、全国大会は始まった。
