朝日歌壇入選歌(後藤瑞義)

平成28年8月31日(水)

滝のことだると言うなりそのだるが七か所ありて河津七滝   

(読売新聞静岡版 よみうり文芸 八月三十一日     入選  花山多佳子 選)

平成28年9月14日(水)

泣き上戸と自ら言いて涙拭く友の言葉は心に沁みる   

(読売新聞静岡版 よみうり文芸 九月十四日      入選  花山多佳子 選)

平成28年8月3日(水) 

半年とこともなげに余命言う電話の声は凜としており   

(読売新聞静岡版 よみうり文芸 八月三日     入選  花山多佳子 選)


平成28年8月24日(水)

久々に増水となり乾きたる河原の石の面を洗う

(読売新聞静岡版 よみうり文芸 八月二十四日  入選  花山多佳子 選)

 

平成28年6月29日(水)

連休にレクレーションと都会より田植えに来る子等の声する   

(読売新聞静岡版 よみうり文芸 六月二十九日  入選  花山多佳子 選)

平成28年7月6日(水)

日々卵を産みくれし鶏(とり)ケダモノに食べられたれば小屋のみ残る

(読売新聞静岡版 よみうり文芸 七月六日    秀逸  花山多佳子 選)

(評)毎日、卵を産んでくれた鶏。「ケダモノに食べられた」という言い方が生々しく、

口惜しさが滲む。「小屋のみ残る」にもう姿もない虚ろさが伝わってくる。

平成28年7月13日(水) 

中学へ坂道登る通学路いま栗の花匂いておらん   

(読売新聞 読売歌壇     七月十三日     入選   小池 光 選)
  

平成28年7月20日(水) 

空に向きちいさき花を掲げいるこの草の名をわれは知らざり

(読売新聞静岡版 よみうり文芸 七月二十日  入選  花山多佳子 選)


平成28年6月1日(火)

雪知らず逝きし子なれば雪柳たわわに咲ける枝を供える   

(読売新聞静岡版 よみうり文芸 六月一日  秀逸  花山多佳子 選)

(評)小さいときになくなったお子さん、雪もまだしらなかった。雪のような「雪柳」

に、そのことを思ったのではなかろうか。哀切な抒情性がある。


平成28年6月6日(火)

何事か成し遂げたりというように大の字となり蛙死に居り  

(読売新聞 読売歌壇     六月六日      入選   小池 光 選)  

(評)カエルは時々こんな具合にして死んでいるもの。見事な死にっぷりに思わず感

動。にんげんはこういうふうにはいかない。上句の比喩が堂々としてユーモアたっぷ

り。

平成28年6月15日(火) 

逝きし子の命日四月十五日モンシロチョウの飛び始めたり  

(読売新聞静岡版 よみうり文芸 六月十五日  入選  花山多佳子 選)



平成28年5月11日(火)

言い過ぎを悔む言葉が何回も闇にうごめき寝返りをする

(読売新聞静岡版 よみうり文芸 五月十一日  入選  花山多佳子 選)

平成28年5月18日(火)

道下に木蓮の花咲く家とこの時期わが家はなやぎている    

(読売新聞静岡版 よみうり文芸 五月十八日  入選  花山多佳子 選)

平成28年4月13日(火)

よみうり文芸(静岡版) 花山多佳子選 に入選する

年だから妻は言えどもそのうちに産むよと言いて鶏に餌やる   

(読売新聞静岡版 よみうり文芸 四月十三日   入選  花山多佳子 選)

(評)夫婦のやりとりに味がある。妻のほうは、もう卵は産まない、とあきらめている鶏に夫はまだ

期待しつつ餌をやる。うまくまとめ目に浮かぶようだ。


平成28年3月29日(火)

よみうり文芸(静岡版) 花山多佳子選 に入選する

両眼を入れられダルマ積まれおり節分待てる寺の境内
    

(読売新聞静岡版 よみうり文芸   三月二十九日  入選   花山多佳子 選 )




平成28年3月15日(火)

よみうり文芸(静岡版) 花山多佳子選 に入選する

施設にて正月迎えるわが息子せめてと床屋に連れて行きたり
    

(読売新聞静岡版 よみうり文芸   三月十五日  入選   花山多佳子 選 )


平成28年3月14日(月)読売歌壇 小池 光選 に入選する

まじまじとわれを見つめて幼子がどうして頭に毛がないか問う  下田市 後藤瑞義


平成28年3月8日(火)

よみうり文芸(静岡版) 花山多佳子選 に入選する

木蓮の枝先にはや銀色のしずくのごときつぼみかがやく
    

(読売新聞静岡版 よみうり文芸   三月八日  入選   花山多佳子 選 )



平成28年3月1日(火)

よみうり文芸(静岡版) 花山多佳子選 に秀逸に入選する

孫どもの眠りに付きしひと時よこの安らぎを知らず過ぎにし
    

(読売新聞静岡版 よみうり文芸   三月一日 秀逸    花山多佳子 選 )

(評)子どもが寝付くとほっとする。父親だったときは、このひと時の

思いを知らないで過ぎてきた、という感慨。祖父になって初めて味わう

思いの発見である。



平成28年2月23日(火)

よみうり文芸(静岡版) 花山多佳子選 に入選する

このままで終われないぞというごとくもみじに染まる山の渓谷    

(読売新聞静岡版 よみうり文芸   二月二十三日     花山多佳子 選 )


平成28年2月9日(火)

よみうり文芸(静岡版) 花山多佳子選 に入選する

山茶花の花が根方に積りおり雪には早き霜月の朝    

(読売新聞静岡版 よみうり文芸   二月九日     花山多佳子 選 )

平成27年12月19日(土)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 に入選する

電柵がだんだん高くなってゆくここにも鹿の害が及ぶや    

(読売新聞静岡版 よみうり文芸  十二月十九日     篠   弘 選 )

平成27年12月1日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 秀逸に入選する

ふかぶかと腰折りお辞儀する子らを神事の席に見直している    

(読売新聞静岡版 よみうり文芸  十二月一日  秀逸  篠   弘 選 )

(評)おそらく大人にならって「二拝三拍手一拝」の作法をした子どもたち。

予期しなかった事実に、目を丸くしている作者。



平成27年11月25日(水)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 に入選する

認知症になりたるごときかなしみか今日も一首も作れずにいる

(読売新聞静岡版 よみうり文芸  十一月二十五日    篠   弘 選 )


平成27年11月7日(土)

第二十七回 葉桜短歌賞 佳作 入選

カリュウムが増えると言いて透析の妻干し柿をわが手に返す    後藤瑞義

(第二十七回 葉桜短歌賞  十一月七日  佳作  大口玲子 選 )

(評)「カリュウム」「干し柿」という具体が印象深い。妻の自制心が切ない。

平成27年11月3日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 佳作に入選する

決壊の土手にも群れていしならん怒れるごとく彼岸花咲く    後藤瑞義

(読売新聞静岡版 よみうり文芸  十一月三日  佳作  篠   弘 選 )

(評)鬼怒川の決壊した堤を思いやった一首。目の前に大きく咲く彼岸花

からの着想。「怒れるごとく」の直喩が説得力を持つ。


平成27年10月27日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 佳作に入選する

西空の晩夏の光消え去りて何か終りしごとき静寂    後藤瑞義

(読売新聞静岡版 よみうり文芸  十月二十七日  佳作  篠   弘 選 )

(評)この下の句のドラマチックな寂寥(せきりょう)感の表現が鋭い。いち日の終り

に、このような終末感を味わうこともあろうかと思う。



平成27年10月15日(木)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 に入選する

大の字になりて幼き孫眠るただそれだけの風景なれど

(読売新聞静岡版 よみうり文芸  十月十五日    篠   弘 選 )


平成27年9月29日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 に入選する

ゆったりとその身を風にゆだねつつ炎天に盛る百日紅(サルスベリ)は

(読売新聞静岡版 よみうり文芸  九月八日     篠   弘 選 )


平成27年9月8日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 秀逸に入選する

一声が二声三声うぐいすの声はたちまち山にこだます

(読売新聞静岡版 よみうり文芸  九月八日  秀逸  篠   弘 選 )

(評)単純化された表現が、みごとに迫力をもつ。うぐいすの美しい声に

酔いしれた瞬間をいとおしむ。じつに鮮明な表現。


平成27年9月1日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 に入選する

東京のペースにやはりなじめないエスカレーター駆け下る人

(読売新聞静岡版 よみうり文芸  九月一日  入選  篠   弘 選 )


平成27年8月18日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 に入選する

ブルーベリー今年は採ると早々に防鳥ネットを張りているなり

(読売新聞静岡版 よみうり文芸  八月十八日  入選  篠   弘 選 )


平成27年7月28日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 に入選する

夏草の覆い繁れる休耕地ひときは高く桑の木伸びる

(読売新聞静岡版 よみうり文芸  七月二十八日  入選  篠   弘 選 )


平成27年7月6日(月)読売歌壇 小池 光選 二席に入選する

プルターク英雄伝は本棚に埃にまみれ立ちつくしいる    後藤瑞義

(評)こういう本の数冊、多くの人は持っていることだろう。いまさら読み直す
とも思えない。しかし、捨て切れない。『プルターク英雄伝』という書名がいか
にも生きている。


平成27年6月27日(土)

NHK学園 短歌コンクール平成27年春 佳作に入選する

小走りにナース去りたる長廊下冷たき風が顔にかかれり

平成27年6月23日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 秀逸に入選する

機械化をされし水田変らざる四方の山と空を映せり

(読売新聞静岡版 よみうり文芸  六月二十三日  秀逸  篠   弘 選 )

(評)田植えする直前の「水張田(みはりだ)」。豊作の祈りをこめて見守る美しい水田。

簡潔な描写が、一層明るい心もちをきわだたせる。


平成27年6月16日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 に入選する

かしましき選挙カーさえなつかしき再び過疎の里に帰れり

(読売新聞静岡版 よみうり文芸  六月十六日  入選  篠   弘 選 )

平成27年6月2日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 に入選する

廃屋のトタンの屋根を春風がぱくりぱくりと口開けて吸う

(読売新聞静岡版 よみうり文芸  六月二日  入選  篠   弘 選 )

平成27年5月12日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 秀逸に入選する

天に向き花を開ける白木蓮歌うごとまた訴うるごと

(読売新聞静岡版 よみうり文芸  五月十二日  秀逸  篠   弘 選 )

(評)華やかな白木蓮の開花をとらえた上の句描写が的確。さらに下の句は、いきいき生きたい

己が祈りを喚起するものとなる。

平成27年4月29日(水)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 入選する

老木も梢の先より咲いている夕焼け空にくれないの梅

平成27年4月21日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 入選する

思いきりペタルを踏んで缶潰す施設の息子の激しさを知る

平成27年3月17日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 入選する

家継がぬわれに代わりて弟は継ぎたり父の膵臓癌も

平成27年3月16日(月)

読売歌壇 俵 万智選 に入選する

一生涯知らず過ぎても不便なき伊勢物語今読まんとす


平成27年3月3日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 入選する

透析をつづくる妻がひっそりと食事の後に薬飲みおり


平成27年2月24日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 秀逸に入選する

冬はなぜかくもやさしくなれるのか枯れ草原に立ちて思える

(読売新聞静岡版 よみうり文芸  二月二十四日  秀逸  篠   弘 選 )

(評)この一首背景には、自然の光景との一体感がある。穏やかに休息する草木のいのちを

感じ取っている。簡潔な詠みぶりが魅力。


平成27年2月3日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 佳作に入選する

待ちつづく診察室の壁にある貼紙なども読みつくしたり

(評)ながらく診察を待たされている作者。類歌は多いが、壁に貼られる物を読み尽くしたと嘆くところに、

じつに説得力がある。

平成27年1月23日

平成26年度NHK全国短歌大会 入選

持つところすれている杖昨日よりガードレールに立て掛けてある

大玉のスイカを抱え持ちているまるで命を運ぶごとくに


平成27年1月20日(火)

よみうり文芸(静岡版) 篠  弘選 入選する

廃業のビニールハウス枯れ草のなかに錆びたるフレーム曝す


第6回角川全国短歌大賞(12月25日発表)

田中章義選 題詠(星) 静岡新聞社賞

数知れぬ星をいだいて働ける母のごとしも宇宙というは

平成26年12月18日(木)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

うつむきて歩めるわれを見守るや神の眼のような青空


平成26年12月9日(火)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 秀逸に入選する

報われぬ実を舗装路に散らしいる深き洞(うろ)もつ椎の巨木は

(評)長い樹齢の椎の巨木。実を落とすのは次の命を育むための営みです。しかし
舗装路に落ち車に轢かれる現実はそれを阻む。「深き洞」に虚しさが籠もります。

平成26年12月8日(月)

読売歌壇 栗木京子選 に入選する

十分に落穂啄み足らえるや雀ら羽を透かし飛び立つ  


平成26年12月2日(火)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

透析を始め十年経つ妻よ太き血管今は隠さず


平成26年11月26日(水)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 秀逸に入選する

鬱々(うつうつ)としている我をうつ病と叱るわれありそのわれ愛(いと)し

(評)気分の沈む自分を別の自分が叱り、それをさらに…。自意識まみれながら
自愛の中に心のバランスを取るのは健康な証拠。微妙な心理をよく捉えています。

平成26年11月18日(火)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

土砂降りの雨ふるなかをワイパーが死に物狂いに働いている

平成26年11月11日(火)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

大いなる沈黙がありひと言を言わんとすれば山が噴火す

平成26年11月3日(月)読売歌壇 栗木京子選 一席に入選する

栗の実が豊作なればイノシシも山で足らえているのであろう  

(評)栗の実が豊作で、イノシシに荒される心配がない。安堵しつつ、作者はイノシシに温かい
思いを寄せている。イノシシにも人間にも地球にも豊かな秋であってほしい。

平成26年11月1日(日)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 佳作に入選する

園児らが植えしさくらもうめの木も廃園となり伐り倒さるる

(評)幼稚園(保育園)が廃園になった理由はわかりまでんが、更地になる寂しさが桜や梅の伐採
により察せられます。無駄の無い表現の中に心情が籠もります。

平成26年10月28日(火)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

次つぎと青き信号超えゆくをささやかならざる幸と思いぬ

平成26年10月21日(火)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

雨の日はすべりやすくて葛の花散りたる道をゆっくり歩く

平成26年10月12日(日)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 秀逸に入選する

舗装路の切れ目に生きる場を得たる鶏頭が今花咲かせおり

(評)意外な場所に根を下ろし鶏頭の逞しさに驚き、花までさかせたことに共感を覚える作者。
同じ生きるなら、こうでなければ。励ましを得た心持ちが伝わります。

平成26年10月7日(火)

農業共済新聞 大島史洋選 入選する

夏草の中に錆びたる鉄骨の屋根のみが見ゆビニールハウスの

平成26年9月30日(火)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

上空の寒気と地上の熱気とがぶつかり合いて雷鳴しきり

平成26年9月23日(火)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

一日の命遂げると開きたるむくげの花芯赤色を帯ぶ

平成26年9月10日(水)

農業共済新聞 大島史洋選 入選する

獣(けだもの)にスイカ畑は赤き花咲きたるごとく荒らされている

平成26年9月2日(火)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

陽の光避けて日陰に入るとき影なるわれの姿消えたり

平成26年8月26日(火)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

俺のごと生きてみろよと真っ直ぐに空に伸びゆく一本の杉

平成26年8月16日(土)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

くちなしのあまく匂える裏庭へ口きけぬ子がわれを誘う

(評)口をきけないから「くちなし」と語呂合わせすると歌意を損ねる、濃厚な香りの花が

裏庭にありその秘密めいた事実を共有するところに陰影があるのです。

平成26年8月12日(火)


よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

過疎化する村より来たるバスツアー今渋滞の高速におり

平成26年7月29日(火)


よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

白髪の翁のような栗の花青くさき香を宙にふりまく

角川雑誌「短歌」八月月号(7月25日) 公募短歌館秀逸入選 

 有難うございます。

十五分おきに手動で湯を揚げる湿りて寒き地下機械室

(雑誌「短歌」平成二十六年八月号公募短歌館  秀逸   春日真木子 選)

 ()地下機械室での職場詠。操作は湯揚げなのに「湿りて寒き」、この感覚が現実の厳しさを伝える。

水滴の音する地下の機械室本を読みつつ心静まる

(雑誌「短歌」平成二十六年八月号公募短歌館  秀逸   田宮朋子 選)

 ()地下の機械室で働く作者。時間をおいての作業で、本を読むのはその合間である。地下という場所が特殊で、水滴の音により静かさが際だっ

た。

平成26年7月20日(日)


よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

足元にくぐまりているわが影よ小心ものの己れのように

平成26年7月15日(日)


よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

小さき葉をあまた茂らせはこべらが主(あるじ)病み臥す畑を覆う

平成26年7月1日(火)


よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

荒草が白き小花を咲かせおり草刈り前のひと時しずか

平成26年6月15日(日)


よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

隣地区の老人会は消滅しわれらはいきいき会と名付ける

平成26年6月10日(火)


よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

待つの字が持つとミスプリされているそうだ待つより持つ方がいい

平成26年6月3日(火)


よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

いっぱいに手を広げおる八つ手の葉生きてやるぞと言わんばかりに

平成26年5月20日(火)


よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する
 
たましいはちょうちょとなりてただよえりチューリップ挿す墓は子の墓

角川雑誌「短歌」五月号(5月25日) 公募短歌館佳作入選 

 
滾ちつつ流るる川の瀬の音にいつしかこころ鎮まりており

 

(雑誌「短歌」平成二十六年五月号公募短歌館  佳作   秋山佐和子 選)

平成26年5月13日(火)


よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する


風に揺れわいわいがやがや騒いでるつくしん坊は今伸び盛り

平成26年4月22日(火)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

新潟の友にもらいし福寿草伊豆のわが庭に満開となる

平成26年4月8日(火)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

入選 日の光両手ですくうごとくして花弁を開く福寿草の花

平成26年4月1日(火)

よみうり文芸(静岡版) 松平盟子選 入選する

秀逸 白き息吐き散歩する霜の道呼吸が出来る生かされている

(評)冷たく空気が張り詰めた朝なのでしょう。普段は意識をしないけれど、この世に生かされている証の呼吸を自分がしている。白い息が愛おしいですね。 

  平成26年3月24日(月)

読売歌壇 小池 光選 入選する

凍えたるわれの心もゆるびたり浅田真央さん今日ありがとう 

平成26年1月18日

平成25年度NHK全国短歌大会 入選

生きがたき子を東京に置き去りに新幹線はわれを連れ去る

平成25年12月30日(月)

読売歌壇 小池 光選 入選する

有難うございました。

顔くずれ石に近づく地蔵様すべてを容るるごとく立ちおり


第5回角川全国短歌大賞(12月25日発表)

佐佐木幸綱選 佳作

大空を亡き子よ駆けよラグビーのボールのような月が出ている


NHK平成25年秋 短歌コンクール(12月20日)

佳作 大きなる口を開きて椎の木が秋の祭りを待ちかねている



角川雑誌「短歌」十月号(9月25日) 公募短歌館秀逸入選 

 有難うございます。

濁流となりたる波が方舟を早よう造れと言わんばかりぞ

(雑誌「短歌」平成二十五年十月号公募短歌館  秀逸   内藤 明 選)

 ()なにか今の時代を言い当てているような一首。方舟で生き延びていく先はあるのだろうか。

雑誌「短歌」平成25年10月号(9月25日) 題詠「硝子」入選

有難うございます。

題詠「硝子」を詠う   志垣澄幸選

入選  施設より帰りたる子は硝子戸を開け網戸あけ雨を見ている 

  

角川雑誌「短歌」九月号(8月25日) 公募短歌館佳作入選 

 有難うございます。

 

志ん生の録音盤に聞えくる昔の人がよく笑う声

 

(雑誌「短歌」平成二十五年九月号公募短歌館  佳作   古谷智子 選)

 

(雑誌「短歌」平成二十五年九月号公募短歌館  佳作   佐伯裕子 選)

 

平成25年8月13日(火)

読売歌壇 小池 光選 入選する

有難うございました。

・ 奥さんが半身不随になりしこと友は明るく語り帰りぬ


NHK平成25年春 短歌コンクール

秀作 施設への門を入るを拒む子よつらきは父のわれも同じぞ

平成25年7月1日(月)読売歌壇 岡野弘彦選 入選する

有難うございました。

.・ 拾いたるわが児の骨よ紫の色にそまるは出血のため  

角川書店:雑誌「短歌」平成25年7月号(6月25日)

公募短歌館 坂井修一選

佳作  施錠をしマスクも掛けて用心すこれが社会の進歩だろうか 
  

平成25年6月24日(月)読売歌壇 栗木京子選 入選する

有難うございました。

・ 幾筋も茜に染まる雲の帯やさしき人の思い出に似る  


平成25年6月11日(火)読売歌壇 岡野弘彦選 入選する

 太古よりかはらぬ光てり映えて水を張りたる田の面(も)しづけし  


雑誌「短歌」平成25年6月号(5月25日)

題詠「雲」を詠う   林田恒浩選

入選  日をつつみ黄金となりて浮びおり亡き子に似たるひとひらの雲   


平成25年5月13日(月)読売歌壇 小池 光選 入選する

「回覧板」大きな声で返事待つ独り暮らしの人の返事を  

第4回角川全国短歌大賞

岡井 隆選 佳作 ・ 馬場あき子選 佳作

子を託し養護施設を出ずるとき解放されたる哀しみぞ湧く

平成25年4月22日(月)読売歌壇 小池 光選 三席に入選する

ようやくに殻を破りて産まれたるひよこのような白き木蓮  

(評)ひよこのようなという比喩がカクモクレンの花をうまくいいおおせている。木にいっぱいの春のひよこたち。

平成25年2月25日(月)読売歌壇 小池 光選 入選する

手袋をどこに置いたか探しおり霧たちこめるごとく思いて

平成25年2月18日読売歌壇 岡野弘彦選3席入選する

一回は読んでもらえるしあわせよ載る載らざるをわれは思わず


(評)投稿の心をこんな風に歌われると思わず粛然として、投稿者と

選者の間にかよう思いを考えさせられる。

平成24年12月24日読売歌壇 俵 万智選2席入選する

書店にて心のなごむわれのごと妻は買物しているだろう


(評)妻の買い物の喜びが、今一つわからないのだろう。自分にとっての書店

の時間なのだという想像力。暖かいなと思う。

平成24年10月8日読売歌壇 小池 光選に入選する

新しき時代は来るや黒船に模せる遊覧船が近づく

平成24年5月28日読売歌壇 栗木京子選1席入選する

花飛びて茎のみ並ぶチューリップ健一郎の命日となる

(評)初句は「花散りて」でなく「花飛び」なので、強風に一気に花弁がとばされた

のかもしれない。健一郎は作者の肉親であろうか。上の句と下の句が深く響き

合う一首。

平成24年1月26日賞状が郵送されてきた。

平成23年度NHK全国短歌大会 秀作入選

篠  弘選 秀作 佐伯裕子選 秀作

「叫び」の絵の耳をふさぐはしばしばもわが子施設の子らの仕草ぞ

その他入選作

カラムシの裏葉を返し吹かるるは光のごとし黙礼をする

平成23年1月23日

平成22年度NHK全国短歌大会 入選

殺処分される牛豚われの住む伊豆半島の人口越える

伊藤一彦選 秀作

明け方の白む空気の有難さ今日の最後の巡回終る  題詠「明」

佐佐木幸綱選 秀作  小島ゆかり選 佳作

平成21年8月25日

第52回「短歌研究新人賞(30首詠)」 佳作

ひたむきに浅瀬にむいて石投げる今年二十五歳の三郎

熱下がり施設にもどる三郎の長く伸びたる髭剃りてやる

歯を磨かず顔も洗わず三郎は清潔でない誠実なんだ

三郎は施設に妻は透析にわれは会社に生きる場を持つ

三郎と二人でドライブするときにドラマのような沈黙がある 

平成21年3月11日

第一回 角川全国短歌大会 

岡井 隆選 (秀逸)

日本(にっぽん)の歌は縦書き真直ぐに心に垂るる大瀧のごと

平成19年5月20日

2007年度「啄木コンクール」(20首詠)入賞

今年度は受賞者該当なし、佳作2編でした。
佳作「午後の教室」  相澤寿美子(宮城)
佳作「夜警」       後藤瑞義 (静岡)

「夜警」  後藤瑞義(人徳)

いっぱいに鋏をひらき沢蟹の道を横切る身構えあわれ

通勤の群れ歩みいていつしらに職なきわれはひとり遅れる

職の無き昼は炬燵に大の字となりて天井しばし眺める

仰向けに炬燵に入りガラス戸を移りゆく雲眺めていたり

癖を持つ鍵の施錠もいつしかに慣れたり夜警の職を得しいま

白みゆく外の空気を吸いにけり今日の最後の巡回を終え

無事夜警終えて制服脱ぐときのこの幸いを知らず過ぎたり

夜警という小さき営為に生きゆかん平和を守ると人には言わねど

暗闇に向かいて行かな夜警われ懐中電灯一つ携え

夜警するわれを労りくるるごと木犀匂う暗きところに

外周を巡回するに星空に向け懐中電灯照らす

ひと本の光の柱立ちにけり懐中電灯空に向くとき

月読みのさやけきなかを巡回す鯉飛び跳ねる池などもあり

月読みの満つる夜なれば夜警われ懐中電灯消し巡回す

犬のごと嗅ぎて歩めと教えらる夜間警備の心得として

深ぶかと夜警のわれに会釈して若きコンパニオン闇に消え行く

灯すなく今日を終えたる客室の闇に懐中電灯向ける

事なきを当然などと思うまじ夜警となりて思い至れり

月のなき夜空いちめん輝ける星屑まぶし夜警のわれに

新しき年よ幸あれ夜明け前の闇照らしゆく夜警のわれは

平成18年12月20日

平成18年度秋期NHK短歌コンクール作品

いちまいの和紙ゆつくりと舞ひ落つるごとくに見えて鷺の降りたつ(秀作)

平成18年12月15日

平成18年度NHK全国大会

何歳か何という名か炭のごと焼かれていたり原爆により(秀作)

夕日背に長く伸びたるわが影が腕まくりして小走りに行く(入選)

平成18年9月11日

第21回国民文化祭・やまぐち2006文芸祭「短歌大会」(入選)

給料の遅配二ヶ月事務室に妻の作れる弁当を食む

平成17年9月15日

第20回国民文化祭・ふくい2005文芸祭「短歌大会」(入選)

賞与なく退職金もない会社 それで給料さえも遅れる


平成17年7月18日(月)

永田和宏選
(十席)

百メートル競争だけど歩いてる歩くことさえ出来なかった子が

平成17年5月31日

篠   弘選(入選)

童謡の月の砂漠のラクダたち地球を逃(のが)れ月を歩むか

(与謝野晶子短歌文学賞 産経新聞主催 )

平成17年2月25日

岩田 正選
(秀逸)

限りなくわれを愛する神がいて障害の子をわれに授けし

(雑誌「短歌」平成十七年三月号公募短歌館 )

奥村晃作選(秀逸) 

自販機にジュースを買うを覚えたる子は眠りおり硬貨握りて

(雑誌「短歌」平成十七年三月号公募短歌館 )