今週の短歌NO.18

 わたしの歌歴(後藤人徳)
 昭和59年「賀茂短歌会」入会。現在編集発行人。
  歌集:「母胎」、「祈り」「わが家の天使」

以下に紹介します作品は、作ったばかりのものをそのまま書いています。推敲の手があまり入っていません。未完成の部分が多々あると思いますが、参考にしてもらえれば幸いです。...作者より


茜差す雲を頭上にミレー作「夕べの祈り」のごとく子とわれ


今年の目標は口語短歌に挑戦したいと思います。多少歌が軽くなるかもしれませんが、またまだその力がないとも思いますが挑戦したいと思います。また去年歌集を作ることを色々な理由で断念しましたが、今年はせめて三郎に関する歌だけを集めて一冊にまとめられたらと思っています。


4月30日(月)参考:日々の気持ちを短歌に(ブログ)

対岸の山里霧におおわれて春の光にまぶしく光る

対岸の霧晴れたればうぐいすの声がますます響きわたれり

4月29日(日)

花が飛びて茎のみ並びチューリップ健一郎の命日となる

4月27日(金)

生きるんだ何が何でも生きるんだ自信をもって生きてゆくのだ

切りがなくなんで呑むんだ苦しんでのた打ち回り酒を呑むのか

4月26日(木)

平常の水位に戻りし川なれど枝にビニール袋揺らげり

自然には人知を超える力あり思考の限度自ずとあらん

人間の力を超えるものならば限度以上は思考停止す

賞などをもらわざりしも啄木の牧水の歌すばらしきかな

4月25日(水)

怒ってた濁流なのに一夜明けもうしらけたる顔をしている

れんげ田に寝ころびし日の記憶ありその蓮華田を最近見ない

4月24日(火)

過酷なる環境に生(あ)れ東大の教授となりし姜尚中(カンサンジュン)氏

危険なる遊びをすると姜尚中(カンサンジュン)氏の母半狂乱になりて怒れり

母親は自分にとって桎梏(しっこく)と優しき言葉で姜尚中(カンサンジュン)氏言う

4月23日(月)

若返るとはこのことか山々が赤子の肌のごとくなりゆく

青き葉を根方にあまた抱えつつススキこれから再生をなす

遅咲きの八重の桜が咲き始めこれで今年の見納めとなる

4月22日(日)

風邪ひきて二週間ぶり施設より帰りたる子の面(おも)の細れり

不精髭少し伸ばして施設より病み上がりにて子は帰りたり

眠らざる苦情を言えば子の薬眠剤あまた追加されいる

4月20日(金)

新緑の山より来たる風飲みて思う存分鯉うねりたり

やわらかき若葉をまとう山山の今にうごめくさまを見ている

生まれたるばかりの赤子産声がいま山々にこだましている

今という時が瞬時に消えてゆく宇宙の果てのブラックホール

4月18日(水)

まだ硬きつぼみの椿挿しおれば真赤に八重の花が咲きたり

五月にはまだ間があるが鯉幟今年も空に泳ぎ始めり

4月17日(火)

読売に栗木京子氏の選評が付き妻の歌堂々と載る

歌会に忙しく家を空ける間に妻の植えたるジャガ芋育つ

読売の全国版に妻の歌載ってましたと会員が言う

歌会に行かずジャガ芋植えたという妻詠みし歌新聞に載る

4月16日(月)

汝(な)がおらず寂しいけれどせいせいと地区の用水清掃をする

あまたなるお玉じゃくしも掻き出して今日の用水清掃終る

市役所のクリーン作戦通達に田のないわれも用水掃除

4月15日(日)

小雨降る道に散りたる桜花風吹けど地につきて離れぬ

新緑のうぶな葉覆う向い山なんだか生まれ変れる気分

風邪ひきて子も施設にて帰れないそちらの方が健康的だ

自宅ではわがままが出る今週は施設で過し風邪を治せよ

4月14日(土)

鶏糞を撒きて耕し里芋を植え終りたり明日雨という

妻も吾も風邪ひきたれば今週の子供の帰宅を取りやめにする

4月13日(金)

かすかなる鳴き声すれど親鳥の羽の下にてひな鳥見えず

昨晩の雨に打たれた木蓮の花びらあまた地を覆いおり

4月12日(木)

熱あるも施設に預け帰りしがその後わが子は医者に行きしや

施設より電話のなきはよき便り熱ありし子のことを思うも

歌会は結局四人で行なえり高年齢化している会員

昼食は買うからいいと妻に言い歌会のため図書館へ行く

コンビニの三百円の稲荷寿司今日歌会の弁当にする

4月11日(水)

霜に耐え冬を越したるパンジーが数倍の花今咲かせおり

繊細な花びら霜に凍らせて生きのびたのだパンジーの花

満開を過ぎ木蓮も桃の花も黙々として花散らしおり

ささいなる取るにたらざるものなれどそれに命を掛ける芸術

滅びゆくものなればこそ束の間のわが生かけて歌を作らん

命掛け歌を作りし古(いにしえ)の人の心よかりそめならず

4月10日(火)

風邪をひく子を施設へと預けたり「われらも引けばお願いします」

妻も吾(あ)も風邪ひきたれば施設へと子供預けてホッと息吸う

熱なのか気候なのかは分からないぐったりとして風邪ひいている

遠山のけぶれる桜眺めつつすっかり春の訪れを知る

4月9日(月)

妻が引き子がひきとうとうわたくしも咳き込みている風邪ひきたるか

ひと枝を切りて花瓶に挿しおりし石楠花のつぼみ開きはじめる

花咲かす霊力得んと満開の桜の下に大き息吸う

菜の花に黄の蝶ひとつ舞いおれば子の命日の迫るを感ず

4月8日(日)

役員会出席せんと急ぎつつ突っ掛け履きて駅に着きたり

突っ掛けのまま来たけれど引き帰る時間なければ電車に乗りぬ

山の駅冷たき風の吹かれつつさくらの花のはなびらが舞う

満開の桜の空は青々として鳶一羽風に舞いまう

死刑囚島秋人の歌読めば文字の奥より水音のする

かくばかり歌よめる人島秋人なぜ殺人の罪犯せしや

未収なる給料あるも債権者会議にわれは欠席をする

絶叫の福島泰樹震災と原発事故の福島いかに

4月7日(土)

どんよりと晴れたる空のもとにして桜盛りて風を呼びたり

4月6日(金)

強風に耐えて陽に向き花開くか細く長きチューリップの茎

チューリップの花吹き飛べば茎のみが虚空にむなしく佇(た)つばかりなり

天に向き何祈るらんチューリップただおだやかに花を開きて

啄木の忌日近づきおだやかに開かんとするチューリップの花

4月5日(木)

花びらを閉して風に耐えたるにチューリップの長き茎折れている

茎折れしものある中に風に耐え花開きたりこのチューリップ

昨晩の雨止みたれど花冷えの風が体に吹きつけてくる

強風にめげず木陰の石楠花がひっそり白き花開き初(そ)む

強風にもまるる枝にしがみつくいまだ小さき梅の実あまた

4月3日(火)

今まさに花火はじけるごとくしてさくらの花が満開となる

はじけたる花火の火の粉散るごとく枝垂れざくらの満開となる

夜ながら役員会に出席す風邪ひく妻子家に残して

妻も子も風邪ひきたれば真夜中の咳きする声を聞きながら寝る 

4月2日(月)

懸命に赤き花びら開きおる目立たず鉢に咲ける木瓜(ぼけ)の木

枝広げ咲ける桜にヒヨドリもメジロもともに鳴きて蜜吸う

地上ではチューリップの花樹(き)の上に木蓮の花共に祈れり

4月1日(日)

チューリップの硬きつぼみが開き初(そ)み亡き子の声が聞こえるようだ