今週の短歌NO.21

 わたしの歌歴(後藤人徳)
 昭和59年「賀茂短歌会」入会。現在編集発行人。
  歌集:「母胎」、「祈り」

以下に紹介します作品は、作ったばかりのものをそのまま書いています。推敲の手があまり入っていません。未完成の部分が多々あると思いますが、参考にしてもらえれば幸いです。...作者より


茜差す雲を頭上にミレー作「夕べの祈り」のごとく子とわれ


今年の目標は口語短歌に挑戦したいと思います。多少歌が軽くなるかもしれませんが、またまだその力がないとも思いますが挑戦したいと思います。また去年歌集を作ることを色々な理由で断念しましたが、今年はせめて三郎に関する歌だけを集めて一冊にまとめられたらと思っています。


6月30日(土)参考:日々の気持ちを短歌に(ブログ)

開ききり散り始めたる薔薇なれば思いきって切り捨てにけり

そんなにも美が大切か女性向けコマーシャル見つつなにか寂しき

子育ては種族保存の本能と思っているが虐待のニュース

原発を反対するとデモの群れそんな単純なことと思わぬ

だいそれたことではなくて少しづつ身近の出来ることをするだけ

6月29日(金)

無心とも媚びとも見える薔薇の花この美しさ何処(いずこ)よりくる

蕾より部屋の花瓶に生きているこの薔薇の花明るく開く

同人誌送付の後に気づきたり四行ずれて記載がもれる

二十万振込せんに早速に身分証明求められたり

銀行に身分証明求められ突然なれば動揺をする

架空なる名の振込みを防がんと要求さるる身分証明

6月28日(木)

雑草といえども鶏(とり)の餌となる草刈機にて避(よ)けながら刈る

悲しみは贈り物だという人の深き瞳を見詰めていたり

悲しみにとことんとことん付き合えばきっと何かが分かるともいう

幾重にもたたまれている薔薇の花その花びらの八分を開く

薔薇の花そのたましいを聴きたくてオレの心を開かんとする

6月27日(水)

父親に反抗したる若き日の思いに似るか造反議員

新党を作ったほうがすっきりと分かりやすいがそうもゆくまい

議員とて人間なれば生活が自分を守る本能があり

消費税最大納付は誰だろう多く仕入れる会社であろう

結局は企業が多く納税しそのおこぼれをわれ受けている

納税と国より受ける恩恵を比較したなら感謝しかない

6月26日(火)

霧深き新東名の前方に鹿二匹出て立ち止りたり

小雨降る朝霧高原肌寒くヨーグルトなど買うと降りたり

台風の直撃受けて全滅のさくらんぼ狩り桃狩りとなる

まだ硬きけれども桃の実は甘くさっそく妻へ土産としたり

工場の見学そこそこ打ち切りてもっぱらワインの試飲なすなり

案の定カラオケ三昧(ざんまい)バス旅行ナツメロ聴きつつわれはメロメロ

6月25日(月)

日用に役立つことをなしてるか一万円の福翁にらむ

明日(みょうにち)は身障者のバス旅行甲府の方へ桃狩りに行く

台風で全滅となりさくらんぼ狩りは突然桃狩りとなる

身障者のバスの旅行はカラオケを歌い楽しく旅を過ごさん

隆盛にはたして彼はなりえるか一郎よ不満分子を身に引き受けて

6月24日(日)

体形を保ちきれずに薔薇の花かすかな風に花びら散らす

同窓会身障者旅行今週の子供の帰宅は取りやめにする

施設にて預かりますと言われいて子離れわれは出来ていないか

全校で六十四名の小学生一学年に足りぬ昔の

歌集など売らんとしたる下心短歌の興味持つは少なし

結局はカラオケ歌い場をつなぎ楽しい同窓会となりたり

6月23日(土)

中学の同窓会が開かれる明日はいかなる顔に会えるか

病気など話題にしてはつまらないそれじゃ何を話すとするか

そのときの雰囲気による同窓会一期一会の邂逅(かいこう)待たん

短歌よりカラオケの方カラオケは若いころからやっていたので

カラオケと短歌両方やることは不器用なれば短歌にしぼる

6月22日(金)

ビニールのハウスを風に飛ばされてもうこりごりと妻片付ける

山越えて潮風強く吹きおろし野菜も桜の葉先も枯れる

強風にめげずに葉先に留まるは白く大きな泰山木の花

台風に伏す雑草の花にさえ小さな蝶がすがりていたり

紫陽花の青々とした花々に台風一過の露が光れり

6月21日(木)

生木(なまき)裂き去って行きたる台風よトマトキュウリはもはや言うまい

ビニールで被(おお)いを作りしトマト苗すべては風に吹き飛ばされる

すっかりと色が晒(さら)され紅(べに)失せて薔薇の花々うち伏している

散らばれる小枝の道をボキボキと踏み台風の被害調べる

いっぱいに花を咲かせて栗の木の裂かれたあとの幹は鋭し

6月20日(水)

少々のビワを子供に送ったが台風よりも早く着けるか

おいおい壁のカレンダー五月だよ今日は六月十九日なんだ

切り花にすればよかった荒れ狂う庭にそのまま薔薇は立ってる

中学の同窓会に歌一つ歌わんとして吹き込んでいる

雨風の音の激しい部屋内にマイクを握りカラオケ唄う

隣室の妻の妨害せぬようにボリューム絞りカラオケをする

6月19日(火)

栗の花青く匂えば夏となる生命力がみなぎりてくる

六月に台風が来るコスモスがもう咲いたこと誰に聞いたか

掌(て)の中に入(はい)る小さな鉛筆が想像力をかきたててくれる

白浜の歌会もまた欠席者3名となり5名で行う

続けよう困った時はなおさらだ歌は力だ支えてくれる

自分から離れてしまえ作るのは誰だか分からぬ力に頼る

6月18日(月)

山道はすっかり崩れ跡かたなしそこの斜面を草刈りて行く

山道を一つ逃げ行く沢蟹を潰(つぶ)さんとしてわれも一人か

父の日とボールペンが届きたり木目模様が涙ぐましき

娘よりヘッドホンが届きたりイヤハンガーに質量最適

障害のわが子を天使とたとえるが自己本能と知らされている

自己保存種族保存の本能だすべてここから始まっている

6月17日(日)

筋肉の痛みがなかなか止まざるは雨の止まないことによるのか

そんなにもなんで涙を流すのか薔薇の花びら雨に打たれて

蜘蛛の巣をかぶりていれば紫陽花の花は花嫁衣裳のようだ

明日はクリーン作戦山道の草刈り整備行かねばならぬ

来週は同窓会や旅行あり施設の子供の帰宅取り止め

6月16日(土)

盆地ゆえ特に最近朝夕の寒さ気になる今朝は特別

玉子酒作ってもらうの忘れたり忘れることが最近多し

体温は三十六度八分なり自分にとっては少し高めだ

施設より明日子が帰るわれのみの体ではない気をつけないと

6月15日(金)

草刈のせいとばかりは言えないが微熱あるらし節々痛し

歌会の出席者5人そのうちの一人は午前中で中座す

中心の同人H氏中座する検査入院するためと言い

納涼祭打ち合わせせし昨日は汗した後に寒気覚えし

日中の強き光に汗ばめど日影に入れば寒気もよおす

6月14(木)

無心にて咲いているなり薔薇の花ひいふうみいよピンク色して

平日に行くのはやはり無理なるかわれを見つけて子は帰ると言う

ボランティア団体により草刈はほとんど終っていたり施設の

子等のための納涼祭を打ち合わす草刈早く終りし後に

帰宅してまずニワトリに餌をやる国会中継見るはその後

6月13日(水)

梅採りは小学校の行事なり六十年も前の思い出

肌寒き今日はあいにく小雨降る梅酒のための梅を採ってる

梅野屋の屋号の酒屋守りおる四代目弟かんばってくれ

酒類の規制緩和の余波受けて酒の小売の受難始まる

朝ドラの「梅ちゃん先生」妻とわれ共にテレビを見るはこの時

まだ少しすっぱいけれどビワの実が色づいてきた今日も試食す

6月12日(火)

美しくならぬと生きていられぬかこれほどまでに咲く薔薇の花

母親の旧姓なれば相馬という地名を見れば母浮かびくる

九十二になるも店に立つ母よ売り子に徹しひと世を終えん

商売に九十二年を費やせし母のひと世がまさに教えぞ

6月11日(月)

なにもかも生まれかわった新しく今日始まった今はじまった

新しき日の始まりを告げるごとホトトギス鳴く暗闇になく

なにもかも新たなる日よ過去はもう変えることなど出来ないゆえに

桑の実を取る人はなく舗装路が紫色にすでに染まれり

今日という日を呼吸してあじさいも紫色を増やしているか

今日という出発のため六十年過ぎし年月無駄と思わず

6月10日(日)

綿帽子かぶれるごとき白髪となりて再び旅立たんとす

ゆっくりと花をさがして飛んでいる蝶はノルマに達したろうか

ようやくに色づき始めるビワの実を見上げていれば頬のほころぶ

朝方はむしろ寒いくらいなり日差しの強き道歩み行く

6月9日(土)

低音がもう少しだけ出したいがとてもひばりのようにはゆかない

身障者バス旅行あり少しでも歌でもうたって楽しくしよう

土砂降りの雨になる前帰りたりああずぶぬれになるところだった

6月8日(金)

慶応にも詩人がいたり少しだけたとえば西脇順三郎氏

慶応にも歌人がいたり少しだけたとえば吉野秀雄氏なども

学問は詩歌にあらず福翁(ふくおう)のこの一言が深く根づきぬ

日用に間に合うものが学問と福翁のことば塾に根付きぬ

福翁の言葉は神のごとくして詩歌が廃れ実学根づく

生きるため必要なれば福翁も認めくるるやオレの作歌を

6月7日(木)

オウム教の記憶再びよみがえる朱鷺(とき)の再生喜びおるに

卒業の名簿に載っておりました村木道彦同期であった

村木氏を知らぬと言って軽蔑をされたる昔同期だったか

慶応に歌人はほとんどいないのに一人輝く村木道彦

幻の歌人ぞ村木道彦氏彗星のごと現れて消ゆ

6月の6日は妻の誕生日「おめでとう」とも言えず過ぎたり

6月6日(水)

曇り日の空に向かいて雨求む薄紫のあじさいの花

「父の日に欲しいものない?」安心が安全がいい「安眠まくら」

うす白く葉をおおいおる栗の花生きる命の匂いを放つ

報恩の気持はあれど実際にどうしたものか余りにも多し

恩返しさしてくださいせめてもは祈りて生きることを始めん

6月5日(火)

全力を尽くして今日も咲くだろうつつじは明日を考えないで

桃色の色を増したるあじさいのその花びらのつゆ光りたり

変らざる太古の光を水田は思う存分呑みてかがやく

湖(みずうみ)に写り輝く太陽と思うまで澄む山間(やまあい)の空

6月4日(月)

パンドラの函を開けたる人類はもう後もどり出来ぬというや

原発の反対をするデモなれど感情的に嫌いだオレは

夏落ちる椎の葉硬くかりかりと足の下にて砕かれてゆく

水田を打ちつけてゆく雨粒のおのおの作る小さな波紋

完璧なる安全性を計れるや水力風力火力などでも

6月3日(日)

登りつつ急勾配の坂道の中ほどに佇(た)ちスミレの花見る

何年も通いし山の駅なるも今は一気に登れずにいる

ゆっくりとホームを歩む鳩数羽一人のわれは見つつ待ちおり

どうしても子供のことが気がかりで十分前に会を中座す

浜松にクラス会ありなつかしき昔の友に再会をする

ただ会って座っていればいいんだよ友というのはそういうものさ

6月2日(土)

有難し三個も卵生みくれしわが家で飼えるウコッケイたち

志ん生の録音盤に聞こえくる昔の人のよく笑う声

6月1日(金)

短歌賞五十首詠に送りたる歌稿にミスを発見したり

若者と競う気持はないけれど俺の力を試したいんだ

円生の話も入っているけれど子供時代は好きでなかった

円生もいいじゃあないか何故なのか昔はあまり好きでなかった

志ん生はもちろん円遊柳昇に金馬痴楽に歌丸もある