今週の短歌NO.24

 わたしの歌歴(後藤人徳)
 昭和59年「賀茂短歌会」入会。現在編集発行人。
  歌集:「母胎」、「祈り」

以下に紹介します作品は、作ったばかりのものをそのまま書いています。推敲の手があまり入っていません。未完成の部分が多々あると思いますが、参考にしてもらえれば幸いです。...作者より


茜差す雲を頭上にミレー作「夕べの祈り」のごとく子とわれ


今年の目標は口語短歌に挑戦したいと思います。多少歌が軽くなるかもしれませんが、またまだその力がないとも思いますが挑戦したいと思います。また去年歌集を作ることを色々な理由で断念しましたが、今年はせめて三郎に関する歌だけを集めて一冊にまとめられたらと思っています。
 


9月30日(日)日々の気持ちを短歌に(ブログ)

秋祭り近づきくれば例年のことカラオケの練習をする

君居ない今年の祭り盛り上げて十八番(おはこ)の「君といつまでも」唄う

彼岸花衰えくれば高々と泡立草の丈伸びている

稲刈りはすでに終わりし対岸の田はトラクター耕している

台風が近づき来るも何一つなす術もなくただ待つのみか

9月29日(土)

鶏頭の花紅(あか)ければ茎さえもうっすら染まり燃え立ちている

二十八歳息子はいまだ幼くていや純粋で言葉を持たぬ

施設にて皆と仲良く暮すこと学べよ息子われらを離れ

存在を際立たせしか輪郭をくっきり黒く描けるルオー

西日受け人の形にサボテンがその影長く地上に映す

9月28日(金)

時間ないならばのんびりじっくりと行動しよう味わいながら

震度五がかく激しきかテーブルを握りしままに体験終える

寝室の壁に掲げし絵画など防災訓練帰り外せり

乾パンと三角巾と警笛を土産にもらい訓練終わる

今日ひと日無事に終えたり西空を茜に焼きて昏れなんとする

9月27日(木)

汗を撒け種といっしょに汗をまけ亡き爺さんの口癖なりき

大空を亡き児駆けるやラグビーのボールのような月が出ている

葉の先にとどまりている雨粒のその一瞬の白き耀き

次つぎと青き信号越え行けりささやかならざる幸と思いて

ひとたびの秋のみ知らず逝きし児よ今年もコスモスの花を供えん

9月26日(水)

新聞紙一枚が舞い海面に落下するまで見届けている

福島の原発汚染の地に赤く今年も群れて彼岸花咲く

いつ知らにつくつく法師の季過ぎて肌寒きなり被災地思う

車内にてはしゃぎていたに施設の門くぐりしとたん子は黙すなり

施設こそ汝(なれ)の住処(すみか)ぞわが歳と四十歳の差を思うなり

ほんとうに申し訳なし施設へと子を送り来てわれらやすらぐ

9月25日(火)

一面の霧の中には浮かびおり高々見える対岸の山

稲刈りの終わりし田圃脱穀に孫もまじりて大はしゃぎする

蜘蛛の巣にかかりたる蝶羽ばたきてまた羽ばたきてはばたき止める

昔より変らぬものか秋となり妻恋う鹿の鳴き声がする

施設より帰りし息子家中の灯をともし夜を明かしおり

9月24日(月)

いっぱいに葉を広げおる八つ手の葉生きてやるぞと言わんばかりぞ

信用(クレジット)があれば現金(キャッシュ)は不要とぞ世界どもでも通用すると

信用が第一と言いし祖父父の教えは今ぞクレジットとなる

仏教も相撲もあるいは他のことも日本に流れ完成するか

久々の雨に気温も急激に下りてきたり23度か

紅葉(もみじ)にはまだ早けれど昏(く)れ方の山より雄鹿鳴く声のする

9月23日(日)

まっすぐに朝日に向けり忠魂の石となりたる若人の霊

朝の日に真直ぐ向う忠魂碑錨のマーク苔むししまま

鉄骨の塗料は剥がれ夏草に覆われしまま肋(あばら)を晒す

水草に紫色の花が咲き目高の泳ぐ水面(みなも)を染める

トラックをあまり見かけぬ過疎の里活性化する象徴なるも

物質を求める者に短歌など分らず要もなきものだろう

9月22日(土)

あまたなる赤き蕾をしたがえて二つ大きく彼岸花咲く

竹竿の先まで咲きし朝顔のまだ上めざし蔓伸びている

庭に咲くかよわき白き韮の花秋風に身をゆらしていたり

鶏舎より二羽のニワトリ逃げだせば暗くなるまで待つことにする

鶏舎より逃げしニワトリ暗闇にひそみているをそっと捕獲す

9月21日(金)

西伊豆の夕日を思う「西明り」渡辺けい子歌集頂く

磋牙司高見盛に舛ノ山贔屓力士が今日は負けたり

図書館で歌会をする百一歳渡辺さまは欠席となる

暗喩など詩人じゃないよわたくしは正しく天を仰いでいよう

現実に目を逸らさずに真直ぐにその物を見て詠ってゆきたい

9月20日(木)

作物を荒らす憎き雉なるも卵抱えておれば見逃す

雉の巣に刈り残したる草むらは卵の殻が三つ残れり

草刈を汗して終わりシャーワーへとあれ水が出ぬ水が出ないよー!

大雨の予想もここは降ってない同じ市内のここは全然

祭の火消してはならぬ一組で出来ねば二組で力合わせん

世界からどんどん日本は遅れてく科学技術も原発もそう

9月19日(水)

卒業のアルバムの写真一名の女性の姿切り抜かれおる

卒業のアルバムの写真切り抜きて持ち歩きたりわれの初恋

五十年わが秘めおりし恋心級友の前に告白をする

本人のいる前にして五十年秘めし心を告白をする

「握手しな」友らのはやす声が沸くわが恋心告白すれば

握手すら出来ずに今日も別れたりクラス会にてその人に会い

9月18日(火)

誰(た)が家に向かいているや救急車朝(あした)の過疎の里にこだます

敬老と自ら言うをはばかるか老人の日と言ってしまえり

クラス会一次会にて帰りたり今日のブログの歌揃わねば

高校のクラス会にて逢いたれば初恋のこと告白をする

五十年余りとなるや秘め持てる初恋のこと告白をする

T君は学級委員五十年振りに会いたり隣合わせで

被災地に孫子伴いボランティアしたる話を静かに語る

9月17日(月)

ひと度(たび)の秋しか知らぬ逝きし児よ今年も飾らむコスモスの花

一粒の麦のごとくにこの一首死んで生きれや実を結ぶため

集団にならねば何も出来ぬのか哀れ烏合の衆というもの

大正の米騒動の焼き討ちもかようなふうであっただろうか

対等な心があれば外国の国旗を焼いたりしないであろう

9月16日(日)

アル中のごとく自分を蔑(さげす)みて詩に昇華する黒田三郎

三郎の詩に詠われるゆりの花可憐な少女逢いたきわれは

中国の反日デモの映像を見ているなんでこうなるんだろう

日本の何が彼らを刺激する中国人が分らなくなる

尖閣がどれほど彼らの生活に影響するや冷静になれ

中国の社会に日本がどれくらい貢献してるか分ってほしい

9月15日(土)

暑きなか歩き疲れしわれの目に早や彼岸花咲き始めおり

つんとその蕾をかかげ彼岸花赤き花弁を開き始める

彼岸花咲けど暑さ変らざり九月も半ばに早くもなれり

秋祭り近づきくれば七時より打合わせする寄合いがある

氏子より抜ける世帯が多くなり祭り運営難しくなる

9月14日(金)

地方より国を治めし歴史あり鎌倉幕府また江戸幕府

道の無きところを歩み行くという皆道連れにするはいかがか

そんなにも力むことでもないだろうそう失敗は成功のもと

命など掛けてくれるな結局は妥協であろう政治というも

精神のことにはあらず結局は豊かにすること物質的に

9月13日(木)

赤とんぼのみにはあらず秋なるにとんぼの飛んでる姿が見えぬ

確実に秋近づけり富士山の初冠雪の映像を見る

真白にそばの花咲くかなたには初冠雪の富士が聳える

草刈機止めてむくろと近づけば雉が卵を抱えていたり

草刈機間一髪で止め得たり雉が卵を抱えていたり

9月12日(水)

自らに気合を入れてパンパンと横腹叩き仕切りに入る

維新より日清日露その果てに原爆被爆国となりしや

単純に維新を崇拝する人等わたしは常に違和感を持つ

蝋人形真白き顔をしたる子が祭壇の前に寝かされている

転倒し苦しまず逝く子の骨の紫色は出血のため

拾いゆく子の骨にある紫の色に染まるは出血のため

9月11日(火)

電柱の影にぎりぎり身を隠す三十分を歩くが限度

稔りたる稲穂めがけて舞い降りる木の葉のような雀の大群

大臣が自殺をするか自殺なき世の実現を目指す社会で

歩くよう努めているがわが腹囲またも指導のレベルの判定

食事など注意をしたり中性脂肪今年はぎりぎりセーフとなりぬ

9月10日(月)

外国に行きて祖国に目覚めしや短歌同人誌「世界樹」を読む

外国に嫁ぎし女性の心細さ支えてくれるや短歌の力

宗教にあらず短歌は八百万(やおよろず)の日本の神と会話すること

悩むとき日本人なら思い出せ短歌があるぞ支えくれるぞ

仏教もキリスト教もなき時代倭(やまと)の民を歌が支えし

9月9日(日)

雨という予報ははずれ照り付けるグランドに降り草取りをする

子を託す施設の庭の草を取る日照りなれども家に籠らず

サウナ風呂入りたるごとく汗だくになり草を取る日照りの庭に

草刈のあとの下着は汗に濡れ冷房の部屋に親子会する

自らの足で歩ける幸せを感じて今日の仕事を終える

9月8日(土)

裏山に叫びているは猿の声ひいふうみいよ群れになってる

隣家(となりや)の薯畑(いもばた)荒せし犯人か木の枝揺らし猿叫ぶ声

木の枝を揺らし群(むらが)る猿目がけロケット花火を打ち上げ威す

打上げるロケット花火の破裂音驚き叫び猿去り行けり

草刈りて汗の噴出す身体にはシャワーが一番この幸(さち)がいい

9月7日(金)

題詠:立

たっぷりと朝の空気を吸いこみて今日の最後の巡回に立つ

精一杯やった自分の全てだと両手広げて見せしあの時

手を広げこれしかないと示したり妻若かりしはるか昔よ

暑くとも歩かねばならぬ目標の一日一万まだ達しない

残りたる命惜しむがごとくにも残暑のなかを蝉鳴き止まぬ 

9月6日(木)

実績もあまりないただ空っぽのオレであってもいいではないか

ガラクタのただ散らばれる部屋なるか子供みたいと云われてもよい

七十年近く生きたる正体がただ散らばれるガラクたばかりか

中学の運動場より聞え来るマーチに合わせ歩いているよ

命掛け鳴きいる虫の声なるになんと涼しく聞えてくるか

9月5日(水)

ながらでは字幕読めねば二時間を洋画に費やす決心をする

録画して見ぬまま溜りし数々の洋画を見んと朝起きをする

数々のアカデミー賞受賞作たとえば今日は「黄金」を見る

録画見んと思いていたが結局はヤングなでしこのドイツ戦見る

実力の差があるみたいたちまち三点を先制される

あまりにも実力の差を感じたりサッカーを止め洋画を見んとす

9月4日(火)

ハゼの葉は早や半分が赤くなり残暑のなかで雨に打たれる

雨となり秋蒔き種のカタログを飽かず見ている妻静かなり

秋野菜植えなんとして耕すに突然豪雨となりてしまえり

久々の雨降ることは良けれどもも少し優しく降ってくれぬか

雨となり畑は出来ず録画せし映画を見つつ涙浮かべる

9月3日(月)

灼熱の肌に触れたるごとくにも小雨は露となり立ち昇る

草刈の音が聞える昼下がりわれもしなけりゃ残暑のなかで

今ここに地震となればあの山に駆け上がらねば海辺は危ない

病院もスーパーも皆海辺なり山への距離を調べんとする

この夏も終わりとなりて気づきたりああ朝顔を植えなかったか

9月2日(日)

舗装路の継ぎ目に生えるひと本の鶏頭の紅(べに)目にしみるなり

黄の色に染まりてきたる稲の穂が残暑のなかに秋を思わす

ビニールはとうに剥(は)がれて鉄骨が夏草のなかに肋(あばら)をさらす

施設より帰りたる子はなにとなく疲れいるらし食欲がなし

帰宅した子は早速に小雨降るなか自販機に向かい飛び出す

9月1日(土)

宇宙より地球を見れば円満なる水色美(は)しき球体なるに

茹で蛸のように真赤に塗られいる日本列島明日の天気図

怒りっぽくてなんとなく滅入っているぞ最近のオレ

桃の葉を煎じ入れたる風呂に入り持病の湿疹治りゆくらし

毎年のことにはあれどわが家の百日紅は二ヶ月もたず