今週の短歌 .25

 わたしの歌歴(後藤人徳)
 昭和59年「賀茂短歌会」入会。現在編集発行人。
  歌集:「母胎」、「祈り」

以下に紹介します作品は、作ったばかりのものをそのまま書いています。推敲の手があまり入っていません。未完成の部分が多々あると思いますが、参考にしてもらえれば幸いです。...作者より


茜差す雲を頭上にミレー作「夕べの祈り」のごとく子とわれ


今年の目標は口語短歌に挑戦したいと思います。多少歌が軽くなるかもしれませんが、またまだその力がないとも思いますが挑戦したいと思います。また去年歌集を作ることを色々な理由で断念しましたが、今年はせめて三郎に関する歌だけを集めて一冊にまとめられたらと思っています。
 


10月31日(水)日々の気持ちを短歌に(ブログ)

新聞に載る妻の歌一席となりて選者の評をいただく

友の歌短歌雑誌に入選す同人誌にわれ取り上げし歌

裏山に猿三匹が出没しクヌギの枝を激しく揺らす

団栗を食べているのか猿たちはクヌギの枝を激しく揺らす

人間の名前つければハリケーン少し治まりくれるだろうか

10月30日(火)

水色の絵具落としたごとくして雲間に朝の青空のぞく

キイキイと鳴く鳥の声縄張りはどうして出来てゆくのだろうか

葉の落ちし桜の枝に輝くはひっしにしがみついてるしずく

昨晩に鳴きいし鹿か早朝の霧の中より声が聞こえる

白菜がキャベツが必死に葉を閉す日を放さじとするがごとくに

10月29日(月)

すっかりと葉を落としたる桜の木花の季まで長き沈黙

カラスどち朝早くより鳴きいるは今日一日の思案と思う

荒草のなかに立ちたる蜜柑の木採る人のなく色付きている

どんよりと曇りたる日よ世の中にわれの心に灯ともさん

亡くなりし叔父が植えたる侘助が今年も白き蕾つけたり

10月28日(日)

今週もビデオショップに行かぬ子よ施設で何かあっただろうか

厳重に鍵を掛けるは盗難の防止と罪を犯させぬため

今日の糧十分得しや烏たちおおどかに鳴き山に向えり

10月27日(土)

盗人のごとくひっそり舞い来しか庭に泡立ち草が咲きたり

大声に叫ぶ力を持ちている幼稚園児の声が聞こえる

白菜がまた大根がすっかりと畑で大きな顔をしている

草花も狂いてくるか紫陽花の花がこの秋咲き始めたり

10月26日(金)

夕日と紅葉の写真を見る

空が焼け海また焼けて一日が今厳かに終らんとする

紅葉燃ゆ燃えつくすすまで散るまいと思い定めているかのように

烏瓜ひとつ机に転がれりまるで真っ赤なしずくのように

10月25日(木)

急激の寒さの襲う夕方にインターネット繋(つな)がらくなる

メールだめブログ更新さらにだめインターネットまた繋がらぬ

死にてゆく子を祈るごとパソコンの復旧するを寝につきて待つ

あれこれと四苦八苦しパソコンが復旧したり夜半の月見る

10月24日(水)

ワイパーの力ある腕雨はじき電車進めり豪雨のなかを

十月も末ともなれば天城嶺(あまぎね)ははやうす化粧する気配する

10月23日(火)

限りなく高き青空純白の心となりて仰ぎていたい

限りなきまで広がれる青い空わたしの心を一杯にする

毎日がご馳走ばかりと不平いう飽食の世に粗食求めて

椎の実の踏み砕かれてこの道を縄文人はすでに通らず

10月22日(月)

対岸の山に朝日の差したるを羨(とも)しく思う季(とき)となりたり

個人主義極まりたるや騒音を立てて単車がつらなりて行く

明日なろうあすなろうと言い努め来ぬ師より学びし教えの一つ

愁(うれ)い持ち歩めるわれを励ますと川瀬流るるとどまらなくに

本棚に背文字を向けて並びたり墓標のごとき本の数数

代謝なく机の上に積れたり死体のごとき本の数数

10月21日(日)

ご無沙汰をしていたように見上げたり朝日を受けてうねる山山

日本の芒(すすき)帰化せる泡立草共存するか土手を埋める

暗がりに走り込みたる黒き猫振り向きざまに両眼光る

自ずから丸くなりゆく習性か甘き香りの金木犀は

裏庭の金木犀が咲いていてお帰りなさいと言うごと匂う

金色の龍のごとくに雲を染め早々と日が暮れてゆきたり

10月20日(土)

昨晩の雨に洗われ一段と金木犀の匂いさわやか10月18日(木)

部屋隅に座りておりし叔父上の葬儀にわれも斯くしておりぬ

穏やかな口調微笑(ほほえ)み忘れない控え目なりし叔父の生き方

閉されし心もままに作りたる鎧(よろい)のように固き短歌よ

10月17日(水)

産みたての卵ぬくとし一歳の逝きしばかりの子の肌に似て

老い人の畑今年はたちまちに泡立ち草の花園となる

秋耕の後に群る鳥たちがわが足音に舞い上りたり

純白の心となりて仰ぎたしこの青空の染まるばかりに

バラの花ひとひらを巣に止まらせて華族のごとく蜘蛛はなやげり

裏庭の金木犀が咲いてるよもの言えぬ子はわれの手を引く

10月16日(火)

倒壊を恐れ言いつつ神木を伐れず今年も祭終われり

渾身の力尽くして咲きおらん桃色をしたこのバラの花

産みたての卵をつかみ愛(かな)しめり死にしばかりの子の温もりぞ

裏庭に金木犀が匂えるともの言えぬ子がわれの手を引く

10月15日(月)

朝の日に直立不動の忠魂碑錨マークもとうに苔むす

「わたしから歌がなくなりました」あゝ手紙に記す美空ひばりよ

俗にして俗を越えたる力欲しドストエフスキーの美空ひばりの

お疲れと声掛けているうろこ雲黄金にそめて沈みゆく日に

金色(こんじき)に轍(わだち)の水を染めておりまっすぐ伸びる一本の道

10月14日(日)

まっすぐに歩いてゆこう黙々と道元禅師の教えにつきて

蜆蝶一匹捕らえ静かなり王侯貴族のごとくに蜘蛛は

オゾン層壊れているか十月の日射しを避けて木蔭に話す

両の手を天に掲げ仰ぐごと誰に語るや吉本隆明

「分らないことが好きなの」はにかみてしょうじょうのうな石垣りんさん

10月13日(土)

よく見れば細かき花がかたまれり猛々咲ける泡立ち草は

星たちを造る力か芋の葉にまんまるとなるしずく光れり

蜘蛛の巣に花びらひとつ止まらせて華族のごとく蜘蛛はなやげり

黄の雄蕊あまた抱えて純白の茶の花静かに光を浴びる

真白な心となりて仰ぎたしこの秋晴れを映さんとして

10月12日(金)

荒草の中に咲きたるバラの花その気高さは紛れもあらず

完璧に整備されたる庭園に彼岸花ひとつ朱を点じおり

10月11日(木)

茎までも赤く染まれる鶏頭のごとき恋など知らず過ぎたり

面白い楽しいだけで十分さ惚け防止など短歌に失礼

偲ぶ会今年もやはり欠席すお世話になった先生なのに

歌会は無事終りたり三月(みつき)ぶり百一歳の友に会えたり

10月10日(水)

一面に泡立草が咲きそろい休耕田が黄金(こがね)色する

稲刈りの遅れし田圃イノシシの餌食(えじき)になるを老い人嘆く

青雲の志今向日葵が添木に支えられうなだれる

舗装路のすき間に生える鶏頭の赤々としたる情熱

10月9日(火)

久々にわたしの短歌が入選す読売歌壇小池光選

飲みすぎて何ゆえなるや大学のゼミのことなど夢中に話す

快く祭り終えたる夕方にノーベル賞の受賞のニュース

10月8日(月)

旗竿はギイギイなれり風まとう旗の製作昭和十五年

旗竿のギイギイなれば少年の頃の思い出一つ浮かび来(く)

カラオケがあるというのにこのアンプ家庭用じゃあとても無理だよ

10月7日(日)

今週は迎えに行けぬ施設にてやすらぎおれよわが子三郎

二歳より五歳までなり保育園運動会のちびっ子選手

三歳の出番少なき運動会独り遊びす孫の姿は

10月6日(土)

草刈の鎌がここにて止りおり土手いっぱいの彼岸花咲く

彼岸花衰え始めし野にすでに泡立ち草の黄色が目立つ

ススキの穂いまだ幼く真直ぐに立ちては風に逆らいている

孫に逢うために一日早めたり妻透析に行きて帰らず

10月5日(金)

夜明けにはまだ間のあるに救急車のサイレン響き通り過ぎたり

この草の花一輪も全能の神の力を等しく受けん

10月4日(木)

星たちを造る力か芋の葉にまんまるとなるしずくひかれり

この今に生きるほかなし全能の力がわれを生かしてくれる

東北で地震がつづく今もまた震度4なり石巻など

家のため子のためひと世を費やしし母に有終の美が待ちおらん

10月3日(水)

必需品インターネットがつながらぬ友のメールが開けないでいる

パソコンの故障に時を費やせり今円満な月が出ている

子供からメール来ているかもしれぬ故障治らず夜半になったり

パソコンの機械に問題ないというルーター、モデムに故障があるか

結局はモデムを買って帰りたり出費は痛いがいたしかたなし

10月2日(火)

暴風は速く過ぎたりおだやかな日差のなかに朝を迎える

散らばれる小枝を掃きて昨晩の風の強さを思い出しおり

川崎や川口にいる子等宛てに無事であったとメールを送る

10月1日(月)

花束にしたいほどなり彼岸の花がかたまり咲く杉の木下に

髪飾りのように束ねてかざられて売られていたりコスモスの花

コスモスはコスモスたちと群れている彼岸の花と遠く離れて