今日の短歌NO.27
 わたしの歌歴(後藤人徳)
 昭和59年「賀茂短歌会」入会。現在編集発行人。
  歌集:「母胎」、「祈り」「わが家の天使」(3月出版予定)

以下に紹介します作品は、作ったばかりのものをそのまま書いています。推敲の手があまり入っていません。未完成の部分が多々あると思いますが、参考にしてもらえれば幸いです。...作者より
この先は楽観論に基いて生きゆくことを始めんとする

短歌は、三十一音からなる小さな世界です。その中に自分の思いを込めます。ですから、時間はなかなか織り込めない。今の一瞬、一瞬を歌うしかないのではないでしょうか。そう思います。また、そのように作っています。


12月31日(月)参考:日々の気持ちを短歌に(ブログ)

雲垂れる三十日の空仰ぎ青空思う光を思う

霧覆う対岸の山重々し晴ればれとして年迎えたし

木々の間に鋭く鳴ける鳥の声それに縋りて生きんと思う

ブログとも卒業したらどうなんだ依存症ではないと思うが

生きている証(あかし)のごとく歌作る毎日作る今日も作らん

満足をせんと俄(にわか)に思いたち大きくひとつ息を吸いたり

12月30日(日)

葉が落ちて初めて知りぬ枝すべて天に向うがごとく伸びるを

正月が来るんだなあと凧上がる二十九日の空を見上げる

竜のごと伸びいる雲よ辰年も余すこと後二日となりぬ

雨上り晴れたる午後は物干しに洗濯物を干す家多し

雑煮用かき菜送ればスーパーに売っていないと妹喜ぶ

12月29日(土)

正月の歌をなんとか五首作り友にメールす良い年であれ

正月のわれの短歌よ友人のギャラリーウインド色添えてくれ

施設より息子帰れり東京の娘はやはり大晦日かも

子供らが無事に生活出来ることこのことをまず来年も願う

残りたる最後のものが短歌かもすがりてゆかん放すまいぞと

12月28日(金)

新年の祝いの歌を求めたる友に戸惑う祝い歌なく

もう少し祝いの歌を作らんか目出度い歌の少なきを知る

泣き言を並べる歌はたくさんだ祝い目出度い歌を作らん

新しき年が来るなりあたらしき気持になりて歌を作らん

なんとなく楽しい年になるような予感ますます湧きてくるなり

12月27日(木)

幾たびもクリックするは一円のポイント溜めるわれの習性

風に身をゆだね枯れいるススキたち沈む夕日に輝いている

寒風の吹きつのりいる斎場に叔父の葬儀はしゅくしゅく進む

すっかりとご無沙汰したり叔母さんも?せて杖つきあぶない歩み

初めてに会いたる人と硬そうな骨を選んで箸に挟みぬ

12月26日(水)

明日(みょうにち)は燃えないゴミの日にあたる当番なれば早めに行かん

乾電池カンびんペットボトル古紙ガラスキャップに分別をする

家具ふとん家電自転車ストーブも庭木金属類などもだめ

バッテリータイヤ消火器ガスボンベペンキ劇薬農薬もだめ

耕耘機パソコンバイクがれき類ピアノ金庫も扱いません

12月25日(火)

精進の期間過ぎたり明け初(そ)める雲なき空を眺めていたり

キリストの生誕祝う今日の日は抜けいるような青空となる

山の影ふもとに伸びる対岸の山は朝日を受けてかがやく

対岸の山いち早く朝の日に輝くさまを今日も見ている

題詠:実

ゆずの実のあまた浮かべる湯の中にゆっくり心も温まりゆく

12月24日(月)

南瓜食べ柚子湯にゆっくりつかりたり今宵は君の歌読みゆかん

自らの殻を破れぬ苦しみよ独房にいるごとく思うも

グリーン車空いておれども今回も乗ることはなし今後もなきか

気をつけていたるに風邪にやられるか夜半に咳き込み体が熱い

真剣に真面目に生きてゆくことを心に決めて眠らんとする

12月23日(日)

さざんかはなにも言わずに咲いていて根方にあまたはなびらたまる

春芽ぶく力たくわえゆうゆうといちょうの裸木は天を指さす

アフリカの太鼓演奏子供らは飛び跳ねはじむ原始リズムに

アフリカの太鼓のリズムターザンが出て来そうなる雰囲気に酔う

ブログともそろそろ卒業しようかと思いておれど止められずいる

12月22日(土)

毎年のことにはあれど鳥精進酒精進の一週間ぞ

ブログにて著作権侵害していたかなんたることか無知なるわれは

書物から転載するは今日からはいっさいしないことに決めたり

なんという愚かなわれよ忠告を受けて始めて気がつきました

個人的ブログに転載することに罪の意識をもたざりしわれは

12月21日(金)

遠山はすでに日が差し恩のある叔父の葬儀に出掛けんとする

気に入りのボールペンなり見つからぬことが気になり葬儀へ急ぐ

一代を徒手空拳で築きたり耐え忍びたる叔父の死顔

選別のみかん倉庫を改造しスーパーマーケット営みし叔父

みかん屋が野菜屋となり現在はスーパーマーケットに変身をする

12月20日(木)

さよならと笑顔に言えば子供らも笑顔に応え坂登りくる

枯れススキ群るる河原にひと本の菜の花は今花咲かせおり

寒風の吹きいる河原ひと本の菜の花育ち黄の花咲かす

独学に縫製覚えて黙々と祖父踏みおりしミシンの音よ

晩年の祖父の孤独はひたすらにミシン踏みおりしラジオ聞きつつ

12月19日(水)

この先は楽観論に基づいて生きゆくことをさあ始めよう

昨日でも明日でもなく命ある今この時を君と過ごさん

てんかんは転換の意か早よせよというがごとくのわが子の発作

「われわれ」は「われ、われ」でない句読点ひとつが天と地との隔たり

今日ひと日歌作れずに過ぎゆくか日暮れとともに寒さ増したり

12月18日(火)

喜びの涙で夜は明けゆくか外にかすかな雨の降る音

どんよりと曇りし空を自民党その勢いで晴らしくるるや

伸びすぎる木蓮の枝伐(き)り落すあまた莟のつきてるままに

妻病むを口癖となしいささかも己を責めず過ごしていたか

病(やまい)もつ妻ありてわれおのづからつつましく日日をくらしゆくら

12月17日(月)

対岸の聳える山に朝日差し選挙日今日を温かくする

雨上り地は固まるや選挙日の今日は朝より日本晴れなり

前日の突然の死よ確かなる貴重な一票失われたり

新しき芽の出ることを確かめて葉は落ちるとうわれは死ねない

子のためにビデオショップに行きたれば選挙日なるに何故混みおるや

12月16日(日)

穂の先にしずくをためて傾(かし)ぎおりススキも何を耐えているのか

英雄を輩出したる三国志明日の選挙は第三極は

ほんとうに心の底から口先だけでない人党をわれは選ばん

もの言わぬ自閉児わが子に丁寧に自動販売機が挨拶をする

智恵遅れ投票能力なき息子また一票を廃棄処分す

12月15日(土)

もう一度元にもどっていいんだよ間違ったならやり直すんだ

国民に媚びない石原慎太郎案外まとも任せられるか

国持たず組合頼りの政党に国政まかせるわけにはゆかぬ

国愛せ国を愛せぬ政党に国政まかせるわけにはゆかぬ

国あって国民がある愛国の北朝鮮をあなどるなかれ

12月14日(金)

霜おけるガラスのごとき薔薇の花その花びらの日に輝けり

霜の朝つぼみの薔薇に細かなる光が宿りいま輝けり

朝早き街を歩けば商いを始めんとしてシャッター上がる

流氷のごとき白雲かたまりていま落日に焼かれんとする

命とう危き玉を抱え持ち今日一日を終らんとする

12月13日(木)

歌会に集りくれし5名なりストーブ囲む寒き図書館

歌会に集(つど)いくれたる最高齢95歳この寒き日に

会員の最高齢は101歳新年会に出たいと言うか

一様に枯れたる野原各おのの色にて咲きし季(とき)の過ぎたり

一本の指にて媼(おうな)はキーを打つ電子メールを孫に送ると

12月12日(水)

目をつむりお茶を味わうわれを見てねむってるのと幼子が問う

対岸の寺より風に舞い降りし銀杏一葉(いちよう)庭に落ちいる

さぼってるわけではないがサボテンを見るとなにやら胸騒ぎする

年賀状書き終えたるにまた一葉喪中はがきが配達される

奥さんの顔知らざし上司なり喪中はがきを今日頂きぬ

12月11日(火)

冬枯れの庭に植えんとパンジーの黄の花の咲く苗を買い来ぬ

パンジーの可憐な花が寒風を喜ぶごとく揺れるのを見る

テレヴィの訃報報道多けれど喪中のはがきあまり来ていぬ

年賀状そろそろ準備始めんと賀状の束を再びめくる

身に過ぎる重荷を負いて生きゆかん信ずるものは救われるんだ

12月10日(月)

おだやかな海原にいま日が出(い)でて大島影がぼんやり浮かぶ

雲のなき空に出(い)でたる日の光かがみのごとき海原に差す

見渡せる青一色の海原に大島影がうっすらうかぶ

雲のなき空のもとには青き海広がりているカモメなど飛べ

東京の銀杏はいまだ散らずあり高層ビルの谷間彩る

東京の仕事が終り帰るとき大きエントツ煙なびかす

12月9日(日)

門松も完成させて施設での今日大掃除終了す

東京へ行く用あれば帰宅日の子供を残し施設後にす

青々としたる海原前にしてアロエの赤き花が群れ立つ

どうしても行く用あれば早朝に寒気厳しき東京へ発つ

ゴルゴタの丘登り行くキリストの十字架いかに重たかりし

12月8日(土)

下田さえかく揺れたれば三陸沿岸いかになれるや

寒風にわが家が揺れるとおもいしにまた東北の地震というか

寒風がいかに雨戸を叩こうとわれの心のなかに入れぬ

朝まだきトタンの屋根はうっすらと霜おきており師走七日は

うっすらと霜置く見ればつくづくと師走七日になりにけるかも

12月7日(金)

轟音を立てるごとくに雲分れ空本来の青色となる

政治とはいかなるものかたとえれば「花よりだんご」食べさせること

「広島は今雪なんだ」遠方の友は電話にまずは言いたり

磔刑となりしキリスト真実は二千年経て今に伝わる

真実に今を生きたし十年後百年後にも変らぬように

12月6日(木)

花白くなりたる枯れし鶏頭の茎はいまだに赤味おびおり

苦しみていたかもしれぬ鶏頭の紅蓮の花も枯れはてにけり

滾ちたる心の色と見ておりし鶏頭の花枯れて静けし

病床に燃えるがごとき鶏頭のその赤き花見ておりたるや

柊の棘帯びし葉のすき間より小さな白き花の群れ咲く

棘よろい近づきがたき柊の木に花咲きてよき香りする

12月5日(水)

師のみ魂(たま)宿れる屋内(やぬち)通夜の席びょうびょうと吹く木枯しを聞く

小がらなる恩師の遺骨太ぶととしたるを拾う明治生まれの

最後まで歌稿を握り添削をしておりし師よ百歳を越ゆ

凍てつける師走の空に星ひとつ蛍火のごと流れゆきたり

ゆっくりと湯舟に浸かり聞いている水滴ぽとんぽとん落ちるを

12月4日(火)

すっかりと庭木の頂き剪定し日射し長々部屋に入りくる

縁遠くなりたる友が植えくれし柊の白き花のにおえり

良いことを思えば必ず成就するこれ言霊(ことだま)というのだろうか

手の平をこちらに向ける阿弥陀仏わが苦しみを救い下され

「寒いなあ」妻へ言いたりなんとなく何か言いたき気分となりて

12月3日(月)

さっぱりと葉を落としたる銀杏(いちょう)の木ひと世終えたるものの静けさ

頬しまるつめたき朝よ山々の木々の葉赤き色を増すなり

クラス会友の笑顔がうつうつとしたる心をくだきくれたり

うつうつとしたる心はあたたかくつつまれ友の話しに笑う

キリストは信じ愛しすることならんわれを不眠に苛(さいな)む人

12月2日(日)

林立する高層ビルを青山のホテルに目覚めしばし眺める

青山のビルとビルとのあわいにて雀飛び交う姿見つける

青山の高層ビルのその上の曇れる空にカラス飛びいる

夜を通し点りていたかガラス張りのショーウインドにツリーきらめく

街中にひと本立てる欅の木そこをよすがと鳥ら群れいる

「分らないことが好きなの」はにかみて八十歳の石垣りんさん

12月1日(土)

無農薬野菜の勲章誇らんよ穴だらけなる白菜キャベツ

白雲は茜(あかね)に染まり紅葉(もみじ)なす山ともどもに暮れなんとする

すっかりともみじとなれる伊豆高原子に会いに行く車窓を飾る

早朝のもやる海原うっすらと大島影が浮かびて見える

生きている考えている歩いてるわたしはしっかり生かされている