今週の短歌

 わたしの歌歴(後藤人徳)
 昭和59年「賀茂短歌会」入会。現在編集発行人。
  歌集:「母胎」、「祈り」、「わが家の天使」

以下に紹介します作品は、作ったばかりのものをそのまま書いています。推敲の手があまり入っていません。未完成の部分が多々あると思いますが、参考にしてもらえれば幸いです。...作者より


茜差す雲を頭上にミレー作「夕べの祈り」のごとく子とわれ


今年の目標は口語短歌に挑戦したいと思います。多少歌が軽くなるかもしれませんが、またまだその力がないとも思いますが挑戦したいと思います。また去年歌集を作ることを色々な理由で断念しましたが、今年はせめて三郎に関する歌だけを集めて一冊にまとめられたらと思っています。


4月30日(火)参考:日々の気持ちを短歌に(ブログ)

水田が出来上りたり空映し鯉幟をも泳がせている

せいせいと今年はつつじが咲かないと言いつつ躑躅の道を歩めり

啄木の歌思いつつ歩きたり矢車草の咲く花畑(はなばたけ)

テロにして人を殺して何になるイエスの心は今も生きいる

十字架に死にしイエスが二千年経たるこの世に復活をする

マタイ伝冒頭に続く血の流れイエスに至り霊となれるか

純なるかイエスの言(こと)に即(そく)応(こた)え全てを捨ててペテロ従う

4月29日(月)

通所する少女突然死にたれば施設長理事長声をつまらす

喬木に登りつきたる山藤がナダレを打って咲き垂れている

対岸の山の中腹むらさきの色のかたまり山藤の花

山藤がむらさき色に飾りおり支えてくれる木へのお礼に

連休の初日にしてはすいており天城峠を越える買物

夏に向け帽子を買うとかぶりたり鏡にうつる顔は何者

4月28日(日)

養護施設つくし学園今日無事に二十四年度総会終る

親の会決算報告予算案無事に説明して終りたり

下痢吐き気三週間前に苦しみし子は施設にてもちなおしたり

施設より三週ぶりに帰りたる子の顔青くとがりて見える

子離れが出来ぬ親だと告白し無理矢理子供を帰宅させたり

図書館に職を得たるや障害者福祉会に君入会をして

4月27日(土)

ざるそばは五百円なり昼食は牛丼二百八十円とす

浜松のフラワーパークに決りたりうなぎ食べたい意見も入れて

舘山寺お寺ではなく地名にて見るべき所ないとの意見

舘山寺よりはフラワーパークだと女性の意見に落ち着いてゆく

障害者福祉会旅行打合せいつものようになごやかに過ぐ

4月26日(金)

図書館に来るに臨時の休館日なすすべもなく帰る外なし

角川の雑誌「短歌」を買い来る佳作に友の名前が載れり

組長の折に区長をなさりしよその後会えずに訃報に接す

障害者福祉会われ学校の文具の注文取りまとめたり

真夜中に必ず一度目が覚めるそこでブログの更新をする

4月25日(木)

長き坂登り着きたる小学校下りる楽しみ噛みしめ帰る

西伊豆に少年時代過せしや三国連太郎急に親しき

オレオレの詐欺の横行日本の美徳なくなる恐怖を感ず

ハナミズキさくらの花の色に咲き黒船祭りの近づいている

雨の音激しく屋根を叩くゆえテレビのボリューム手許で上げる

4月24日(水)

テロリストの悲しい心歌いたる明治末期の啄木の歌

「うっ」という叫び声挙ぐ足もとに横たわれるはくちなわなるぞ

風強きことを好める園児らよ空を泳げる鯉のごとくに

新聞に載りたる歌に付いているわが名がいやに大きく見える

施設にてわが子病(やまい)を癒せるや今週はきっと帰っておくれ

4月23日(火)

水求め川に垂れるか山藤よ今年も初夏の心は乾く

芸術は爆発なりというようにつつじの花が満開となる

アメリカにチェチェンに心休まらぬ青年は今破壊を選ぶ

蝙蝠のごとく属する場を持たぬ青年ならん爆発せしは

なにもかも楽になりゆく世の中に残されている悩める心

4月22日(月)

早朝の「こころの時代」に鑑三が登場すれば心して見る

冷雨降る施設より子が帰らざるわれの心の中を濡らして

畑には葉ものが途絶え鶏(にわとり)の餌をさがせり雨降るなかを

プリンター壊れてしまう取り寄せのインクを昨日取替えたるに

役員のわたしの家に今日二件区費を届けに組長が来る

4月21日(日)

熱出(い)でて家に帰れぬわが息子今宵施設にいかに過すや

先週はわれらが病みて今週は息子が発熱帰宅かなわぬ

施設より息子帰れぬ夕食をテレビを見つつ妻と食べいる

子の来ない土曜の夜も何時の間にコナンを付けて食事している

明日はビデオショップに買物にいくはずなのに息子が来ない

4月20日(土)

日本の三大薬師のひとつという伊豆箕作(みつくり)の米山薬師

二年後に三十年ぶりご開帳伊豆箕作の米山薬師

高僧の行基開きし米山寺(べいさんじ)薬師如来が祀られている

米山寺(べいさんじ)春の大祭役員の十三名で執り行なえり

施設へと預けおる子が熱出(い)でて明日の帰宅が取り止めになる

施設へと預けおる子が感染し自宅に呼べばわれらがうつる

4月19日(金)

毒虫に刺され腫れたる首見せに今日診療所の受付にいる

一週間前来たばかり受付に虫に刺されて来ましたと言う

咳込める人の隣りに座りしもすぐ席を立ち距離を置きたり

昨日は母のことにていっぱいで自分のことに思い到らず

病院の待合室は歌のこと考えるには良い場所みたい

歌評など考えながら病院の待合室に時を過せり

おだやかな楽流れいて病院の待合室は心なごめり

どうという歌になけれど思いつくままに手帳に書きつけてゆく

こんなにも病気の人が多いのかかくいうわれもその一人なり

百歳になりたる人よ長生きを恥ずかしきことと言いにけるかも

こんなにも待たされるのか一時間二十数分今経過する

診療所待ちくたびれて出るわれに尾をふりている鯉幟見ゆ

愚かなる人なるわれは背伸びして地に足跡を残せず逝くや

へそ曲がり変わっているがおもしろい茨木のり子詩集見ている

病院の待合室に十五首の歌作りたり二時間ほどで

病院の待合室に歌作る今日のノルマは達成される

4月18日(木)

総会の前に書類のチェックをとまず会長に郵送をする

実績に基づき予算を作成し会長へまず郵送をする

母親を乗せ三ヶ所の病院を巡り診察してもらいたり

眼の医者へ皮膚科耳鼻科と三ヶ所の病院巡る母九十二

母親の診察待ちの時間もて歌評の原稿少しずつ書く

次回から薬貰いに来るだけで母連れくるは免除されたり

4月17日(水)

ようやくに柿の若葉の出そろいてさわやかに今ゆれそよぎおり

知らぬ家尋ねてたずねて行く道に早や藤の花咲き垂れている

盲人を癒すイエスの話ありわれに短歌の目を開かせよ

人の歌選評などもしておれどわれにはたして見えているのか

千余年続く日本の和歌の道キリスト教とあるいは似るや

4月16日(火)

食欲よもどっておくれヨーグルトバナナはちみつ食べれるほどに

歌会も参加者少なく一時間早く終ればなんとかもった

歌会で話しておれば一時(いっとき)は病い忘れて元にもどれり

わが歌集ネットで販売されている値段一円買占めようか

少しだけ妻に元気が戻りたりなんだかわれも力出てくる

4月15日(月)

用水の清掃作業に遅刻せり着きたるときに挨拶終る

風邪ぎみの体を押して出掛けたり今日は地域の清掃作業

溝さらいするは若きにお任せし道の草切りゴミ掃きをする

妻もわれも食欲なしに昼とする妻治らねばわれもなおらぬ

面白い視点があれば聞いている斉藤斎藤講師の名前

日射し避け障子を閉めて横になる昼の蒲団のこの柔らかさ

4月14日(日)

喘ぎつつ坂登りゆく生きるとはかくも苦しきことと思いて

下痢吐き気風邪引き弱るわがもとに突然友の手紙舞い込む

下痢吐き気風邪に苦しむ神木はお祓いをして伐(き)り倒せしに

花水木咲き始めたり黒船の祭り今年も近づいている

クラス会案内状を出し終えて仕事少しく片付いている

用水の清掃作業明日(あす)あれば備えて早く眠らんとする

4月13日(土)

ノロと言うわれの言葉に受付はうろたえ車で待つように言う

嘔吐物素手に処理した妻もわれもノロウイルスに感染をする

過ぎたことあれこれ言っても仕様がない菌はどこにも存在をする

診療所にまた銀行に今日の日は待つことがわが運命と知る

一円もおろそかにせぬ銀行の窓口前の椅子に待ちおり

4月12日(金)

吐き気あり下痢ありノロのウイルスに感染したか妻もわたしも

施設より子が帰り来て嘔吐ありノロウイルスの症状として

共同の生活なれば施設でも家でも菌に感染をする

平静の心をもちて細菌が排出されゆくことを待つのみ

白浜の歌会歌稿遅れいて原氏がわざわざ届けてくれる

4月11日(木)

種ほどの大きさになりなっている梅よ今年は梅酒作らん

ぎしぎしと庖丁を研ぐ妻の背をそっと黙って見ていたりけり

葬式の疲れが出たか歌会でついつい居眠りしていたりけり

指折りて定型にきちり揃えよう百二歳なる諭し尊し

現実の話なのだがだんだんに足浮きあがる詩の世界へと

4月10日(水)

なにもかも機械化されて行く世にて残されている悩めるこころ

悩みこそ人のもっとも崇高な行為と思う突詰め思う

なにもかも楽になりゆくこの世にて苦があり目には見えぬものにて

幸せはいかに来(きた)るか苦しさを乗り越えたれば来ると言うか

幸せはいかなるものか苦しさはいかなるものかかなしかりけり

4月9日(火)

美声にて歌いし人よ思い出す三橋美智也の「りんご村から」

カラオケもなかりし頃よ節長く歌いしことも思い出(い)で来ぬ

パソコンで香典帳を打ち出せる時代となりぬ便利になりぬ

香典を数え終りてパソコンの数字と合わせはい御名算

香典も供物も収支もパソコンに打込み印刷してはい終り

4月8日(月)

施設より帰りたる子に妻も吾も鬼軍曹となり命令す

新芽出(い)で全て新たに始まるに春の嵐をわれは好(す)かない

竹薮に物音するは強風に幹打ち合える孟宗の竹

外出の前にかけるや洗濯機妻居ぬ家に回りていたり

その車止まれと言われ止りたり春の交通安全週間

題詠「水」

津波にて九死に一生得し人もまず言いたるや「水をください」

4月7日(日)

賞などはもらわざれども啄木もまた牧水も歌すばらしき

「回覧板」大きな声で返事待つ独り暮らしの人の返事を

施設へと迎えに行くに雨という予報通りに強き雨風

たばこ止め幾年月ぞ自販機に並ぶは全て四百円越す

良く見ればホープは二個と書いてある一個は二百二十円なり

4月6日(土)

椎の木の枯れしを伐(き)ると神主のお祓いをする神木なれば

産土の神社に生える大きなる椎の木伐(き)ると神事行う

一万年十万年後の地震より北朝鮮の核を怖れる

役員になれば神事に出掛けたり二拝二拍し一拝をする

明日(みょうにち)は台風並みの風雨という施設に子供を迎えに行くに

4月5日(金)

丈低きたんぽぽの花踏まれても今年もここに命をつなぐ

踏まれても同じ所に花咲かすたんぽぽ今日は避けて通りぬ

なにとなく暑くなりたり朝方はあんなに寒いさむいと言いしに

決算といえど全ては予算にて振り回さるる公的資料

予算ではなく実績が大事なり役所のほうが違っていないか

4月4日(木)

二時間や三時間待つバスなれど今雨のなか待つ人がいる

雨にぬれ散り敷ける花ひかりおり涙を流す人はおらねど

花びらがまばらに付きて化粧するこの石垣がはなやぐは今

箕(み)を作る人はおらねど箕作(みつくり)の地名残れりわれが古里

この雨ですっかり桜散りにけり甲子園では済美負けたり

4月3日(水)

聴くことの尊きことを教えるやみ仏の耳みな大ききは

寂しさを訴えてるや亡くなりし友を何度も数えつつ言う

白菜をきざみてやれば鶏も喜ぶらしきその黄の花を

雨にぬれ桜の花はしずくするぽとりぽとりと涙ひかりて

目のためとブルーベリーの苗植えし今小さなる花咲きており

4月2日(火)

ひんやりとしたる目覚めよ八方の山満開の花冷えの朝

すいすいと枇杷の若葉が伸びていてわれの歩みにリズム生るる

枯れぎわのあえぎにも似て椿の木根方に赤き花を敷きいる

幾世代かけてかような美しき声音(こわね)となるやうぐいすが鳴く

黄砂には汚染物質が含まれて今年のさくら咲きが悪いか

4月1日(月)

箕作(みつくり)と地名の残る里山に桜の花が満開となる

箕(みの)作る材料得んと植えしなり今は桜が咲くばかりなり

その皮を使いて箕を作りしよ桜の花を見れば思い出(い)づ

炭焼きも箕作りもいまおらぬなり荒れたる山に桜花咲く

山道はとうに崩れて登れぬが桜の花が満開となる