今週の短歌NO.33

 わたしの歌歴(後藤人徳)
 昭和59年「賀茂短歌会」入会。現在編集発行人。
  歌集:「母胎」、「祈り」「わが家の天使」

以下に紹介します作品は、作ったばかりのものをそのまま書いています。推敲の手があまり入っていません。未完成の部分が多々あると思いますが、参考にしてもらえれば幸いです。...作者より


茜差す雲を頭上にミレー作「夕べの祈り」のごとく子とわれ


6月30日(日)参考:日々の気持ちを短歌に(ブログ)

天に向き白き大輪開きたり泰山木は大木にして

丑の日にうな重どうぞと言われたり知り合いなれば天重頼む

昨日の旅行の残り缶ビール飲みてすっかり酔い回りくる

うとうとと酔い回りきてテレビより流れる曲の「雪国」を聴く

テレビより流れる曲は「舟歌」か昨日旅行のバスで歌いし

音楽の日なのか今日はただしかし十三時間は付き合えないが

コマーシャルまたコマーシャルどうしてこうもコマーシャルまたコマーシャルまた

6月29日(土)

浜松のフラワーパークへバス旅行朝の七時に出発をする

障害者福祉会でのバス旅行今日一日の無事を祈れり

レパートリー二十曲より歌いたり行きに八曲帰り九曲

わが十八番(おはこ)「川の流れのように」をば先に歌われ断念をする

ディズニーのおとぎの国のごとになり花で作れるフラワーパーク

調整を加えて昼に咲かせてるフラワーパークの月下美人は

温室は花粉の匂い満ちていてたちまち頭がくらくらとする

二千年の眠りを覚めて大賀蓮今が盛りと花咲かせおり

6月28日(金)

カードより不明なものが引かれてるアマゾンなのに何だいこれは

明細にアマゾンプライム電話という項目ありて引かれているが

アマゾンが大アマゾンが詐欺的なことするはずがないではないか

請求のアマゾンプライムって何だもう一度よく調べてみよう

知らぬ間に三千九百円なるぞわがカードから引かれているは

カードから不明なものが引かれてるわが混乱は頂点となる

6月27日(木)

真夜中に硝子戸叩き飽くなきはカナブン一匹光求むる

雨のなか目を病む友は車にて目的地まで乗せてくれたり

賀茂郡の文化協会役員が豪雨のなかに今日集れり

西伊豆に集りたれば雄三のミュージアムでも見ることにする

歌楽器作曲スキーまたヨット絵画もやれば頭が下る

一本の木も真直ぐに伸びいるは生きてやるぞの信念ならん

踏まれてもふまれてもなお葛の蔓崖這い上り舗道に伸びる

6月26日(水)

題詠「硝子」二首

施設より帰りたる子は硝子戸を開け網戸あけ雨を見ている

もの言えず心閉ざせる子はまるで硝子細工のように籠れり


あまたなる木の葉を愛し訪う風はわれのこころも癒してくれる

増水の小川の水が堂々とその存在を示し流るる

濁流となりたる波が方舟を早よう造れと言わんばかりぞ

6月25日(火)

裏庭にくちなしの花咲いてるとわれの手を引くもの言えぬ子が

くちなしの甘き匂いよ施設へと預けてきたる息子が浮ぶ

施設にて暮す息子よくちなしの甘きにおいをかげば浮び来

施設へと汝(なれ)を預ける原因はわたしの方にあると気づきぬ

雛一羽いじめられおり突っつかれ背の羽あらかた抜け落ちている

雄が五羽雌が一羽のその雛がいじめられおり雌鳥たちに

6月24日(月)

施設にて無事を知らせるためなるや子はかみ傷を隠していたり

施設より帰れる息子かみ傷を隠さんとして風呂を拒みぬ

わが知識かくもお粗末無知なるか今更ながら師を思い出す

もう少し素直に教えに従えばこれほど惨めな気持にならぬも

若き日にわが師はすでにこのことに気づいていたか今気づきたり

日本も西洋のこともなにもかも深く思わず七十となる

6月23日(日)

小旅行無事子は帰りお土産と鯵のヒラキをわれに手渡す

十二個の半分六羽が孵りしも五羽雄鶏の形してくる

ご主人が亡くなられたる歌友(かゆう)より七月号の原稿届く

母上が亡くなられたる歌友より七月号の歌稿が届く

両足を骨折したる小池さん松葉杖でのリハビリ便り

6月22日(土)

黙々と缶潰ししてわが息子今日千円の月給を得る

台風は低気圧にとなりたるか子の小旅行無事帰れるや

世渡りの拙きわれぞ子供等もいかに生きるか都会に出でて

自己主張せぬわれなりしドクダミの花を厭いて踏みつけにけり

心障のわが子と風呂に入りつつ人厭いたる心いやさる

暗き歌作るはやめよなにもかも受け入れるんだ自然体にて

6月21日(金)

東風強きときには雨漏りす盥を置きて眠らんとする

荒き風過ぎたる後の穏やかさしみじみとして妻と語れる

幾匹の蛙輪禍に会いたなら此処の危険を悟るのだろう

奥入瀬の渓谷抜けて十和田湖に行きしは新婚旅行の思い出

「雪国」も「酔歌」も「酒よ」もカラオケで歌うも何故か上手くいかない

6月20日(木)

題詠の「解」の短歌を作らんと三日経ちたり未だうかばず

色々な団体における会計を引き受けているプロではないが

高校は商業大学商学部会社はなぜか経理で通す

会計をまとめて処理すこんなにもずぼらにわれはなってしまった

短歌など作っていてはいけないぞ金が合わない金が足りない

6月19日(水)

今週は妻もわたしも新聞に短歌が載らずしょぼくれている

知事選は大差で敗れてしまったがやはり現職が強かったのか

「解」という題詠なるが解答も解決も未だ出来ないでいる

「雪国」と「酔歌」と「酒よ」カラオケをユーチューブにて練習をする

なぜだろう選挙になると気狂いしもののごとくだ君もわたしも

6月18日(火)

山焼きのごとくに霧の流れいて今日も朝から暑くなりそう

父の日に送りくれたる万歩計早速バンドに挟んで歩く

父の日に送りくれたる小銭入れ黒皮チャックもがっちりしてる

白浜の短歌会にはカラオケの機器持ち行きて歌唄いたり

欠席者多い歌会カラオケで「故郷」歌うふるさとはいい

6月17日(月)

作り過ぎ妻の批評はわが歌の欠点を突く心して聴け

会津藩西郷頼母維新後は伊豆に流れて住んだことあり

選挙カー一台も来ぬ過疎の里県知事選の投票をする

雨のため山の下刈り中止なりまず知事選の投票へ行く

心病む子も父の日が分るのか好物の寿司を食えと差し出す

6月16日(日)

妻の歌良さ知りたくて十年も前のものから読み返しおり

生活と実感があるしみじみと妻の短歌を読みての感想

草刈りも無事に終りて広場にて納涼祭の打ち合せする

新聞に載ってましたと施設での奉仕作業の折りに言われる

妻は子に沢山食べさせようとする食べ過ぎだよと??りたるわれ

6月15日(土)

遠く住む子らにしてやることあるや健やかなれと日々祈るだけ

まだ少し早いけれどもビワを採り遠く住む子に送りやりたり

明日(みょうにち)は施設の草刈り注意せん土曜日曜子の世話がある

日曜は山の下刈り月曜は歌会があり白浜に行く

散髪しさっぱりとした金曜日しかしどうしてこんなに暑い

6月14日(金)

白浜の歌会のため今日一日歌評考え下書きを書く

円上がり株大幅に下りたりああ安定の世の中となれ

小雨降る今日の暑さよ家内に籠りていればなおさらのこと

明日(みょうにち)はさっぱりしたい散髪で気分転換しようじゃないか

枇杷の実がやっと色づき食べられるようになりたるもの多少ある

6月13日(木)

歌会は結局四人広い部屋さみしいけれど楽しかったよ

高齢化しているけれどわれわれはますます元気でがんばってます

父の日は何が良いかと電話あり小銭入れなどいいね黄色の

黄の色は金運増すと風水の言葉信じて小銭入れ買う

助詞ひとつ大切にする気持にて黄色い小銭入れを買うな

6月12日(水)

かたつむり水中よりも安全か殻がこんなにやわらかくなる

舗装路に踏み潰されし蝸牛こころ優しきもののごとくに

里山を水面(みなも)に写しさえさえと棚田の早苗育ちいるらし

薯の蔓さしたるばかりぞ鼻歌で雨あめ降れふれもと降れふれ

新聞の全国版にわが歌が地方版には妻の歌が載る

6月11日(火)

高枝になりたる梅の実ひとつづつ採りてようやく二キロとなりぬ

アフリカの食糧飢饉訴える手紙が今日も舞い込んでいる

歌にするほどのことでもないけれどバサバサバサと草刈りにけり

サボテンの気持が分るという人は僧侶にして毬栗頭(いがぐりあたま)

人間はどんどん愚かになりゆくか刻んでゆくと命なくなる

6月10日(月)

南天の白きつぼみが米粒のごとき形にかたまりている

知事戦はあと一週間川勝氏勝つか広瀬氏勝つか

一週間後に結果が判明す知事戦ポスター皆笑顔なり

箕作区役員会に遅刻して車止めれば巡査寄り来る

「入口に車止めてはいけません」舗道に巡査近づいて来る

役員を引き受けたるが最初から遅刻しているこれでいいのか

6月9日(日)

二階より落ち骨折をしたという歌友のこと連絡がくる

紫に桃色青といろいろに紫陽花の花咲き誇りおり

ようやくにビワの実色が付き始むまだすっぱいが試食してみる

目の縁を黒くしている今朝どこかぶつけたらしい子が帰宅せり

施設へと預けておれば子の顔に傷がつきても文句は言えぬ

6月8日(土)

習慣になりたる部屋の清掃が懺悔のごとくこころ鎮める

青き実をあまた付けたるひいらぎよ刺とげとしてみのり迎える

高き枝のこぎりにより切り落し梅の実10キロ採り終わりたり

ジャガイモも梅の実もほぼ採り終えて明日施設へと子を迎え行く

カラオケはユーチューブでも可能なりバス旅行のため練習をする

6月7日(金)

沢山にブルーベリーの実がつけば早速防鳥ネットを準備す

雨という予報を聞きて鶏の餌を探しに野を歩きたり

雨という予報を聞きて残りいる梅を夕方採りはじめたり

乾梅雨を恐れていたり芋の苗ひとつふたつと枯れ始めおる

五位鷺はかなしき声でうすぐらき夕暮れのなか一羽飛びいる

6月6日(木)

ほんとうはカラオケのほうが好きなんだ短歌も同じ歌ではあるが

カラオケに「南国土佐を後にして」歌えば百点満点が出る

早朝に突然に啼くホトトギスなにか急(せ)かせるごとき気がする

雨によりジャガイモの葉が枯れたれば腐らぬように早めに掘り出す

日をうけてまぶしきまでに白き肌次から次へとジャガイモが出る

6月5日(水)

役員会予算なければスーパーで三百円の弁当を買う

天丼にお鮨カレーにカツカレー三百円のメニューいろいろ

浜松のバス旅行のためカラオケの練習をするカラオケ楽し

カラオケの機器に点数表示され百点なればサインしてと出る

サッカーは二足の競技恐竜に似ているなあと急に思いぬ

6月4日(火)

明日(あす)採るの思いは雨にくだかれてあらかた梅の実は落ちにけり

栗の花咲き始めたり初夏の甘き思い出つれ匂うなり

里山を水面(みなも)に写し水田の早苗大きく育ちいるらし

自信ある歌送りしも今週も新聞歌壇に採用されぬ

月一度新聞歌壇に載ることを目標にして今日も送りぬ

6月3日(月)

施設より帰りたる子にお仕事と言いて出て来ぬ今日クラス会

この坂を一気に登り通いたり久しぶりなりかみしめいる

山の駅に電車を待ちおれば風強くなり肌寒きかな

曇りたる今日の天気よ晴れ晴れとしてクラス会友と会いたし

雨という予報はずれて薄日差しクラス会への心はずめり

トンネルを出(いず)ればそこは伊豆の海いらっしゃいませと言うごと光る

ここの枇杷もうこんなにも色づくかわが家はいまだ青きままなり

6月2日(日)

雨誘う蛙の声が田に響く明日東京にクラス会なり

青色がうす紫に変わりおりようやく紫陽花の季節となれり

妻の歌少しまとめて歌集にでもしてみようかとふいと思いぬ

わが作歌妻との縁が遠因で障害の子の誕生による

三冊の歌集作りし経験を生かして妻の歌集作らん

施設より帰りたる子は今日もまた眠らず夜を過すならんか


6月1日(土)

二十年前のわが歌読みておりみずみずしきぞこれらわが歌

靴底のひび割れたるに気づきたり朝露つける草を踏みつつ

草の道踏みて歩めば靴下が湿りてきたり清き朝露

草原にあまねく朝の光差し葉先の露に光生るる

栗の木にあまたの髭が伸びはじむ花を咲かせる準備となして

枇杷の実にようやく色がつき始む去年漬けたるびわ酒を飲むか