今週の短歌NO.35

 わたしの歌歴(後藤人徳)
 昭和59年「賀茂短歌会」入会。現在編集発行人。
  歌集:「母胎」、「祈り」、「わが家の天使」

以下に紹介します作品は、作ったばかりのものをそのまま書いています。推敲の手があまり入っていません。未完成の部分が多々あると思いますが、参考にしてもらえれば幸いです。...作者より


茜差す雲を頭上にミレー作「夕べの祈り」のごとく子とわれ



8月31日(土)参考:日々の気持ちを短歌に(ブログ)

蒸し暑いじっとしててもじっとりと汗が出てくる歌は浮ばず

何となく体がだるくてしょうがないなのに畑に妻は働く

血糖値少し上がっているのかも夜中に口の乾き気になる

外出をする気力なく犯人を捜すテレビを見て籠りたり

テレビでは健康食品のコマーシャル割引無料が氾濫をする

8月30日(金)

早くから蝉がじんじん啼き立てる働け生きよと言わんばかりぞ

八月というのにすでに百日紅あらかた花が枯れてしまえり

百日紅その残り花枝先に揺らしていたり八月の風

鑑三が興味を持ちしヒッタイト古代のロマンに浸らんとする

仇討ちの好きな民族わが国は何か悲しき過去を秘めるや

8月29日()

二時間に一度通れるバス停に背と手に幼な連れる母親

黄の色に染まり始める田圃には人の形の案山子たちたり

人間の形をしたる案山子には犬のかかしを傍に添えおり

採点の出るカラオケの機器なれば何度もなんども挑戦をする

気持ちよく歌えるけれど幾三の歌はなかなか点が上がぬ

8月28日(水)

施設へと子を預けきてなにゆえに逃げるごとくにスピード上げる

藤圭子十五十六十七と暗く歌って身を投げたるや

それぞれに闇をくぐって生まれきぬ圭子の夢は夜ひらくああ

啄木は故郷(ふるさと)思い歌いたり圭子は何を思って歌う

啄木は決して短歌を捨てなかった圭子は日本を捨ててしまった

8月27日(火)

熱帯夜雨降り冷えてきたようだタオルケットを夏掛けにする

稲の葉が少し色付きようやくに秋の気配が里にひろがる

ふるさとを捨ててさまよう魂か藤佳子死す身を投げて死す

イベントを止めようという役員よ村の祭に若者不在

若者が来ぬ村祭支えるは小学生に老いびとばかり

題詠「隙間」

自働車と塀の隙間をぬけてくる得意顔なる三歳の孫

障害を持ち生きている子の笑顔われの心の隙間を埋める

8月26日(月)

角川の雑誌短歌の公募館二ヶ月ぶりに佳作入選

四名の共通選歌佳作でも選者二名に選を頂く

十月のまつりの準備打ち合わせ今夜7時に公民館へ

カラオケはわたしにおまかせ下さいと言っては妻に怒られる

わたくしのカラオケの声艶がない鋭く今日も妻が評する

8月25日(日)

ようやくに歌稿が届き同人誌八月号の製作開始

同人誌八月号がようやくに印刷終り製本をする

編集も印刷製本なにもかも一人で行うわが短歌会

一ヶ月遅れとなるが同人誌八月号の発行をする

角川の雑誌「短歌」に今月は渡辺さんの入選がない

8月24日()

人間の小さなちっさな営為なり朝と昼間に鶏(とり)に餌やる

今日もまた歌稿が友から届かざり暑い日照りの空を見上げる

遅れいし図書券届く新聞の歌壇に入選したる謝礼ぞ

入選の謝礼の図書券送り来て心を込めてまた投稿す

来月の歌会日時図書館に行きて予約の手続き済ます

8月23日(金)

乾きたる蓮田のなかの高々と伸びたる茎に花が咲きおり

九月分歌会歌稿あと一人いつもぴったり集まらなくて

二十年越しの計画縦貫道下田沼津の直結の道

真直ぐに下田と沼津をつなぐ道夢のごとくに二十年経つ

縦貫道航空写真で説明を受けてもわれにはぴんとこなくて

トンネルの多い計画なんだけど縦貫道は遅遅と進まず

東北の復興がまず先だろう下田も津波の危険はあるが

8月22日(木)

雨戸開け眠りていたら満月がこうこうとして顔を照らせり

お月見を今年はしようカレンダーの9月19日印をつける

百日紅とは名ばかりかさるすべり猛暑に負けて枯れ始めたり

東北の二校が消えて宮崎と群馬の明日の決勝いかに

前戦はぴりっとしない横瀬なりし今日完封す延岡学園

8月21日(火)

妹のところに母が二週間世話になってる有り難きこと

車椅子手配してくれ電車にて九十二歳の母上京す

母親の年金までも金繰りにつぎ込まざるを得ないというか

兄弟の一人一人が自らの力で生きるそれがしあわせ

妹にトマトやなすやカボチャなど送りてせめてのお礼としたり

8月20日(火)

葛の花向上心は負ないとその蔓伸ばし花を咲かせる

くずという名を持つなれど上をむきそのくれないの花を咲かせる

垂れて咲く藤の気品はなけれども常に上向き葛花咲かす

猛暑には勝てぬかここの百日紅あらかた花が枯れてゆきたり

心持ち暑さも弱くなったかと元気出すため妻に言いたり

8月19日()

子の霊が今年もわが家に訪れて生きるわれらを見守りくれる

一年に一度お盆に帰り来て子の霊今年も見守りくれる

まぶしいが青空を見るすがすがと心の中が洗われてゆく

恐竜の骨格のごと鉄骨が錆び夏草のなかに曝らさる

排卵の終りしにわとり飼うことがわがボランティア活動ならん

8月18日(日)

奉仕することが会長職なりと交際費をば拒絶するなり

高齢になれば会長辞したいと言えども後を継ぐ者がない

十七対一で敗れし試合でも炎天のもと応援をする

目を合わす瞬間なりしわけもなく妻と定めし見合いの席で

妻と会い障害の子を授かりてそれから作歌を始めたるわれ

結婚の成否はわれに分らねど死後に残らん数首の短歌

8月17日(土)

朝まだき四方八方山山に蝉鳴く声が聞えくるなり

うっすらと靄のかかれる山々に底こもるごと蝉の鳴き声

福島に八重の桜が散るように聖光学院ああ敗れたり

じんじんと耳の奥処(おくか)に沁み透る朝早くから鳴く蝉の声

空蝉になりてもなおもすがりいるこの執着を蝉に学ばん

8月16日(金)

ひと月もたたぬに花が枯れ始む百日紅も猛暑に勝てず

若衆(わかいしゅう)になることもなく都会にて年を重ねしわれかと思う

笛太鼓祭り囃子を聞きながらわれの孤独は深まりてゆく

旅人に混じりて祭を見ていたり若衆にはなれず老いたり

潮風が肌に涼しき椰子の木の下に座りて花火を待てり

打ち上げの音におびえて帰らんと子は立ち上がるこれからなるに

振り返りふりかえりして帰るなり花火を怖れ子が手を引くに

8月15日(木)

一日の命というがその花が枝に枯れおり今年の木槿(むくげ)

あまちゃんの効果があるか岩手県花巻東勝ち上りたり

接線で勝ったのが良し四番打者打てなかったが次につながる  (常葉菊川高校勝利す)

漆黒の影を地上に引き歩く万歩の道に挑まんとして

花火より家でサッカーを見たいのに妻子に負けて出かけんとする

8月14日(水)

身を焼いて悲鳴あげるか蝉の声めまいのごとくわれに迫り来

久しぶり新聞歌壇に入選す二重投稿トラブルを経て

ようやくに妻も治れば半月も遅れて子供を迎えに行きぬ

久々に家に帰りて嬉しいか子は意味もなく二階に上る

施設にて風邪を引きしや妻叱る声も聞かずに子は毛布出す

8月13日(火)

彫刻のように浅瀬に立ちている白鷺一羽何思うらん

どうしようもない差があるや世界陸上勝者はまたも美しくして

なにかしら取得(とりえ)はあらんあわれわが運動神経多少鈍るも

中学の郡の大会千五百メートルに出たこともあったが

高校のラクビー部より勧誘に来たことあった酔うと自慢す

8月12日(月)

沖縄と野球の不思議な繋がりを見た思いする島田叡(しまだあきら)氏

沖縄はなんで野球が強いのか今年も沖縄尚学勝利す

福島の聖光学院も勝ち上がる八重の桜の効果があるや

あまちゃんの効果はあるか二日後の花巻東の結果はいかに

わが部屋は扇風機しかあらざれば己に向けて風を固定す

8月11日(日)

暑いあつい世界陸上モスクワがなんであんなに暑いのだろう

陸上の花のマラソン今まさに野口木崎と福士スタート

暑きなか百日紅が爆発しそのちぢれたる花を咲かせる

玄関を網戸にせんと思えども玄関自体改修要す

一万で網戸付けんと思ったがなんと十万以上かかると

8月10日(土)

十字架になるとも神を信ずというそのやすらぎが信仰ならん

法然を信じ地獄へ行くもよし親鸞のこの安らぎは何

苦しみを受ければそれだけ信じゆくこのやすらぎが信仰ならん

最悪の苦しみ受けるも信じるかこれより至福なことはあるまい

キリストがまた親鸞が達したるその信仰にわれも行きたい

8月9日(金)

障害者福祉会の役員会二名増加し計十三名

市会議員六期議長も歴任の人の話は聞くに値す

福祉にも興味ありますなんなりと相談をして役に立ちたい

障害者福祉会への補助金は五分の一に減らされました

自販機を一台増やしてもらえれば年間十二万円増える

昼食はスーパーに行き買いきたり一食二百九十円也


8月8日(木)
   
己(おの)が良さ汝(な)れはわからぬかもしれぬその無心こそわれは愛す
 
 
今週も家に帰れず熱帯夜施設の中でわが子は過ごす
 
熱帯夜明けたる山がもうもうと湯殿のごとく霧立ち込める
 
虫干のやり直しなり役員の三人神社に集合をする
 
今日はきょう昨日はきのう明日こそまさに明るき日となるだろう

8月7日(水)

ジイジイと孫が言う時どうしてもあたり見回す癖がなおらぬ

四歳の孫坂道をわれよりも早くしっかり登りゆくなり

抱かないと間に合わないと思いしにわれより速く坂登る孫

一枚の木の葉となりて大海に臨む思いが今日も兆せり

一葉のその葉(よう)の文字高校の簿記の時間の前葉次葉

一艘の小舟が沖に進み行く大仏となる雲に向かいて

8月6日(火)

孫のため準備していたカラオケの曲はやっぱり少し古いか

しゃぼん玉おもちゃのマーチちょうちょうも四歳の孫の歌にはあらず

月曜日なのにこんなに混んでいる水族館に人いきれする

ポーズとり撮られた写真が帰りには引伸ばされて千円という

なんとなく活気が出てきた感じする去年の夏と違う気がする

8月5日(月)

風祭りの神事のために朝早く神社に行きて掃き清めたり

虫干をしているさ中突然に雨が激しく降り始めたり

せっかくの虫干なるに突然の雨にすっかり濡れてしまいぬ

虫干も雨のためにて中断し役員のみでまたすることとする

虫干が中断すれば十二時に帰宅し孫を迎えに出掛ける

四歳になりたる孫がすっかりと大きくなって駅に手を振る

8月4日(日)

まんまるの地球を救えアンパンマン丸き頭とまるき目をして

荒れ果てたビニールハウス隣家のものにてあればそう説明す

夏草の中に埋まる鉄骨のむきだしとなるビニールハウス

妻の熱薬でようやく下れるか明日孫たちを迎えられるか

明日(みょうにち)は神社の虫干(むすぼし)神事あり孫が来る日と重なりしなり

8月3日(土)

真黒なその身を焼かれ働ける働蟻がわが足もとに

夏風邪を引いたのだろう頭痛あり微熱もあると妻訴える

なんとなくわたし自身も咳が出る夏カゼ引いた可能性あり

コンビにでむすびとコロッケひとつづつ買いて夕べの食事となさん

芸術祭準備のための全体会夜の七時に行かねばならぬ

8月2日(金)

電柵を廻し防鳥ネット張るスイカ畑の蔓が枯れたり

今年こそ子等に送ると育てたるスイカの蔓が枯れてしまえり

暑きなか咲かざるを得ぬ花なるや百日紅は燃える赤色

子の危篤任地のわれに電話せし妻の苦しみ思わざりしも

苦しむは自分ばかりというように妻のことなど思わず過ごす

8月1日(木)

重き身を運びながらの散歩道木陰に入りてしばし動けず

日盛りをはがき一枚投函に二千歩の道行きて帰り来(く)

ポストへの二千歩の道往復し全身汗の流るるを知る

もう一つ農協に寄る用事有りそれを忘れて帰り来たれり

ポストへの道に農協あるものを投函のみし寄らず帰り来