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今日の短歌NO.16
 わたしの歌歴(後藤人徳)
 昭和59年「賀茂短歌会」入会。現在編集発行人。
  歌集:「母胎」、「祈り」「わが家の天使」

以下に紹介します作品は、作ったばかりのものをそのまま書いています。推敲の手があまり入っていません。未完成の部分が多々あると思いますが、参考にしてもらえれば幸いです。...作者より
この先は楽観論に基いて生きゆくことを始めんとする

短歌は、三十一音からなる小さな世界です。その中に自分の思いを込めます。ですから、時間はなかなか織り込めない。今の一瞬、一瞬を歌うしかないのではないでしょうか。そう思います。また、そのように作っています。

短歌と私:高野公彦 田井安曇 五島美代子 五島 茂 岡野弘彦 田谷 鋭 塚本邦雄 土岐善麿 福島泰樹 前 登志夫 前川佐美雄 安永蕗子

短歌鑑賞:石川啄木(1) 大野誠夫 塚本邦雄 岡井 隆 前田夕暮 上田三四二(1) 上田三四二(2) 宮 柊二 斎藤茂吉(1) 斎藤茂吉(2) 

斎藤茂吉(3)


 
角川の特選に二人入ったと百歳さんより連絡受ける
 
百歳を過ぎてもいまだ現役ぞ角川短歌の特選となる
 
遺歌集を二冊欲しいの電話なり「在庫少なく一冊ならば…」
 
手助けをせし遺歌集の反響よし自分の歌集と雲泥の差
 
明日(あした)にて十一月も終りなり今年も残り一ヶ月なり
 
悩みなき時間は早く過ぎ去りて生きてることを忘れてしまう

11月29日(火)
 
ぼこぼこになっても香では負けないと小さな柚子ががんばっている
 
諸鳥の囀り響き裏山はもうこんなにも紅葉している
 
新聞に大きく掲載されたれば遺歌集求め電話また来る
 
遺歌集が良かった泣けた長々と九十歳の媼の電話
 
母と似る境遇なるを感じしと遺歌集求める声は若かり

11月28日(月)
 
十二月間近となればわが里の山もようやく紅葉をする
 
一面に雲の覆える里の空名を呼べば直ぐこだま返り来(く)
 
苦悩するなかに仏性があるという有り難きかな苦悩すること
 
変身の願望を持つ二十九歳子はゴレンジャー憧れている
 
スーパーはすでにクリスマス商戦で妻もついつい買い増しをする
 
11月27日(日)
 
いち早く頂きあたりが黄となれりいちょう黄葉本番となる
 
西空に沈まんとする太陽が雲を破るがごとく輝く
 
今日二個の卵を産んでくれました有難うさんウコッケイさん
 
落語家も大変だなあかわいそうドキュメンタリー立川談志
 
色々なことがあるんだ人生はそれでいいんじゃないんでしょうか
 
11月26日(土)
 
散り早きさざんかの花白ければはげしく亡き子を思い出しおり
 
金柑が早々として色づきぬ正月が来るおせち食べたし
 
やっと明日わが子に会える骨折しギブスしているわが子に会える
 
ギブスなどしたことのないわが子でも夏でないだけ幸いである
 
もの言えぬ子なれば指の骨折の原因は永久(とわ)の謎とならんか

11月25日(金)
 
風強く寒さつのれば残りたる柿を取りたり干し柿にせん
 
テレビでは談志ダンシと報じおり男子一生何かなさんか
 
今日勝ちて五勝となりし磋牙司なお崖っぷち明日もがんばれ
 
敗れたり六勝六敗高見盛早よ勝ち越して幕内に来い
 
女優には名女優には感じない男らしさをいつも感じる

11月24日(木)
 
大根を洗いつついて妻は言う少女のような真白な足
 
渋柿を甘くするため皮を剥(む)き冷たい風に干して晒(さら)しぬ
 
雨降るの予報があれば早々(はやばや)と干し柿を竿よりはずし保管す
 
毒舌の印象強く残りおり立川談志氏死亡のニュース
 
骨折のわが子は施設にいかにおる迎えに行かぬ父を恨むか
 
施設にて皆と仲良く暮すこと父の一番望むはこのこと
 

11月23日(水)
 
雲間より朝の光が差すようにいつしか銀杏(いちょう)は色づきている
 
一瞬を活きいき生きしためなるやいつでも死ねる覚悟を持つは
 
「寒いなあ」妻に言いたりなんとなく何か言いたき気分となれば
 
施設より電話がきたり指の骨骨折したと子のことを言う
 
「痛がっていても迎えは行きません帰園日まではお願いします」
 
これからも施設のお世話になる身なり骨折などに負けるな吾子よ

11月22日(火)
 
あわあわと浮きたる雲の間より鋭く光る今日の三日月
 
境内に高く伸びたる柿の木に今年も柿は鈴なりのまま
 
遺歌集がよかったよかった会員はなぜかわたしを褒めてくれたり
 
一冊の大学ノート遺りおり命かけたる二千の短歌
 
血の色の表紙をしたるノートなりこれはなんとかまとめにゃならぬ
 
二千首の中より選ぶ三百首命したたる遺歌集となる

11月21日(月)
 
畳替えしたる畳の新しき畳に雨漏りしたる現実
 
まったくに好事魔多しと言うべきか畳替えたる部屋の雨漏り
 
この雨にせっかく剥きて吊るしたる全ての柿がかびてしまいぬ
 
背丈より高く育ったコニファーも傾きたれば伐(き)り倒したり
 
昨晩の雨のなごりは濁流となり青空のもとに流れる
 
まだ青き銀杏(いちょう)の葉あまた揺り落し夜盗のごとく去りし嵐は
 
この雨に枝の折れたる薔薇の木はその真白なる花を垂れおり
 
青空のもとに頭を垂れているススキは揺るる風にまかせて
 
11月20日(日)
 
こんなにも進化してるかテレヴィのレコーダーこの厚い説明書
 
レコーダー買いたるも録画難しくやむなく業者に電話するなり
 
吹きすさぶ雨風のなか来てくれしレコーダー扱い教えんとして
 
雨に濡れ施設にゆけばさっぱりと散髪をして子は待ちており
 
降りしきる雨風のなか濡れながら畳屋さんも集金に来た

11月19日(土)
 
荒草のなかに育ちて薔薇の木にくれない匂う花が咲きたり
待望のレコーダーを買いたるも録画をしたい番組がない
遺歌集を一週間前持ち行くも今日も記事にはなってはいない
乾燥をする季節とはなりにけりはや手に皸(あかぎれ)が痛くてならぬ
ブータンの国王王妃を歓迎すそんな日本をわたしは愛す

11月18日(金)
 
若き日のニキビの顔を思わせて柚子はゆっくり色づきている
 
父及び山桝(やまます)先生広津留常務わが人生を支えくれたり
 
先生と広津留常務は偶然に彦根高商出身者なり
 
卒業後四度会社を変えたるもその都度先生に関係したり
 
大学で会計学を学びしも今は短歌にうつつ抜かすか
 
畳替えしたる部屋にて青々としたる匂いに満たされている
 

11月17日(木)
 
図書館の二階を借りて歌会を4名なれど予定通りする
 
歌会を早めに帰り片付ける明日(あした)は部屋の畳替えなれば
 
畳替えの準備しており玄関にものみの塔の勧誘が来る
 
鑑三の名前をあげて力説をしているわれに妻怒り出す
 
南天の実もモチの実もわが庭は赤くなりたり冬が来ている

11月16日(水)
 
山茶花が白く咲きたる下にして千両の実も赤くなりたり
これがまあ十五年間の綿ぼこりタンスの裏に積りていたり
畳屋は梃子(てこ)の原理を応用しすいすいとタンスを動かしてゆく
明日(みょうにち)は歌会なれば畳屋にわたしの部屋はそのままにして
高齢化なれば欠席多くなり明日(あす)の歌会4名となる
11月15日(火)
 
公園の落葉掃きいし媼(おうな)逝き壊れしベンチに落葉が積もる
 
寒くなりし朝はことさら耳につく一羽鳴きいる雀の声が
 
朝の日が明るく差せば電線の雫(しずく)落ちきて肩に当りぬ
 
庭隅にひっそりと生える千両の実は早々と赤く色づく
 
* 大津皇子の変に連座し伊豆に流された礪杵道作(ときのどうさく)という
 
従者がおった
 
流されし礪杵道作(ときのどうさく)祀(まつ)りいるわが郷(さと)の名を
 
箕作(みつくり)という

11月14日(月)
 知らぬ間に庭の八つ手は小さなる拳(こぶし)のごとき花を持ちおり
 大和には行きしことなし霧深きわが里にいて大和を思う
 ぼんやりと霧の中より見えきたりともし火に似る柿のいくつか
 霧晴れし西の空には十六夜のまあるい月が浮びていたり
 ポケットに手を入れ歩くわが癖を今朝意識する秋が深まる
 対岸に見える銀杏(いちょう)はいち早く朝日を浴びて黄の色帯びる
 
11月13日(日)
 
久々に青空あおぎ温かき心となりて日のなかにいる
夕方になれば急に寒くなる油断すまいと引き締めている
今日の日をむりやり覆うごとくして黒雲赤く焼かれ苦しむ
大きなる洞持つまでに産土(うぶすな)に根を張り生きる椎の木一本
施設より子が帰り来た一生を幼子とともに生きゆくわれか
11月12日
 
新たなる気持になろう一並ぶ20111111(にいぜろいちいちいちいちいちいち)
 
かしましき議論の中のTPPDDTは毒であったか
 
雨が降る冷たい雨が降りつづく今日も坐り込む国会の前
 
明日(みょうにち)はぽかぽか陽気になるという山はそろそろ紅葉となるか
 
アウェーのタジキスタンに勝ちたるを心に留め今日は眠らん
 
11月11日(金)
 
寒いなあ寒くなったと透析を帰れる妻に待ちかねて言う
 
ひっそりと咲き散りている山茶花かその散らばれる純白の花
 
干し柿が軒下にあまた吊るされて豊かになりし思いに眠る
 
水を吸い小菊が蕾開きたり一輪挿しに生を預ける
 
枯れし木に毎日水を注ぐという確か聖書にあったと思う

11月10日(木)
 
竜よりも龍の字が好き少年の凧びんびんと糸引き上がる
 
わが裡(うち)に積り溜まれる言(こと)の葉を清めるごとく落葉掃くなり
 
木蓮の広葉が庭をうずめてるそろそろ炬燵が欲しくなりたり
 
一日をかけて本をかたづけるどれもどれも愛着がある
 
結局は雑誌結社誌捨てんとす今必要の本だけ残す
 
「分からないことが好きなの」笑いつつ石垣りんさん講演に言う

11月9日(水)
 
新年の目出たき歌を作らんと苦しんでいる今が幸せ
 
三十年余り経ちたり畳替えしようと妻が今日もまた言う
 
わが部屋は本など数多(あまた)積まれてる畳替えには今日も反対
 
震災に原発事故に見舞われし絶叫しろよ福島泰樹(ふくしまやすき)
 
今叫ぶ塚本邦雄の死を悼み福島泰樹は今絶叫す

11月8日(火)
 
妻剥きし柿を結びて吊るしゆくこの豊作は久しぶりなり
 
声を出す自販機を子は嫌うなり好むのはこれもの言わぬ方
 
中学の校舎の道に子を送り来たる車が次ぎつぎ止まる
 
枇杷の花ほころび始めなにとなく新たな年の近きを思う
 
商家へと嫁ぎしゆえにわが母は売子(うりこ)となりて一世(ひとよ)過ぎ
 
たり

11月7日(月)
 
おお!今日は駅伝がある学生の日本一を決める戦い
 
地デジでは録画出来ねば駅伝も飛び飛びにしか見えなくなりぬ
 
舗装路に潰されている椎の実は縄文人も食(しょく)したるもの
 
境内にどっかり立てる銀杏(いちょう)の木黄葉(こうよう)にまだ少し間のあり
 
霧まとい神秘のみ顔をしてござるあれが仏の寝姿ならん
 
若き日の松本人志は美男なりなぜか人相悪くなりたり
 
物与え金与えるが愛情と疑わざりし九十の母

11月6日(日)
 
雨という予想は朝に少しだけ降りたるだけですんでしまった
 
早々に喪中のはがきが届きたり九十七歳母が永眠
 
大根の葉を捨ててある鶏のえさいやいやよその畑じゃだめだ
 
自販機に行きジュース買う目的のあればわが子はどんどん歩く
 
黄菊咲きつわぶきが咲きわがさ庭なにか豊かになりたる感じ
 
新しき短歌朗詠起らんかたとえばフォークソングのような

11月5日(土)
 
対岸に朝の日差せばかすみたる山はきらきら輝き始(はじ)む
あさましきわれとぞ思うドア開けて駐車の車擦(こす)りて去れば
駐車場係の者にありのまま車擦(こす)りしこと言うべきに
 
ドア開けて駐車の車擦(こす)りても誰もいぬゆえわれ帰りたり
卑怯なる振舞いのわれ見たる者おらねどしたるわれは知るゆえ
 
酒飲みは嫌いだきらい山頭火父もまたその父もきらいだ
酒飲みて何がいいのだ山頭火さみしすぎるよただ酒飲むは
狂わせて酒よお前は何者だ酒よお前はおまえはさけよ

11月4日(金)
 
一匹の黒猫なりし草むらに吾を目がけて身構えている
 
新年の詠草締切り迫りくる年毎に締め早まりてくる
 
ごろすけほうごろすけほうと唄います岡野弘彦氏の朗詠さみし
 
岡井氏はこんな声だった若き日の朗読のテープ聞きいる
 
若き日の馬場さんの声すでにして凛凛として今に変らぬ
 
文化の日作品展を見て歩くおや原さんは絵もやっている

11月3日(木)
 
新聞に遺歌集の記事載せてほしい遺族にかわり新聞社訪(と)う
 
遺歌集を持ち込みいかに素晴らしい歌集であるか力説をする
 
白内障手術を終えて安らげる母を見舞いて点眼をする
 
点眼は一滴でよしと注意書きしてあれば母に一滴たらす
 
点眼を過剰にすれば体内に薬が廻り災(わざわ)いなると
 
誤れる点眼をわれはしておりし過ぎたることは仕方なけれど
 
11月2日(水)
 
赤あかとカンナは咲けり温暖化現象みせる十一月に
 
知らぬ間に小さな黄菊が咲いている十一月だ菊の季節だ
 
何故か今日きらきらかがやく思いするあたりが黄金に染まりしごとく
 
有難うわが人生は文句なくすばらしかったと言って死にたい
 
滞る注文品も遺歌集も今日は次から次へと届く
 
良いことが起る予感がしていたり次から次へ解決をする

11月1日(火)
 
寝姿を霧がすっぽり覆いおりもみじにいまだ間のある山は
 
朝露にぬれて野菊のかがやけり泡立草の根もと目立たず
 
さざんかもまだ咲かざるにわが庭の白侘び助はすでに咲きおり
 
かたまりて野菊が咲けばこころにもそこはかとなく風吹き通る
 
三日月はさみしいけれど今日の月じょじょに満ちてく四日目の月