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今日の短歌NO.11
 わたしの歌歴(後藤人徳)
 昭和59年「賀茂短歌会」入会。現在編集発行人。
  歌集:「母胎」、「祈り」「わが家の天使」(3月出版予定)

以下に紹介します作品は、作ったばかりのものをそのまま書いています。推敲の手があまり入っていません。未完成の部分が多々あると思いますが、参考にしてもらえれば幸いです。...作者より
この先は楽観論に基いて生きゆくことを始めんとする

短歌は、三十一音からなる小さな世界です。その中に自分の思いを込めます。ですから、時間はなかなか織り込めない。今の一瞬、一瞬を歌うしかないのではないでしょうか。そう思います。また、そのように作っています。

短歌と私:高野公彦 田井安曇 五島美代子 五島 茂 岡野弘彦 田谷 鋭 塚本邦雄 土岐善麿 福島泰樹 前 登志夫 前川佐美雄 安永蕗子

短歌鑑賞:石川啄木(1) 大野誠夫 塚本邦雄 岡井 隆 前田夕暮 上田三四二(1) 上田三四二(2) 宮 柊二 斎藤茂吉(1) 斎藤茂吉(2) 

斎藤茂吉(3)

短歌鑑賞(発見ということ)(1)


4月18日(月)

一瞬が一生なりと思うほど素晴らしきなりその一瞬は

花びらのその一ひらに託される宇宙の力思いみるべし

梅干が今年は出来る木の下で見上げて妻も喜んでいる

満々と水が流るる用水路今花びらが通過してゆく

何となく心にはずむもののあり用水路にも水は流れて

やわらかき肌(はだえ)となりて山々がやさしき心となり始めたり

4月17日(日)

三度(みたび)その南無阿弥陀仏唱えれば成仏するという南無阿弥陀仏

キリストのみ名も三回唱えれば昇天するとわれは信じる

キリストは全知全能の神なれば必ずわれを救いてくれる

無力なるわれではあるが神ならば救いてくれる神であるから

思うこと必ずかなうキリストが二千年前すでに教えし

4月16日(土)

一瞬に命をかけて咲きおらん今日という日は二度となきゆえ

害虫といえど生き物殺したる手をていねいに洗い落とせり

菜の花のひとつひとつは小さくてかたまりている元気を出せと

いづこより舞い込みたるか安らげる畳の上のひとひらの花

正座なし避難の民にみ声掛くそのみ姿に涙出(い)でくる

4月15日(金)

被災者に長き祈りをしておらん木蓮今年はなかなか散らぬ

ひとひらの花びら風に長く舞う一世一代彼の花道

桜木に垂れる俳句の短冊が花の光につつまれている

雪知らぬなき子のために吹いている春の嵐に花吹雪舞う

幾万の死者のためにも生きるんだ生きる喜び歌えうぐいす

4月13日(水)

ひとひらもおろそかならずかたまりて万の花びら満開となる

散る花はみな命なり満ちたりてかがやきながら最後を尽くす

満開の桜の下に佇めば生きる力が満ちたりてくる

コンクリの上にあまたの椿落ち涙となれり子の命日は

幾万の人の分まで生きるんだ万のさくらのはなびら叫ぶ

ありがとうございましたと何回も唱えてみよう有難きまで

4月11日(月)

満開にあと数日となるときに激しき風の春の雨降る

大津波この惨状を見るときに政変八百長みんな小さし

あわれみの心を持つかひたすらに桜は咲いて満開となる

その力尽くし果てんとするように万の花びら満開となる

いっときを春の霞が覆いたり津波のあとの廃墟の街を

4月10日(日)

 
早ばやと今日の空気を吸わんとしチューリップの花開き始める
 
手のなかに光いっぱいとり入れてチューリップの花開いていたり
 
今日の日の勤め終わるとチューリップ花びらとざし眠りにつけり
 
風強き雨に打たれて花びらを守り閉ざせるチューリップの花
 
一歳と六ヶ月目に子の見たる生涯一度のチューリップの花

4月8日(金)

両足の切断耐えし君なるに今日は訃報を知らされている

生きるとはいかなることか今春で桃の花咲き木蓮も咲く

震災の犠牲となりし人々の霊(たま)となり咲く木蓮の花

被災地の君の涙は輝ける枝垂桜となりて流るる

4月7日(木)

生きてくれぼくのぶんまで生きてくれ子の墓に落ち椿が叫ぶ

伊豆にても霜置く今朝を被害地は電気なくしていかに過ごすや

菜の花の匂いはなにかなつかしいふるさとに来た思いして嗅ぐ

もの言わぬ子の墓に落ち山椿何叫ぶのか上を向きたり

生きてくれぼくの分まで生きてくれ子の墓に落ち椿が叫ぶ

安政の津波を受けて壊滅の下田市街は今息づけり

4月5日(火)

チューリップ指差し何か叫びしが名も知らず逝く一歳なれば

津波受けビニールハウスずたずたに千切れて風に音たてている

草むらに潜みていたる雉にまた不意をつかれて飛び上がりたり

柿の木も芽をふき目覚め一日が一年が今始まらんとす

幾万の人の命を呑み込みて今凪ているいつものように

御仏もあまたながされおわすらん地蔵一体掘り起こされる

4月4日(月)

海底に眠るあまたの犠牲者の声と聞える潮騒の音

名の知らぬ草にも花は開きおりひそやかにして生きる術持ち

生きている枯れしススキの根方より青き鋭き葉が生えている

霜に耐え咲きつづけたるパンジーの花びら風にはばたいている

この畑も荒れ果てにけり老人の楽しみ奪う憎き猪

いっぱいに葉を広げおる八つ手の葉生きてやるぞと言わんばかりに

4月2日(土)

赤い芽が枝垂れ桜に出てきたりもうじき春だ生き返るのだ

わが影が朝の光に伸びているゆっくり歩けゆっくり生きよ

生きるんだ生きてゆくんだ菜の花がなぜかわたしに声をかけくる

生きるんだいちょうのようにすっきりと葉をうち払い生きてゆくのだ

生きるためヤクを打つのか生きるため依存するのかいくじないなあ