今日の短歌NO.8
 わたしの歌歴(後藤人徳)
 昭和59年「賀茂短歌会」入会。現在編集発行人。
  歌集:「母胎」、「祈り」「わが家の天使」(3月出版予定)

以下に紹介します作品は、作ったばかりのものをそのまま書いています。推敲の手があまり入っていません。未完成の部分が多々あると思いますが、参考にしてもらえれば幸いです。...作者より
この先は楽観論に基いて生きゆくことを始めんとする

短歌は、三十一音からなる小さな世界です。その中に自分の思いを込めます。ですから、時間はなかなか織り込めない。今の一瞬、一瞬を歌うしかないのではないでしょうか。そう思います。また、そのように作っています。


1月31日(月)参考:日々の気持ちを短歌に(ブログ)

眉月を空に浮かせて青々と澄み渡るなり今日の夜明けは

霜のない夜明けとなるもしんしんと冷えまさるなり今日のはじまり

1月30日(日)

昨年も今ごろなるや風邪ひきて夜中激しく咳き込むばかり

妻も子も早々に軽くすませたり最後に風邪はわれに来たれり

喘息は遺伝じゃないかと妻はまた同じこと言い注意うながす

茶のうがい良いといわれて実行をしたるは昨日今日は忘れる

大学に先天性の盲聾者(もうろうしゃ)の合格したる喜び映る

風邪ひきて見ているテレビ映れるは一盲聾者の大学合格

1月29日(土)

紅梅が咲き白梅が咲き始め我が家に春がやってきました

幸福な気持になって歌を詠むこんなすばらしいことがあろうか

ゴミ拾うことの楽しさ知りてよりわが家の周りにゴミ見つからぬ

すばらしい便りが来たるきょうひと日幸福感に満たされている

神様はきっといるんだいまここにわたしの前にきっといるんだ

1月28日(金)

紅梅が八分となりてようやくに目白来たりて囀りている

茶のうがいインフルエンザに利くという早速今から始めてみよう

玉子酒飲みぐっすりと眠ったらインフルエンザが飛んでゆくらん

今われは幸福感に満ちている全ての苦労このためにあり

すばらしき人生なりと思うまで深く息すう生かされている

1月27日(木)

わたくしは幸せなんだ最高にしあわせなんだそうと思えば

素晴らしいスプレンディットそう思う思うだけならタダなんだから

素晴らしいわが人生はすばらしいそう思ってるきっとそうなる

西洋にあこがれ強き啄木が短歌捨てざりし不思議を思う

1月26日(水)

紅梅の枝縮めんと思えども枝先に蕾あまた付きおり

紅梅が五六分ほどになりたるが今年はいまだ目白来たらず

雲間より朝の光が差しくれば紅梅の声枝枝に満つ

自己保存本能というやっかいな力が心のブレーキとなる

捨てられしアキカンスイガラ素手をもて雨の降るなか子は拾いたり

汚いという観念を持たぬのか濡れたスイガラ素手で拾う子

汚いという観念に支配され素手で吸殻われは拾えぬ

1月25日(火)

素晴らしき今日一日と叫びたり茜に染まる空を見上げて

アルミ缶一個拾えり空缶を潰す仕事を子は今日もする

捨てられているアルミ缶有難いものと拾って今日も清しき

鉄板となりたる缶よいとおしく拾いてビニール袋に入れる

1月24日(月)

昨日のなごりの月がラクビーのボールとなりて浮びていたり

それぞれの事情を持ちて生きている今日歌会に集う面々

百歳の渡辺さんも出席し歌会終えるわれら若者

百歳の渡辺さんの展示会開催決るギャラリーわかば

だんだんと寒さつのれるこの頃は梅の香がうれしくなりぬ

金網の囲いの中に積まれおり節分の日を待ちてダルマは

1月23日(日)

有難たき慰問の太鼓元気出る音が施設を響きわたれり

どうしてもノロウイルスは子から子へうつるのだろう施設の生活

和太鼓の慰問団来て子供等の沈んだ心力得るらん

笹の葉はさやかに揺るる入つ日を返しさわさわかすかなる音

今日もよく晴れわたりたり西空に日は何もなく沈みてゆけり

安全な道を一生歩みしと今際(いまわ)の時に喜ぶらんか

苦しさに耐えて一生いきたると今際の時の誇りとするか

入りつ日に向かい万歳連呼する明日は明るき日となる予感

1月22日(土)

城山に椿を見んと来しわれにカーター大統領胸像ほほえむ

久々に来る城山新しきベンチがありて腰を下ろしぬ

わが家の庭に静かに咲いている白侘助と名札付けおり

城山に椿を見んと来たれどもあらかたはまだ咲いてはおらず

切岸に立ちては海を見晴かす吉田松陰にわれはなけれど

閑散とせし水族館見下ろせばボールを突きてイルカ遊べり

1月21日(火)

円満になるように人も出来てるかこの満月を見よと声する

晴れ渡る青空のもと鳩の群幾十となり旋回をする

なんとなく川に来たれど魚おらずただ大寒の日がわが目射す

今日もよく晴れたる里は静かなり霜置く道を一人歩けり

親の会今日は新年会なれば五時ごろ家を出かけんとする

遅咲きの白梅なれどようやくに一輪二輪枝先に咲く

大寒の霜を置く朝早くから鶏卵を三個産みたり

けなげにもメンドリきょうは二個産みぬ昨日三個をうみしばかりに

1月19日(水)

今日もまたよく晴れしなりわが心もかくばかりかと見上げていたり

自動車の免許更新結局は五千六百円を払えり

わが庭を縄張りとするヒヨドリが南天の実を啄みている

二十年彦根高商出身の上司はまさに恩人なりし

倒産の折に助けてもらいたりわれ妻それに二ヵ月の娘

出会いとは見守る神のなせる業(わざ)倒産しても助けられたり

1月18日(火)

雲ひとつなく晴れわたる今朝の空カラスも鳴かず冷え増さるなり

笑顔持ち笑顔作りて暮らすこと幸福となる秘伝教わる

口角を上げて一日過ごせとぞ幸福となる秘伝を聞けば

苦しさに耐えし記憶を死ぬ折の土産としたいその人は言う

1月17日(月)

左義長の昨夜のなごりと思うまで朝焼け空となりて始まる

年玉の千円入れて釣銭の多く出たるを子は喜びぬ

自販機の釣銭出るを喜びて買いたるジュースを子は忘れたり

一本の杉の巨木はすっきりとわが子の前に立ち上がりたり

寒風に曝されている子にわれに雲間の光ただありがたし

なけなしの夕日を覆い動かざる雲を悔しみ見上げたるなり

1月16日(日)

施設より瞼を腫らし帰りしも殴られし子ははや機嫌よし

施設にていかなることが起こるともそこにて生きる術(すべ)身に付けよ

父母に頼ることなく施設にて楽しく生きる術身に付けよ

注連縄を燃やしわが家のささやかな左義長(さぎちょう)せんと妻を誘いぬ

対岸の田圃の中に高々と火柱たててどんど小屋燃ゆ

1月15日(土)

霜の野も日が照りすべて融けにけり枯草はただ憩うばかりぞ

手の平をわたしに向ける阿弥陀仏この苦しみを受けてくるるや

シャガールの絵画の前に人間を抜け得ぬわれと思い知らさる

黒き線濃く輪郭を囲みおりルオー描きしキリストの顔

シャガールもルオーも何も語らねどわれの眼に伝わりてくる

1月14日(金)

紅梅が一輪二輪十(とお)までを数えてあとは赤き蕾ぞ

枯草の上を歩めるわが影よ首を左に少し曲げおり

霜に耐え今朝の陽(ひ)を受け輝けり枯れずに青きままなる草は

磋牙司今日は勝ちたり幕下で一勝二敗勝負はこれから

おしいなあ高見盛は敗れたり三勝二敗まだ勝っている

1月13日(木)

寒き朝続き野菜の凍れるを憂いて子らにまた送りやる

磋牙司今日も負けるか幕下にさがりし後も二連敗なり

今日勝って喜んでいる妻の声高見盛に一喜一憂

年金は少なけれども生きてゆくことに事無し満たされている

退会の君の歌など思い出ししばし無念の思いに浸る

1月12日(水)

一番の寒さの今朝や雲間よりひょっこり顔を見せる太陽

一番の寒さも風なく日差しありこれはなによりよき贈り物

菅さんと比較する気はなけれども同じ直人でこうも違うか

菜の花がもう咲き出してちぢこまるわれを明るく励ましくるる

菜の花も蝋梅も咲き一番の寒さの今日の心ぬくとし

オーロラは見られぬけれど里の空この夕焼けに充たされている

1月11日(火)

天辺に両目のダルマ取り付けてどんどの小屋の完成をする

黒雲が流れ溜まりし北空が堪(こら)えきれずに朝焼けとなる

ようやくに一輪二輪と咲き始むわが家の誇る庭の紅梅

咲き初めしわが家の庭の紅梅は朝より一輪二輪増えたり

その卵大事に抱え黒雲が黄金を放ち夕暮となる

1月10日(月)

風強き今朝は霜なくざわざわと枯草音をたててなびけり

勇気あるものと言われる突然に足許を今キジが飛び立つ

八方に縄を渡して高々とどんどの小屋が立ち上がりたり

頂に両眼入れた達磨置きどんどの小屋が完成したり

対岸の田にたかだかと竹を立てどんどの小屋は完成をする

病院に友を見舞えば眠りいて付添い人(びと)も見当たらぬなり

1月9日(日)

開花にはまだ遠けれど確実に赤き蕾を梅たちは持つ

昨年は梅の実ゼロとなりたれど今年こそはと見上げていたり

赤いバラ散りたる後に黄の色が咲き始めたり同じ茎より

1月8日(土)

正月の七日の朝のこの寒さ池の枯葉もともに凍れる

七草の粥に混じれる角硬きお供え餅をかみしめている

一畳のたたみの広さここに子の置かれていたることを思えば

一歳のその子の姉も幼くて起きよおきよと死児を揺すぶる

1月7日(金)

正月の六日の朝は曇り空風強ければ霜はなきなり

透析を当然のごと受け入れて朝早く妻出かけ行くなり

また一人透析の人逝きたりとぽつりと言いて妻受話器置く

双子にて未熟児なれど妹の長子めでたく子を授かりぬ

待望の男子出産おめでとう体外受精野田聖子さん

1月6日(木)

正月の五日の朝は寒々しさみしきまでに晴れわたりたり

霜を置きしずもる田にはひこばえが小さき穂をつけ風にふるえる

温暖な伊豆のわが家も室温が六度となりし今日の朝方

苦しさに負けずに歌い飛ばすこと歌人魂持ちて生きたし

歌出来ぬときは静かに息を吸い静かに吐いて天井を見る

1月5日(水)

正月の四日の朝は雨上がり木々のしずくが玉と輝く

正月も無事終れりと山々が安堵の息を白く吐きおり

葉を落とし春を待つ身のいちょうには安息に似し日々が続かん

冷え冷えと霜置く道の彼方には白く雪置く山が聳える

枯れること出来ない草が身を切られ白々霜におおわれている

1月4日(火)

正月の三日の朝は曇りたり鱗の雲が赤く染まれり

正月の三日も暮れて西空がいま黄金(おうごん)に輝いている

1月3日(月)

正月の二日の朝はしんしんと霜置きて里しずもりている

湯気を上げ正月二日の路線バス乗る人なくも温かく行く

「喜びも悲しみも幾歳月」高峰秀子の訃報に接す

1月2日(日)

元旦の空はすっかり晴れ渡り今年もやるぞの心湧きくる

おだやかな元旦の朝着ぶくれてゆったり前を歩くわが影

穏やかに元旦ひと日(ひ)終らんと茜にそまる夕焼けの空

1月1日(土)

五百円硬貨に釣銭の出でしこと得したごとく子は思うらし

大晦日朝焼けの空見上げつつ今日一日の無事を祈りぬ

宝くじ当たり驚喜の舞いするか一億円を得たるのは誰

孫達が帰ってきたりようやくにわれも人並みおじいさんなり