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KAZU中西のアメリカ武者修行


8月3日(火)大雨

昨日は結局、St.Josephまでしか行けなかったので、今日はなんとしてもSt. Louisまで行かなくてはと、大雨の中走り出した。US36Eastをひたすら走り、HannibalからUS61Southへ。 この間大雨だったので、景色など見る余裕もない。灰色の世界をひた走り、I70Eastに乗ってSt. Louisへと向かった。しばらく走っているとやたらSt. Louisと書いてある看板を見るので、そろそろ下道にでも下りてみるかと、空港そばのランプから街中へ入った。

街の様子は建物の壁は落書きだらけで、窓にはばっちり鉄格子がはまっている家がほとんど。歩道では黒人が酒を煽りながらふらふらと歩いていたり、やたら座り込んだりしている。しかもその黒人の数は、夜の新宿歌舞伎町のよっぱらい以上だ。街の空気も小便臭くて、もしやこれが友人ShogoやLincolnで教えて貰った「危ない所」なのかと思い、少し緊張し始めた。 こんな時はさっさと別の所へ行きたいのだが、1時停止がやたら多くて思うように走れない。そうこうしている内に、数台前の車から黒人が黒人に引きずり出されて、襲われている。「うわぁぁぁっ。こりゃヤベえぞ。」と思って見ていると、「Hey.Men…」と大声で叫びながら、軽やかなステップでこっちへ近づいてくる奴がいた。 冷や汗がタラっと頬を伝い、背筋がゾクゾクっとした俺は猛ダッシュでその場から逃げた。ミラーで後方を確認すると、さっきの奴がパトカーから降りてきた警官に取り押さえられている。「怖い…」と思った俺は、襲われるくらいなら警官に捕まった方がマシと、信号無視と1時停止無視を重ねながらがむしゃらに逃げた。 街中をさまよっていると、上手い具合にI70に復帰でき、少し落ち着きを取り戻した。

遠くから眺めているとレンガ色の横浜ちっくな街なのになぁなんて考えながら、流れに乗って走る。この1件から俺はSt. Louisが嫌いになったので、I70Eastに乗ってIndianapolisを目指す事にする。St. Louisから少し郊外に出たところにあるHilandつう街まで来た所で、宿を探してチェックインした。

#本日の走行 300mile


8月4日(水)曇り

今日はIndianapolis International Speed Wayを目指してI70Eastをひた走った。ここのI70は本当に行けども行けども直線って感じで、眠気と闘いながらの走行となる。森の中を抜ける1本道なので、景色もあまり変わらず、退屈でしかたがない。しばらく走っていると眠気が最高潮に達したので、レストエリアにて一服する事にした。 ここは日本のサービスエリアとは違って売店や自販機も無く、ただ駐車スペースがあるだけだ。停める場所を探してキョロキョロしていると、ボエジャーXUを発見したので、隣に停めることにした。一服していると、ボエジャーの持ち主が戻ってきたので話しかけてみる。彼の名はピル=マクナリーで、キャンプしながらアメリカをツーリングしているとの事。 今日はここから400mile先のミネソタまで行き、釣りを楽しむらしい。肉食って育った奴はほんと、パワフルだね(体もでかい)。Kawasaki乗りとの会話で俺もすっかり目が覚めたので気合を入れなおして出発した。

その後も淡々と走行して、どうにかIndianapolisに入る事が出来た。I70からI465(これは環状線だ)Northに進み、しばらく走るとSpeedWayの表示板が出てきた。とりあえず表示板の示す方向に走っていくと、割と簡単にIndianapolis International Speed Wayに到着する。

平日にもかかわらず、CIRCUITのまわりはレーシングチームの公認グッズを販売しているトレーラーや観光客でいっぱいだ。俺はインディ内の駐車場にCONCOURSを停め、同じく中にあるミュージアムに行ってみる事にした。ここにはNASCAR、KART、INDYCARがクラシックから現在の物まで展示してあったが、MotorCycleは1台も無いので、さくっと見学終了。 外へ出て、観客スタンドの方へ行ってみると、練習走行中のストックカーを見ることが出来た。本気で走っていないようだったが、チューンドV8の直管サウンドを轟かせながら走る姿は迫力があった。観客スタンドには、5歳くらいの子供から80歳くらいの老夫婦まで幅広い客層の人々が、疾走するレーシングカーの姿を楽しんでいた。噂には聞いていたが、アメリカ人は本当にモータースポーツが好きなんだなぁと思ったぜぃ。

ふと時計を見ると17:00を回っていたので、インディを後にしてI65Northを走り、Westlafayetteつう街で泊まることにした。昨日の腐ったSt. Louisも今日見た華やかなIndianapolisも同じアメリカなんだよなぁと思ったね。複雑な心境だわ。

#本日の走行 300mile

8月5日(木)晴れ

今日はオイル交換をしようと思い、Kawasakiディーラー探しにChicagoとMilwaukeeに行ってみる。途中でハーレー乗りから「スタージスかい?」と何度も話し掛けられるも、英語がろくに喋れないので、「No I don‘t」としか答えられず情けない気持ちになった。その後どちらの街も走り回ってみたが、Kawasakiディーラーは発見出来ず。 こうなったら奥の手を使うかと、部屋からインターネットに接続がしやすいホリディインに早めにチェックインする。

日本から持参していったSHARP PC-PJ-S2を部屋の電話と接続し、ダイアルアップ後Kawasaki USAのホームページにアクセスする。そこにはディーラーロケートMapがあり、自分の居る場所を入力すると、近くのディーラーが発見出来るようになっているものだ。すると、俺が走っていた道から2本ほど離れた所にディーラーがあったり、もう一つ先の角を曲がれば行けたディーラーがあったりと、 こんなことなら初めからインターネットで調べておけば良かったと、一人苦笑する。 次回からは同じ失敗はしねぇぞと心に決めた。

#本日の走行 不明


8月6日(金)晴れ

昨日のMap検索から、泊まっているRacineつう街の中にShoreline MotorSports Kawasakiというディーラーがあることが解かった。ならば、そこでオイル交換してもらおうと、その近辺を走り回るもなかなか発見出来ない。「また、空振りか…」なんて思っていると、目の前に取締り中のパトカー発見。 余計な事を聞かれそうで本当は嫌なのだが、愛機CONCOURSがイカれてしまうのはもっと嫌なので、単車に乗ったまま近くまで行き、「Excuse me」と大声で話し掛けると、警官たちは笑顔で応対してくれた。そのディーラーの住所と電話番号を書いたメモを渡すと、一人の警官がパトカーから無線で問い合わせをしてくれた。 その間、もう1人の警官と話をするも、「俺はスズキのバイクを持っている」「横浜と神戸に行った事がある」ということしか理解出来なかった。一生懸命話してくれたので、非常に残念な気持ちになった。この時、日本に帰ったらセサミストリートでも見て勉強するかと決意した。

そうこうしている内にパトカーから無線で話していた警官が降りてきて、「Kawasakiのディーラーだろう?この先の突き当たりを右に曲がって5mileほど行った左側にあるよ」と教えてくれた。あまりの嬉しさに「Yes Yes Yes」と連発する。警官たちもニコニコしながら、「気をつけてな」と言ってくれて、俺は何度もお礼を言ってから、Shoreline MotorSports Kawasakiに向かった。 そのディーラーは、Michigan湖の湖岸道路に面した林の中にあった。

キャッシャーにいるスタッフに「オイル交換は出来ますか?」と訊ねると「もちろん、45分位で出来るから店の中でも見てて」と言われた。他のKawasakiディーラーも親切だったが、ここのスタッフ達は更に陽気で親しみやすい感じがする。俺も言葉が解からないながらも、退屈する事無くオイル交換の時間を待つ事が出来たしね。オイル交換も無事終了し、俺は何度もスタッフにお礼を言って、Detroitを目指して出発した。 Wiscconsin州とIllinois州の州境を過ぎてChicagoの街に入る辺りで、突然気温が上昇し始めた。加えてI94は首都高3号線上り並みの大渋滞になる。温度は45℃を超えていて、汗がダラダラだ。1分間にタイヤが1周もしない状況の中、俺はアメリカに来て初めて単車に乗っている事を恨んだね。ああっ、車のエアコンが羨ましいぜぃ。1時間ほどはまっていただろうか、道の流が突然良くなり順調に走り出せた。 I94Eastをひた走り、時計が17:00を過ぎた辺りで宿探しを開始する。だが、立ち寄る宿がことごとく空き無しで、I94になんども乗ったり降りたりする事になる。

そうこうしている内に、Michigan州のBattlecreekつう街までたどり着き、街の雰囲気も安全そうだったのでここで宿探しに気合を入れる。探し始めてから4件目にして空き部屋GET。部屋に荷物を入れてから外に買出しに出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。 酒屋まで歩きながら街の様子を窺うと、夜なのに銀行でカネ下ろしてるやつがいたり、ケツをプリプリさせながらジョギングを楽しんでいるGalなんかもいて、ここは予想通り安全な街なのかなと思った。今までは単車の安全を気にして、あまり酒も飲まなかったが、今日は酔っても大丈夫みたいだ(笑)。 部屋に戻ってから、備え付けのスーパーファミコンでストリートファイターを楽しんだり、俺が使っているインターネットサービスプロバイダー「DTI」の海外ローミングサービスを利用して、モーテル近くのアクセスポイントを探し、久々にネットサーフを楽しんだ。モーテルにもよるが、アメリカは市内局番内なら初めのチャージ(25セント)を払えば、後は何時間接続していても課金されないSystemになっている。 ここ数日のオイル交換に関する1件から、インターネットの便利さを思い知った俺は、今後ロングツーリングに出るときは、ノートパソコンは必需品だなと思ったぜぃ。

#本日の走行 不明


8月8日(日)晴れ

今日の目標はDetroit入りだ。森の中をぶち抜けるI94Eastに乗り、ひたすら走っていくと結構すんなりDetroit入りが出来た。だが、ここでまたもや問題発生。幹線道路が工事だらけで、表示板も出ていなかったりする。これじゃあ何処を走っているのか解からねえじゃん。じたばたしても仕方ないので、とりあえず真っ直ぐ進む事にした。 しばらくして、Detroitのビル群が見えてきたので、一般道に下りてみた。するとそこは、前回St. Louisで見たのと同じ様な光景が広がっていた。もううんざりだね、スラム街は。

せっかくだから写真でも撮るかと、CONCOURSを道路脇に停めて、パニアケースを開いてカメラを取り出した。するとどこからともなく黒人が一人また一人と近づいてきた。俺は完全に開き直り、連中がなんか喋ってもシカトを決め込み、バシバシシャッターを切った。その後5人くらいに囲まれたので、カメラをさっとしまい込み、猛ダッシュでその場から走り去った。 St. Louisといい、Detroitといい、なんでこんな雰囲気なんだろう。大統領に手紙でも出してみるか。「ロボコップを配備しろっ!」ってね。すいてる方へ適当に走っていると、I275Southになったので、Ohio州のClevelandを目指して走ることにした。

I275からI90East(有料)に乗り100mileちょっと走ると、無事Clevelandに到着できた。この街に入ってからオートバイをやたら見るようになり、なんだか嬉しくなってきた(全部Kawaskiだったらもっと良かったのに)。この辺の単車乗りの特徴はノーヘルでTシャツ姿。単車はレーサーレプリカ系ばっかだ。それでスピードは75mile/h以上で走ってるんだから、日本人には考えられない光景だぜぃ。 こけた時のことなんか、何も考えてないんだろうな。腕前の方はフル装備のCONCOURSにコーナーで軽くぶち抜ける位だから、たいした事は無いな。直線は馬鹿みたいにアクセル開けてるみたいだけどね。この街にはRock&Rollミュージアムもあったので、ちょっと行ってみたが、閉館時間を過ぎていた為、見学は出来なかった。その後はI90Eastを走ってGenevaつう街に泊まる事にした。 今日はロボコップとビバリーヒルズコップの偉大さが良くわかった1日だった。

#本日の走行 500mile


8月9日(月)晴れ

今日はアメリカでも代表的な観光地であるナイヤガラの滝を目指して出発する。I90Eastで4時間程走るとNew York州Buffaloに到着。NiagaraFallsはこの街にある。さすがに世界的に有名な観光地だけあって、さまざまな国の言葉が飛び交っている。俺も一応滝を見に行ったが、「ああっ、滝だわ」って感じであまり感動はしなかった。テレビや雑誌で見過ぎたからかな。

見学もさっと済ませて、今度はMassachusetts州のBostonを目指して出発。I90Eastに乗りWeedsportつう小さな街のモーテルに泊まる事にした。

#本日の走行 250mile


8月10日(火)晴れ

今日は一気にMassachusetts州を横断するつもりで出発した。I90Eastをひた走っていると、目の前を走る大型トレーラーのステップがいきなり外れた。回転しながら近づいてくる鉄の塊に直撃されたら、俺とCONCOURSはひとたまりも無い。その距離、約30m。スピードは70mile/h。両側の車線はクリアー。 「よっしゃぁぁぁっ。右だ。」とアクセルオフと同時にリアのブレーキを引きずりながら、左の腿でタンクを押し込む。CONCOURSはすぅっと右車線に移動した。運悪く、その塊は左回転しながら、こっちへ近づいてきやがった。俺はとっさにギアを1つダウンして、アクセルグリップを捻った。ニンジャ系エンジン特有の唸りを上げながら、一気に加速し間一髪、俺とCONCOURSは鉄の塊をかわす事が出来た。 車間距離を十分に取っておいたので良かったぜぃ。その後、ステップを落としてくれたトレーラーをぶち抜き、Bostonに向かって走り続けた。

Massachusetts州Bostonに入ると、横羽線大師あたりの感じと同じで、トラックや車が大渋滞していた。それらの出す、エンジンの熱気と排気ガスで具合が悪くなってきたので、とりあえず下道に下りる。適当に海のほうへ走っていくと、さびれた港町に出た。昼間っから酒を煽って、日向ぼっこしているおっさんや、正気を失ってふらふら歩いている若者どもがうようよしている町だ。 俺の「Boston」に対するイメージはことごとく崩れ去り、これじゃあSt. LouisやDetroitと同じじゃねえかと落胆する。記念すべき大陸横断の地がこれじゃあな(苦笑)。

#本日の走行 300mile


8月11日(水)雨

今日はNew York州Manhattan島に住んでいる、KZ1000MK-U乗り「Eisuke」と会う事になっている。彼とはインターネットで知り合って、実際に会うのは初めてだ。I95Southに乗りRhodeIsland州を越え、Connecticut州に入るとサンダーストームになっていた。視界は前方50m位で、速度は70mile/h。 少し危険な感じがしたので、MadisonのGASステーションに入り、雨宿りをする。コーヒーを飲みながら待つ事2時間、雨が小降りになってきたので、気合をいれて出発した。New York州に入ると雨はあがってしまったので、一気にペースアップをする。Eisukeと昨日電話で打ち合わせたとおり、危険地区Bronxには入らず、QueensのLa guardia空港に行く。 表示板を見ながら無事空港に到着し、Eisukeに電話をする。

待つ事1時間、彼とKZ1000MK-Uと会う事に成功。とりあえず彼の家に行こうという事になり、2台のKawasakiはランデブー走行でManhattan島に入った。壁の落書きからして何やら危険な感じがする。これが噂のManhattanデインジャーZoneかと、妙に納得する。彼はEast1thに住んでいるのだが、日本人も結構住んでいて、比較的安全らしい。 だが、ぱっと見はなんかヤバそうだったぜぃ。荷物を彼の家に下ろして、バッテリーパークに案内して貰うことにした。ここはManhattan島の端っこで、自由の女神が見れるとの事。公園内で買ったアイスバーを食いながら、突端の方へ行ってみると、海を隔てて自由の女神が立っているのが見えた。この時初めて「おおっ、アメリカ横断したぜぃ」って感じがしたね。 その後は飯でも食うかと、ブロードウェイ近くの日本食屋に行き、カツ丼と味噌汁を頂いた。久しぶりの日本チックなカツ丼を食いながら、「俺はやっぱり日本人だった」とあらためて感じた。Eisukeは24歳で言葉遣いもしっかりしている好青年だ。彼は会計の勉強の為、単身でManhattanに住み始めたとの事だ。彼の夢は帰国後、ドーバーレースで愛機KZ1000MK-Uを駆って優勝することらしい。 彼の物事の考え方や夢に対する意思がしっかりしていたので、きっと彼なら出来るなと思ったぜぃ。すっかり意気投合した俺たちは、彼の家に戻ってから真夜中までKawasaki談義で盛り上がった。

#本日の走行 280mile


8月12日(木)晴れ

今日はManhattan島にあるIntarepid(空母)ミュージアムに案内して貰う。ここは海軍の歴史だけでなく、宇宙関係やタイタニック関係の展示もあり、観光地嫌いな俺でも十分に楽しむ事が出来た。なかでも、生F-14(TOMCAT)や生ブラックバード(HONDAじゃねえぞ)を見ることが出来たのは何より嬉しかった。

一通り見学も終え、EisukeにはNew Jerseyまで送って貰う事にした。気温40℃の中、2台のKawasakiはNew Jerseyに向かってひた走った。途中のひなびた飯屋に昼食を取るためにピットイン。ここのウェイトレスが日本人好きらしく、Eisuke何度も「あいしてるわ」と言われて照れていたぜぃ。食事も終わり、俺たちはNew Jerseyターンパイクをひたすら南下する。 200mileほど走ったところで、Eisukeと別れた。ありがとう、Eisuke。君のおかげでとても楽しかったぜぃ。その後はI95Southに乗りMaryland州のAberdeenで泊まる事にした。モーテルの部屋でビールを飲みながら、楽しかったNew Yorkを思い出し、ひとりニヤニヤする俺であった。

#本日の走行 不明


8月13日(金)晴れ

次の目的地はFLORIDA州のDaytonaなので、今日は距離稼ぎをする。Virginia州Richmondを通過し、NorthCarolina州に入った所で泊まる事にした。本当に何事も無く平和な1日だった。

#本日の走行 300mile


8月14日(土)曇りのち晴れ

今日もI95Southに乗りひたすら走る。SouthCarolina州に入ってから2つ目のレストエリアで休憩していると、近くで日本語の会話が聞こえてきた。近づいてみると、やっぱり日本人の家族連れだったので、英語で軽く挨拶を交わしてみる。 旦那さんが俺のCONCOURSに貼ってある「KAZU Nakanishi」のステッカーに気がついたようで、「カズさんですね」「はい。そうです」と、ここからはバリバリの日本語トークになる(笑)。 一人で旅をしていると言うと、「危ないから気をつけて」と激励された。危険は十分承知の上なので、おもわず苦笑。

その後も順調に南下して、Georgia州のSavannahに到着。ここの郊外のモーテルで泊まる事にした。このところ気温が40℃以上の日が続いていたので、バトルスーツは汗まみれになっている。 一回洗わねえと駄目だなぁなんて考えながら、シャワーと着替えを済ませ、隣にあるデニーズに夕食を食いに行った。すると、デニーズの入り口に張り紙がしてあり、なんて書いてあるか解からない俺は、その辺にいた従業員に話し掛けると、「NoPower」と言われた。 モーテルのフロントでも「NoPower」と言っている。空調が止まり、電気も消えている所から、「NoPower」とは「停電」の事だと解かった。ただ、みんな騒ぐ事無く「仕方ないよ」みたいに笑ってるところが、いかにもアメリカ人らしいなと思ったね。 50分後電気が復旧し、俺は無事に夕食を取る事が出来た。食い終わって部屋に戻ろうとしたら、今度は物凄いサンダーストームになってやがる。この先無事に走り続けられるのかと思いながら床についた。

#本日の走行 300mile


8月15日(日)曇りのち雨

今日はいよいよFLORIDA州に入る為に、気合を入れてI95Southを走る。OrmondBeachの辺りでUS1Southに乗り、DaytonaBeachを目指す。このUS1はアメリカ南端のKeyWestまで続いている道だ。 愛機の走行距離も7000mileとなり、そろそろオイル交換しなきゃと思いながら走っていると、なんなくDaytona入り。HollyHillにあるKawasakiディーラーも簡単に発見できた。空を見上げると、雲行きが怪しくなってきたので、 雨が降る前にDaytonaUSA(International Speed Way)の場所だけ確認しに行く。US1からUS92Westに入り、2分程走ったところにDaytonaUSAを発見。これで一安心した俺は、今日の宿探しを始める。 Beachまで行けばモーテルがあることは知っていたが、値段が高いのでHollyhillまで戻ってKawasakiディーラーに近いモーテルを探した。ボロモーテルで値段は1泊20ドルを見つけチェックインし、部屋に行ってみると、今回の旅で最悪の部屋だった。 バスタブは無い、部屋にはゴキブリがうごめいていて、ベットはかび臭いときてる。まぁ、横になれるだけマシかと思い、CONCOURSに鍵を掛けて、歩きで酒屋まで買出しに行く。

周りの店も窓の鉄格子が2重になっているようなところで、治安もあまりよくなさそうだ。酒屋から戻ってくると、同じモーテルに泊まっている客が話し掛けてきた。彼の名はEille(エリー)と言う。年齢は50歳。 Miami生まれで、FLORIDAから外へは出たことが無いという。「明日は何処へ行くんだ?」と聞いてきたので「DaytonaUSAとKeyWestだ」と答えると、「殺されるからやめとけ」と言われた。 彼の話だと、MiamiにもWestPalmBeachにもGUNがいっぱいで、KeyWestも同様らしい。「日本人が新しいバイクで走ってたら、撃ち殺してバイクを盗ろう」っつうノリで近づいてくるぞと言われた。 「それでも、行くよ」と言うと、「それじゃあ、Miamiに泊まるのは辞めとけ」と忠告を受けた。彼は日本人に対して親日的だが、たいていのMiamiの人は、カネを持ってる日本人から巻き上げてやろうと考えているとの事。 その後は空手の話をしたり、彼がなんでここに居るのかという話をしたりした。彼の家にはハーレーもあったが、放火によって家もバイクも無くなってしまったという。残されたのは奥さんと‘78のDODGEバンだけとの事。 外見はボロだがエンジンは調子がいいと、実際にかけて見せてくれた。500000mile走っている車とは思えないほどの一発始動だった。そしてこの車は全て自分で補修しているという。これが本当の愛機だな。 そうこうしている内に大雨が降ってきたので、お互いの部屋に戻る事にした。彼は別れ際に「フレンズ」と俺のことを呼んでくれていたのが、とても嬉しかった。

#本日の走行 280mile

8月16日(月)曇り

ほとんど睡眠が取れないまま朝を迎えた俺は、朝6:30頃から行動開始する。Beachの方へ行き、日の出でも見ようかと思ったが、あいにくの曇り空で駄目。ならば朝飯でも食うかとデニーズへ行く。パンケーキに時間をかけて食い、8:00になったところで Daytona Fun machine Kawasakiに行ってみる。オイルとオイルフィルターの交換をお願いすると、30分ほど出来るからと言われたので、店内をうろつきながら時間つぶし。

その後オイル交換も問題なく終了し、次はDaytonaUSAに行ってみる。デイトナツアーつうコース内を案内してくれるプログラムに参加してみた。ゴルフ場のカートに貨車を数台繋げたような車に乗せて貰い、実際のCIRCUITに入る。 生まれてはじめてみるDaytonaのバンクは物凄い角度で、ラウンドしているアスファルトの壁という感じかな。ここを駆け抜けるレーシングカーやMotorCycleってどんな感じなんだろうか。チャンスがあったら是非自分で走ってみたいぜぃ。

その後はミュージアムを見学する。中ではNASCARやレーサー(MotorCycle)の展示あり、Pitでのタイヤ作業のデモンストレーションありとレースの事が解からなくても楽しめるようになっていた。18ドル分きっちり楽しんだ俺は、KeyWest目指してDaytonaUSAを後にした。

I95Southに乗って走ること50mile。睡眠不足から意識が朦朧としてきた。「これはヤバい」とCocoaBeachで泊まる事にする。昨日の宿選びの失敗から、今日はアメリカでも有名なモーテルチェーン「BestWestern」に決定。 チェックインの際、「うちはPoliceが30分毎に見回りに来るし、駐車場には警備員がいるから安心ですよ」だってさ。それって、この街は危ねぇところだって言っているようなものだな。フロントマネージャーの信用して、ぐっすり休んでみようかな。

#本日の走行 63mile


8月17日(火)サンダーストーム

今日は気負わず行ける所まで行こうと、I95Southを走り出す。WestPalmBeach辺りでサンダーストームエリアに突入し、簾のように降り注いでくる雷と大雨の中をひた走る。途中、何度も止まって休もうかとも思ったが、ここで負けたら大和魂が廃るぜと、自分とCONCOURSに 鞭入れながら、KeyWest目指しアクセルを開けつづけた。途中からFLORIDAターンパイクに入り走りつづけるも、雨の中200mile位走ってきた俺の集中力はもう限界まできていた。Miamiの街に泊まるのは俺もかなり勇気が必要だったが、ここで事故るよりはマシかと宿探しを開始する。 いろいろ考えたが、Miamiだったら何処でも危ないんだろうと思い、人があまり歩いていない倉庫街近くのモーテルに泊まる事にした。もし今晩殺されても悔いが残らないようにと、ピザをつまみにビールとバーボンをしこたま飲んだ。俺に明日はあるのかな。

#本日の走行 不明


8月18日(水)サンダーストーム

天候は最悪だったが、週間天気予報では当分サンダーストームで晴れの日が無いようだったので、一発気合を入れてKeyWestを目指した。US1SouthでHomesteadを通り、ここから湿地帯を抜けてKeyLargoに入る。 ここは1本道なのでスピード取締りの警官がやけに多いぜぃ。KeyLargoから80mileくらい走ると道の両側が海になり、もしこの橋から落ちたら一巻の終わりって感じだ。

ちなみにこの辺の島の雰囲気は石垣島に似ているかな。小さな島を渡っていくとかの有名なセブンマイルブリッヂまで来た。天気がよければ海の上を走るような感じになるらしいが、物凄いサンダーストームなので、ただ走るだけでも容易じゃない。 海に落ちるかもしれない恐怖と闘いながら、なんとか橋を渡りきりKeyWestに入った。US1の表示が示す方へひた走っていくと、ヘミングウェイの家の前を通過し、US1の終点であるアメリカ南端に到着した。

いやぁ、なんとか来たね。これで南端も制覇したかと思うとなんだか嬉しくなってきた。今度はFLORIDA半島を目指し逆戻りだと、決意も新たに出発する。途中で雨と風が強さを増し、前方視界10m横風強し、おまけに車の流れは70mile/hで(制限は55mile/h)危険と判断し、 通り沿いにあったAutoパーツ屋でスーパーレインXを購入。早速スクリーンに塗りたくった。日本でも使った事はあったが、今日初めてその効果の素晴らしさを知る事となった。スクリーンについた水滴がどんどん弾き飛んでいき、前方視界はきっちり確保できた。 調子良く走っていると、ガソリンが残り少ない事に気が付き、GASステーションに入る。給油をしていると、いきなり目の前がパァァッと明るくなったかと思うと、次の瞬間、物凄い地鳴りとともに雷の轟音がした。おまけに、ガソリンのポンプまで止まってしまった。 キャッシャーに行ってみると、「ココに雷が落ちたんだよ。」と言っている。「引火しなくて良かったわ」と言うと、「あんたはラッキーだ。ガソリンがどのくらい入ったか解からないから、お金はいらないよ。気をつけて行きな」と言われた。5ガロン分儲かったね。

その後も淡々と走り、Miamiに戻ったあたりで、時計は15:30となっていた。Miamiで泊まるのはもう嫌なので、このまま一気に北上する事にした。目標はCocoaBeach。アニメソングの「ゆけゆけ飛雄馬」を歌いながら、気合と根性で走り続けた。 20:00頃、無事CocoaBeachの前回泊まった宿まで戻ってこれた。フロントで「Remember me?」と言うと、スタッフが大うけ。俺のアメリカンギャグも板についてきたかな?(笑)

#本日の走行 不明


8月19日(木)晴れ

とりあえず、Orlandを目指して出発する。有料道路を走りOrland近くなると、やたら「ディズニーランド」の看板が目に付くようになった。一人で行っても面白くないので、今回はパス。ここからはI75Northに乗り、I10の分岐を目指す。 途中のレストエリアで一服していると、老夫婦が親しげに話しかけてきた。聞くところによると、奥さんが日本に居た事があり、旦那さんの兄弟が物凄いKawasaki「Z」フリークらしい。Z1を3台持ってるって言ってたな。 その後順調に走ってI10Westに乗り、更に走り続けた。途中のレストエリアに入ると先程の老夫婦が休んでいて、こっちへ来いと手招きしている。どうやらランチを一緒にと言っているようなので、遠慮なく御馳走になる事にした。 「どこまで行くのか?」と聞かれたので、「アメリカを1周している」と言うと、「グレイト」「ワンダフル」の連発だ。アメリカ人でも1周はなかなか出来ないらしく、羨ましいと言われる。だが、リタイアして夫婦でアメリカ縦断しているあなた達の方が羨ましいと言うと、 とても喜んでいるようだった。その後ランチのお礼を言い、俺はI10Westを走り始めた。

流れに乗って走っていると、後方であやしい動きをする車を発見する。「もしやパトカーでは?」と制限速度にあわせて走っていると、後方にぴたりと付かれ派手なフラッシャーをたかれた。素直に停止すると警官が近づいてきて、「ライセンスプレートが無いじゃないか」と言っている。 俺は購入した時に貰った書類1式を取り出して彼に見せると、どうやら納得した様子だ。「何処へ行く?」と聞かれたので、「California」と言うと物凄くびっくりした表情で、「Nice Guts!」と言われた。 とりあえず無罪らしいので、気を取り直して走行開始し、Tallahasseeつう街で泊まる事にした。多分これがラストのFLORIDA泊だと思うので、感想を一言。FLORIDAは治安の悪い紀伊半島みたいだぜぃ。 沢山張り紙してあるMissingを早く解決してくれ、FLORIDAのおまわりさん。

#本日の走行 300mile


TOPアメリカ一周話>第二部