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今日の短歌NO.4
 わたしの歌歴(後藤人徳)
 昭和59年「賀茂短歌会」入会。現在編集発行人。
  歌集:「母胎」、「祈り」「わが家の天使」(3月出版予定)

以下に紹介します作品は、作ったばかりのものをそのまま書いています。推敲の手があまり入っていません。未完成の部分が多々あると思いますが、参考にしてもらえれば幸いです。...作者より
この先は楽観論に基いて生きゆくことを始めんとする

短歌は、三十一音からなる小さな世界です。その中に自分の思いを込めます。ですから、時間はなかなか織り込めない。今の一瞬、一瞬を歌うしかないのではないでしょうか。そう思います。また、そのように作っています。

平成20年今日の短歌NO.3 平成21年今日の短歌NO.1 平成21年今日の短歌NO.2

平成21年今日の短歌NO.4

短歌と私:高野公彦 田井安曇 五島美代子 五島 茂 岡野弘彦 田谷 鋭 塚本邦雄 土岐善麿 福島泰樹 前 登志夫 前川佐美雄 安永蕗子

短歌鑑賞:石川啄木(1) 大野誠夫 塚本邦雄 岡井 隆


12月31日(木)参考:日々の気持ちを短歌に(ブログ)

正月の楽しみごとは多々ありて駅伝サッカーそれにラグビー

一面に霜が降りれば枯草はかくおだやかな姿して伏す

明け初(そ)める空に流るる千切れ雲世にかかわらず黄金(こがね)にそまる

いつまでも暗闇はなし山里がいま黄金(こがね)なす雲に覆わる

遠くから眺めることをよしとせん冬の富士山美しき女(ひと)

本当は二大政党ではなくて独裁政治狙いていぬか

大切な人への年賀忘れおり夕ぐれの道ポストへ駆ける

12月30日(水)

おだやかに朝が明けたり遠くにてカラス鳴く声親しく聞ゆ

黒雲がはれうす雲がうすれゆきいま雲間から光差しくる

うす雲を黄金(こがね)に染めて太陽はいま確かなる運行続ける

鶏舎よりけたたましき声鳥族の仲の悪さを今日も嘆げけり

ブログにて書籍販売手数料百円につき二円いただく

今月のブログ販売手数料八十八円の報告がくる

私腹をは肥やさぬものの金により名誉買うかと批判されよう

12月29日(火)

鉄骨に破れ千切れるビニールが廃業ハウスにはためいている

朝(あした)から降りつづいてる寒き雨物干し竿がしずくをこぼす

寒き朝元気を出せと水仙が口をそろえて挨拶をする

とげとげと葉に棘(とげ)よろう柊(ひいらぎ)をなぐさめとしてしばし見ている

種こぼれ育つ一株菜の花が師走の庭に輝いている

風を受け身をそらせつつ菜の花が師走のひと日喜び運ぶ

仮免の車に乗りているここち新政権の予算編成

12月28日(月)

お体の痛さをおして奥様が送りくれたるお蜜柑おいしい

今日もまた霜をかぶりて静まれり畑の青き野菜ひと群れ

吹きたまる枯葉の上にやわらかきお菓子のごとく霜がおりおり

霜を置くトタンの屋根がきらきらと朝の光にかがやいている

「心が」かはた「心を」か「忙(ぼう)」という字の右側にこだわりている

晴れわたる空に向いてのぼりたる師走の煙西に傾く

穂を送り素軽くなりしススキたち背筋正して夕日に向う

12月27日(日)

月光が明るきゆえか午前二時はや鶏(にわとり)が時を告げおり

早くから雨となりたり遠山を徐々に覆いて霧となりゆく

雨の止む予報通りに雲間からやさしき朝のひかりさしくる

雨の止む梅の小枝に雨粒が今をかぎりと輝いている

日のかげる道は寂しも影のなき親子二人の足音ひびく

雨降りて始まりし今日雲ひとつなき夕暮となりて終わりぬ

12月26日(土)

雲覆う今朝の山里温かく枯れし草木もしめり帯びおり

雲の間のぽっかり空きて朝焼けに赤く染まれる飛行機が行く

一通り賀状送れりひとつまた新年迎える準備ととのう

やわらかき雲が流れて優しさの光さしくる暮れの山里

さざんかも散り止りたりしばらくはその赤き花かがやかせいよ

コンクリの割れ目にはえる草草にそこをよすがと枯葉がたまる

おだやかに師走の一日終りたりあかねにそまる夕暮の空

キリストが今日生まれたりおだやかな小春日和の一日だった

12月25日(金)

三日月の今宵をいかが過せるや宇宙ステーションに野口聡一氏

寒風に枝を伸ばせる梅の木が早やあまたなる蕾つけおり

白き肌風に晒(さら)して伸びのびと公孫樹は枝を空に伸ばせり

必ずや喜怒哀楽を表さず消えゆくものが身近にあらん

雲間より光が差せばわが前を急ぎ歩ける影現れる

鳥精進酒精進の七日間今年も無事に今日終わりたり

12月24日(木)

霜を置く朝の小道に光さし枯草が伏すまろきかたちに

西空の優勝カップのような雲黄金(こがね)色してふくらんでゆく

日は入るもいまだ余光はとどまりてすでに黒ずむ山の端つつむ

啄木を思い

あこがれの都に出(い)でて夢破れ蟹と戯むる石川啄木

一握の砂を示せり啄木はこれが俺だと言わんばかりに

生意気な小僧とばかり思いおり今啄木の前に平伏す

パソコンのキー打つ音よ啄木鳥(きつつき)の木を打つ音のごとく響けり

12月23日(水)

氷張り霜置く今朝の伊豆地方いよいよ冬の到来を知る

初霜を告げるごとくに草むらの雉啼く声が鋭く響く

わが里の湖面ほどなる空おおう流氷ありて朝が始まる

流氷のごとき雲焼く朝の日が徐じょに霜置く里を照らせり

立枯れの竹に止まれるヒヨドリが大きく揺らし飛び立ちてゆく

雲のなき日暮の空は薄青く静まる黒き山を覆えり

12月22日(火)

酒卵鶏肉断ちて五日間あと二日間精進続く

物心付きしころより故里の風習守り六十年経つ

消えなんとする眉月の鋭さよ孤高保ちて雲寄せつけず

眉月の近くに小さき星ありて今宵明るくかがやいている

朝(あした)から今日も晴れたり雲ひとつなき空見上げ勇気湧きたり

会員の歌さっそうと並びおり伊豆新聞の今朝の見開き

施設へと子の戻りたる月曜日高校駅伝のビデオ見ている

枇杷の花かすかに匂いもつごとくわが歌よあれ目立たなくとも

12月21日(月)

海よりも安全なるやかたつむり殻やわらかくなりてしまえり

朝(あした)より強き風吹きわが里の空には一片の雲もあらざり

地震などどこ吹く風と村里は明るく晴れて朝を迎える

子たぬきが婆娑羅(ばさら)峠で轢かれおり寒風強き朝を通れば

年賀状そろそろ出さんこの度(たび)は娘(こ)の会社にて印刷をする

寒風を防ぎ喧騒も避けられる一人車で妻と子を待つ

車から見える景色はセールスの旗はためきているばかりなり

朝方は雲なかりしがひと山を越えたるここは白雲多し

寒風に羽ばたくごとき音たてる破れ果てたるハウスのビニール

いち早くここの椿はひらきたりひよどりたちに蜜与えんと

動くことかなわなけれど懸命に花を咲かせて小鳥をさそう

血圧の低きわたしは歩くなり足先熱くなってくるまで

テレビ見て今日も暮れるかこのわれの生活がまず有難きかな

12月20日(日)

昨晩の黒雲は消え白雲が朝焼けによりあかねに染まる

二日間続けて夜半(よわ)の山里に広報が地震と震度伝える

早々と散髪に行き帰るとき良いお年をと声掛けらるる

寒風に頭ゆらして鶏頭がなお紅色(べにいろ)を保ちていたり

カンカンと晴れわたれども寒風が吹きてわれらの熱うばいゆく

ちょっとした仕草なれども腰痛がビビと疼きぬ埋火のごと

熱下がりインフルエンザも治りしか頬すこしこけ子は帰りたり

歩くこと飢えてるわが子は散歩すと寒風のなかわれを引く行く

黒雲を切りたるごとく三日月の細く尖りし刃が現れる

今まさに墨絵のごとき黒雲が龍のすがたをして暴れたり

黒雲が鰐の姿に変りゆき口あけ大きな魚飲みこむ

12月19日(土)

テレビにてしばしば地震速報が流れていたり伊豆の下田も

寝静まる夜半(よわ)の村里広報は震度五弱の地震つたえる

夢なるや金縛(かなしば)りなる身となりて響ける地震広報を聞く

寒風の吹き荒(すさ)ぶなか西空は赤々として夕焼けており

寒風にさらし干さねば人間もスルメのごとく味が出ないか

黒雲が西空覆う夕つ方入日(いりひ)が赤く縁取(ふちど)りをする

ホテルより職退(ひ)きおれどこの時期の地震は強く心震わす

熱下がりインフルエンザ治りしか明日施設より子は帰り来る

12月18日(金)

にわとりが今朝も卵を産みくれぬぬくきあやうき一個のたまご

自由主義はた個人主義われわれはあやうき教えを受けて育ちし

どれだけの税金払い文句言う松井イチローは何も言わぬに

もの思いしつつ歩めば突然に雉(きじ)飛び立てりわれを撃つがに

寒風に枯穂なびけりなにとなく入(い)り日(ひ)に向きて手をふるように

日が入りて風が冷たくなりしとき笹鳴りの音わが身に響く

「ささの葉はみ山もさやにさやげども」人麿の歌思い浮かべる

12月17日(木)

日教組の集まりありて北鮮のごとき節にて合唱をする

平等という名ばかりの不平等民主主義ってそんなに偉い?

ふじみ野市みどり市なども加わりて住所変更今年も多し

子の具合訊ねて行けばタミフルを飲ましましたと施設長話す

新しく鶏舎に入れたにわとりをいじめるらしき暗くなりても

12月16日(水)

昨晩は施設のなかで眠れしやインフルエンザにかかりわが子は

子は施設妻は透析わたくしはインフルエンザを恐れ籠れり

今日一日無事に透析終りたる妻はマスクをして帰りたり

にわとりにうつさぬようにマスクして手袋をして餌をやりたり

施設にてインフルエンザの子はいかが入(い)りつ日に向き黙祷をする

恐れたるインフルエンザに子はかかりわれと妻とが免(まぬが)れている

12月15日(火)

九度六分熱の上がりし子を乗せて婆娑羅峠を早朝に越ゆ

針金のごときを鼻に差し入れるインフルエンザの検査のために

透析の妻抱かえれば施設へとインフルエンザにかかる子を戻す

無理やりに施設へ息子を戻したりインフルエンザにかかり病む子を

施設にてインフルエンザの子はいかに過しておるや日暮れに思う

二筋の紅色(くれないいろ)の飛行機雲空のまほらに今昇りゆく

12月14日(月)

早朝の空気震わせ雉の声休耕田の茂みのあたり

朝焼けの雲がひろがり鋭くも雉が一声鳴きて飛び立つ

歌会は忘年会をかけており白寿の友の汁粉頂く

難解の歌を五首ほどコピーして白寿の友がみんなに配る

前向きの白寿となれるつぎさんに励まされおり歌会に出て

年齢差33歳つぎさんの若々しさに救われている

12月13日(日)

にわとりと言えど卵を産みくれしわれの宝ぞ今朝死にており

巣に付きしものと思いておりたるにそのまま命終えてしまえり

餌運ぶわが足音を聞きつけて金網ゆらすにわとりなりし

おんどりに首の後ろを突かれし痕(あと)生なまとあり死にており

餌やるは打算なれどもだんだんに心通じしにわとりが死ぬ

個の流れここに至るか延々と連なり単車の爆音続く

くり林くぬぎ林を通り行く枯れし足音ひびかせながら

しんしんと檜林が続いたりひの木のかおりただよいながら

12月12日(土)

雨音に明け方目覚ざむ東京の子等に野菜を送らんとすも

雨の中子等に送るとカッパ着て大根白菜レタスなどとる

青青と刈田覆いしひこばえもいつしか黄色くなってしまいぬ

校庭へ続くいちょうの並木道いま黄落が終りておらん

餅つき機三十年目に買い換える子等に送ると出して来たるに

機械にはあらず杵臼(きねうす)売られおりこちら買わんと思い湧きたり

12月11日(金)

菜の花がもう咲いているなんとなくうれしくなった師走のひと日(ひ)

いつの間にいちょうは散ってしまったか曇の空に枝を拡げる

黄櫨(はぜ)の葉がところどころに見えるだけ山はそろそろ冬に入りゆく

あんなにも好きだったのにあれからはすっかり川に行かなくなった

癲癇の発作起こしたときよりか子はかたくなに川を拒めり

今日もまた卵を産まずにわとりははや止まり木にとまり動かぬ

12月10日(木)

水やればわれに微笑むごと見える桃色開くシクラメンの花

早朝の里を閉ざせる今日の霧今しばらくは身動き出来ぬ

昨日の雨に打たれた金柑がすでに黄色の滴をたれる

あんなにも里を覆いていた霧が一目散に空に逃(のが)れる

うす曇る空に描きし飛行機雲少しカーブをしながら続く

雲覆う空に濃淡あるらしきうっすら星の光る場所あり

米軍が撤退したら沖縄は何に頼って食べるのだろう

12月9日(水)

短歌にて生きる命をいただいて生活してる今のわれかも

もみじには負けられないと葉に似たる雲が赤々朝焼けている

今日はよく晴れております草の葉の露が最後の輝きみせる

夕ぐれは何故か心がやさしくて大根畑の青さ目に沁む

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12月8日(火)

梅の木にビニールなどをかき集め雀が今年巣を作りたり

流氷のごとく居座る雲のため朝より日差しを閉ざされている

一服の銘茶の香りを吸うごとく一首一首を読みすすめたし

施設へと子を預けたるこの安堵介護といえる何をなせしや

施設へと子の戻りたる月曜日心がまたも空白となる

施設では怒られおるか反対のこと押し付けたわれかもしれぬ

わが里の空を占めたる雲のため午後になっても日差しがささぬ

キリストになるのではなくキリストを慕いすがりて今生きている

純白のキリストの前罪深き汚れし心のわれは今立つ

12月7日(月)

大空を亡き子よ駆けよラクビーのボールのような月が出ている

山間(さんかん)の里にサイレン鳴り響き「訓練クンレン」のアナウンスする

立ちしまま靴下を履く腰痛のおりは座しても出来なかったに

岩に寄せ白波となる大うねり絵ごころあらば描(か)きたきものを

スーパーの幟(のぼり)が風にあおらるる早(はや)も師走は六日となれり

食事せず眠りたる子よサザエさん始まってると言い起こしたり

12月6日(日)

未来へとはばたくように名付けたる初孫未羽(みう)よさあ飛び立たん

市町村対抗駅伝下田市は市の部でついに最下位となる

今日もまた二個の卵を産みくれしもの言えぬこの鶏(にわとり)たちよ

われの手に二個の卵を奪われて雄鶏(おんどり)が鳴く遠吠えのごと

われと目が合いたる犬が突然に尻尾を振って吠え始めたり

赤いのは枯れたんじゃない飾るんだ最後を飾って散ってゆくんだ

12月5日(土)

朝の来ぬ夜なきごとくわが生よ死より再びよみがえり来(こ)よ

さざんかに少し遅れて椿の木かたき拳(こぶし)の蕾をひらく

暁の空に明るく残れるは取り残されし十六夜の月

山の端の十六夜の月を朝霧が立ちてたちまち消してしまいぬ

ようやくにもみじ色づく山々を今朝はすっぽり霧が覆いぬ

一面の刈田の株にひこばえが生えて青田ごとくになれり

なかなかに酒の小売も大変と弟ふいに訪ね来て言う

12月3日(木)

民主党その支持率の高きこと誉め殺しということも世にあり

もみじ葉のかたえにありて松の葉はみないっせいにその身を立てる

高ぶりし心鎮めん外に出てあてはなけれどただ歩いてる

もともとは影も形もなかりしにインターネットが居すわりている

半ばほど葉の落ちているいちょうの木いま頂きはほとんどあらず

赤となり黄色となりて散りてゆく赤は惜しむか黄は寂しむか

金柑があからみはじめ正月のおせち料理がふいと浮かび来

プロバイダー電話局へと問い合わせADSLの不具合と知る

12月2日(水)

久々に登りて来る山の駅二十数年通いしものを

斜面には青々とした雑草がしずくにぬれて朝日を浴びる

友よりの歌集読みいてうとうとと伊東の駅に着いてしまえり

うっかりとマスク忘れて来たること伊東の駅に思い出したり

舞うごとくマンタ四匹描かれる歌集「マンタがよろし」の表紙

コスモスの会員なれば宮柊二のお墓参りの歌が載ってる

昨年はコートを着たがクラス会今日はブレザーのみにて行けり

クラス会いつものように話するわれに暗いと野次が聞こえる

胃を取りて十二指腸また大腸も小腸だけで生きている友

癌病みて妻も息子も暖かく接してくれる絆(きずな)を得たと

マイナスは決して無意味ではないと癌病み得たること友話す

癌抱え負けず生きいる友がいて生きる力を与えられたり

乱立をする高層のビル群に今夕日射すさらば東京

12月1日(火)

枯れ草のなかに緑の葉を生やすこの雑草の命たくまし

特別でなくてよかった当たり前のことがやれればそれでよかった

昨晩の雨に打たれた南天がしずくを垂れて朝の日を浴ぶ

この家は今年もあまた柿の実をそのままにして年を越すのか

早朝の庭掃き清めしばらくは生きがいにする老婆であろう

洋風の家がちらほら建ちてきてわが里の景変りつつあり

 さざんかはさみしき花かさんざんにその純白の花びら散す

11月30日(月)

汗を撒(ま)け種といっしょに汗をまけ亡き爺さんの口癖なりき

ようやくに橙(だいだい)の実が色づきぬそうだもうじき正月が来る

朝焼けの空の下にはようやくにもみじとなりし伊豆の山あり

早朝の道を歩いていたときにようやくわれの影が生れる

川の瀬の音を聞くかにカラスウリ枝よりたれて少しゆれおり

今われに誇るものなく感ずとき支えるものぞ神というもの

わが姿みじめに思うわれがいて街を歩けりうつむきながら

自信なきときぞ喜べ今われは神のみ前にいるときなのだ

孤独こそ至福のときぞ今われは神のみ前に一人立つのだ

夕ぐれは心やさしき頃なるにましてもみじの山に囲まる

かすかなる風に散りゆくいちょうの葉愛の別れというわけでなく

日はすでに入りたる世界もみじする山はいまだにおさまらぬらし 

11月29日(日)

うつうつとしているわれをうつ病と叱るわれおりそのわれ愛(いと)し

まぶしくて眼(まなこ)閉じれば窓枠がまなこの裏で十字架となる

足元を雉飛び立ちぬおたがいにこの驚きをわかちあいたり

朝露のいまだ残れる小道行く草草の葉の光りを受けて

つぎつぎと数かぎりなき葉を散らしいちょう黄金(こがね)の海にたたずむ

今日ひと日がんばりたりというごとく西日が山に隠れんとする

五日(いつか)にてかくも変るや施設より面変(おもが)わして帰りたる子よ

われわれも宇宙も生きているんだよ今宵は月を半(なか)ばかげらせ

11月28日(土)

もみじ葉を燃えるようにと歌いたるその晩年の命とうとし

いちょうの木いま黄葉の盛りなりまるでゴッホのひまわりのごと

一本のいちょうの命散り尽くしまた新たなる愛が生れん

葉が散りて裸となれる木蓮に小さくとがったつぼみ目につく

老いたれば犬の散歩もままならず畑つぶして金網を張る

仮免の車に乗っているここち新政権の予算の補正

11月27日(金)

晩秋の野菜畑は青々とに西日を受けて力みなぎる

うつ伏せになりたるときに腰の骨大きく鳴りて腰痛なおる

あっけなく朝青龍が敗れたり張りつめたものゆるむ気がする

一メートル六十六センチ磋牙司(さがつかさ)今日勝ち75敗となれり

小賢しき蓮舫議員世の中に計算できぬこともあるんだ

民主党事業仕分けも良いけれど景気良くして仕事を増やせ

11月26日(木)

霧が消え晴れたる山のもみじ葉が雫(しずく)に濡れて輝いている

いちょうの木一本ありてわが里の秋華やかに終らんとする

高鳴きて枝移りするヒヨドリがいちょうの小枝に止まりゆらせり

壮年の力をもちて装える山もこれから冬に入りゆく

何処(いずこ)かに世論という名の怪物がいるごと思うわれに離れて

11月25日(水)

JAL問題の企業年金とは何か厚生年金の他にあるのか

わからない企業年金とは何や零細企業に勤めておれば

鳩山さん歌舞伎どころじゃないでしょうどうしてくれるこの現状を

どしゃぶりの中を仮免で行くごとし今の政権をたとえて言えば

財源は心配ないと言っていたあれはまったくの嘘だったのか

借金を猶予したってだめなんだ仕事を作れ仕事がないんだ

11月24日(火)

餌をやるわれを見つけて鶏(にわとり)が金網に爪たてて暴れる

産む日ありうまぬ日もあり今日二個の卵産みたる二羽のにわとり

ポイントが二倍と言うも良く見れば値段がすべて高くしてある

密約を公にするはよけれども今これからの経済が先

オープンは他国の流儀恥を知り包み隠すはわが風習ぞ

単純なパフォーマンスと思えども事業仕分けの支持率高し

民主党また失政と思えども支持率下がらぬどうしてなんだ

世間とは乖離(かいり)しているわれならん民主党など大嫌いなり

無能なる政権選びし国民よその付け重く受けねばならぬ

11月23日(月)

出稼ぎと単身赴任を誇張する若き日のわが歌を読んでる

ふるさとの名誉市民に涙する野村克也氏の本質を見る

薊にはあざみの場所がプライドがありて泡立ち草と交じらず

スーパーのテレビ売場に佇ずみて妻の買物終るのを待つ

民主党にやらせてみよと決めたのは国民なのだわれではないが

国民が思い上がって愚かならその上に立つ政権もまた

11月22日(日)

枯葉散る道歩み来てさざんかの咲く坂道に立ち止まりたり

枝すぼめ真直ぐに立つ雄(おす)銀杏(いちょう)めすのいちょうは枝を広げる

葉はすでにすべて散りたり柿の実の甘い匂いがただよいている

すっかりと冬木の形に静まりて梅の古木は苔に覆わる

ルノアールの絵を思い出すふくよかな伊豆の古寺の女神像の前

腰痛がようやくおさまりつつありて色づきし山しばし見ている

11月21日(土)

起き上がるときの具合で腰痛の程度を知りて今日も始る

南天のつぶらなる実に昨日(さくじつ)の雨のしずくがとまりかがやく

腰痛で歩いておれば道を這う毛虫踏むをもためらいており

棘とげとしたる枝先赤々とピラカンサの実が冬を知らせる

朝露に光れる青い草原をゴム長靴でゆっくり歩く

腰痛で歩いておれば舗道には釘が光れりゆっくり拾う

ようやくに色付いてきた伊豆の山今宵は秋の思いにひたる

11月20日(金)

腰痛をかばい動けばもろもろの他の筋肉が痛み始める

かくばかり重き体か腰痛になりて己の重たさを知る

腰痛となりてつくづく思いたりかくも重たき体支えし

人ごとに聞いておりしやかの日には友の腰痛この痛きこと

コルセット小指もむこと腰痛に良いということすぐ試みる

ギャラリーのわれの作品見ることが出来ず腰痛に病み伏しており

ギャラリーのわが作品の最終日腰痛につき行くこと出来ず

腰痛にわが作品の展示会行くことなしに今日で終われり

大きなる手をもて孫を守るごと八手の葉の先小さな花咲く

歌できぬときがわたしの鬱なりとうつ状態のバロメーターにす

11月19日(木)

腰痛に来たるに外科は休みというなんとか内科に頼み受診す

急患かナース忙(せわ)しく行き来するわれ延々と待たされている

生きているわれは確かに生きている痛みこらえて今生きている

座りても立ちも痛き腰痛よ待合室の椅子は低かり

アロエ咲き青海原の広がれる絵をしばし見る痛み忘れて

俳句など書かれた色紙飾りおり診察室で医師待ちおれば

医師座る診察室の机には赤児の顔の写真立てあり

冬に向きことさらみどり身にしみる大根畑を見て回りたり

ほんとうは痛いのだろう痛み止め効(き)きつつ作業はかどりてゆく

11月18日(水)

妻は病院われ腰痛で臥しおれば玄関口で誰か呼ぶ声

腰痛に寝込んでおれば玄関に誰か見知らぬ人が呼んでる

浄化槽見せてほしいと沢山の野菜を土産とわれに手渡す

浄化槽清掃業者格安にすると野菜を土産とよこす

すっぽりと傘に隠れてわが影が外灯のもとの舗道に映る

雨のなか迫るライトに照らされて木々が歓喜の輝き見せる

腰痛の身をかばいつつポストへの投函終えて今戻りたり

11月17日(火)

腰痛でそろりそろりと歩く道野菊咲きおり薊咲きおり

ゆつくりと歩めるわれに知らぬ人声かけくれるを立ち止まり聞く

こんなにも遠き道かもポストまで腰痛の身をゆつくり運ぶ

新年詠〆切りなればポストまで腰痛の身をゆっくり運ぶ

赤き尾を引く飛行機を夕暮の道に佇み見上げていたり

しまいには腰を叩きてもう少し励ましながらポストに向う

十五分の道ゆっくりと倍かけて往復したり腰痛の身で

11月16日(月)

韓国で実弾を撃つ日本人観光という安易のもとに

韓国で実弾を撃つツアーにて日本人の事故死の報道

韓国の室内射撃場火災事故死者大半が日本人客

排日の感情秘める韓国に実弾射撃ツアーに行くか

実弾の射撃ツアーか君たちは平和日本を築くのでなく

11月15日(日)

腰痛がいかに痛みを与えるもまだ息を吸い食事が出来る

腰痛に籠(こも)りておれば強き風庭木をくじかんばかりに揺する

年一度腰痛をまたぶり返すすぐに忘れて無茶をしたから

産みたての卵を持てばほの温(ぬく)くなにかやさしきこころわきくる

色づきし公孫樹(いちょう)を風が散したり両手を上げるごとき枝ぶり

夕ぐれの道をわが子と歩みおりすでに二人の影は映らず

夕空はあかねに焼けて静かなりすでにわれらの影は消え失せ

六千度の熱で焼けしと肋骨(あばらぼね)ばかりとなった原爆ドーム

11月14日(土)

色々なことに出合うさ生きること命の限り生き抜いてやれ

ヘルペスに腰痛つづき新聞の新年詠の締め切り迫る

民主でも自民でもなく一体(いったい)となってオバマの来日迎えん

詐欺女に比べてみれば市橋は一生懸命働いてたか

餌を待ち大騒ぎする鶏(にわとり)が今日も卵を二つ産みたり

自信なきことに挑戦するわれはすぐに体に異常が起きる

11月12日(木)

日に五首のノルマを課して作りおり今日はいかなる歌が浮かぶや

市橋の逮捕の陰に詐欺女、女子大生の事件隠れる

JAL再建予算削減基地問題市橋逮捕の報に霞すめり

新聞の新年詠の締切が迫りているが集らぬなり

初孫の歌を作りて新年の新聞詠とすることとする

11月11日(水)

未解決事件の続く今の世に市橋容疑者逮捕の一報

咽喉の刺とれた思いで見ていたり市橋容疑者逮捕の映像

市橋の逮捕の映像上段に森繁久弥氏逝去のテロップ

沖縄の基地問題で揺れいるに朝鮮南北銃撃の報

アドレスが消えてしまえば一瞬にわたしの頭も真白となる

ヘルペスで唇はれてその上にメールアドレス消えて戻らぬ

良いことを思えば必ず成就すが言霊(ことだま)なりと教えくれたり

11月10日(火)

一瞬に命をかけて生きている活きいきひかる百歳の歌

唇のはれているのはヘルペスと瞬時に言いてパソコンに向く

民主党その苦しみを知りたるや小泉改革のその苦しみを

最初から痛みに言及していたる小泉改革われは指示する

現実に直面をして苦しむや鳩山首相も長妻大臣も

パスワード忘れてメールが開かない一瞬にして絆(きずな)が消える

11月9日(月)

茎枯れてなお花咲かすコスモスのうすくれないの色が揺れてる

妻や子の買物待ちて駐車場の車の中で居眠りをする

貧困の出身ならば鳩山氏その友愛をいかになさるや

ありあまる金の力で神様にならんとするや鳩山首相

鳩山氏金では角栄止まりなり全てを捨てて出直したまえ

11月8日(日)

寒風に干されたほうが人間もスルメのごとく味が出るのか

千両が早くも赤き実をつけてわが家の庭は不況知らざり

その命いちずに守る華やかに菊人形となるも野菊も

伊豆なればまだもみじ葉は少なくて柿木ばかり燃え立ちている

燃え立てるおのが姿を見んとするごとく柿木川に傾く

詐欺事件多発している世の中よせめて政権正直であれ

11月7日(土)

目に見えぬものの力を信じたいたとえば月を丸くせしもの

ワクチンの数が足りぬと断られるこれも民主党政権ゆえか

三時間待ちたる村の診療所救患のため休診となる

医師一人村に唯一の診療所救急車に乗り医師いなくなる

孫の歌初孫の歌作れるを今年最大の喜びとする

未来に向き羽ばたくようにと思い込め初孫に未羽(みう)と名前を付ける

11月6日(火)

本日の予算委員会放映はなく断片のニュース流るる

参院の予算委員会明日の舛添さんの質問楽しみ

餌をやるわれに応えて鶏(にわとり)が今日も卵を二つ産みたり

ギャラリーにわれの色紙をかざらんと今10枚を書き終わりたり

ヤンキース松井優勝日本は九回土壇場巨人逆転

11月5日(木)

石破さんやはり鋭い質問を鳩山総理に投げかけている

共産党基地の問題の追及はやはり鋭く総理に迫る

高速の道路無料をする前に国の借金を減らしてほしい

野の草がみないっせいに輝けり命の水を貯えるごと

一本の道まっすぐに伸びている轍(わだち)の水を金色にして

啄木のこと(7)

11月4日(水)

山間の公民館にささやかな作品もちより文化の日祝う

障害を持つ子の作る壺ありて奥深きその力みなぎる

文化の日寒いさむいと炬燵いれ昼を独りでテレビ見ている

録画した予算委員会中継を炬燵に入りしみじみと見る

透析を帰りて妻がワクチンをしたと言いつつ炬燵に入る

11月3日(火)

飛行機が火を吹きごとき形にて飛行機雲を赤く染めおり

民主党の予算委員会の質問は政府に対し春風のごと

日本のアイデェンティテイーは何だろう加藤紘一氏しみじみと問う

民主党の勝利はわれらのオウンゴール加藤紘一氏しみじみと言う

与野党が逆転したる予算委員会野次少なくて聞きやすかった

インド洋給油普天間子供手当JALの再建見守りゆかん

啄木のこと

11月2日(月)

すっぽりと覆いし雲の影移り紅葉始る山が現る

平原に鳥の形の影映しゆっくり雲が流れていたり

両の手でロープをしっかり握るがにケーブルカーが山に上れり

紅葉する谷を見下ろしゆっくりとケーブルカーが下りてゆけり

両足をふんばっている形する送電線の遠き鉄塔

駒大の凋落または明大の躍進ありて伊勢路は熱(あつ)し

結局はダニエルによって決ったか出雲につづき伊勢の駅伝

目標を日大に向け各校が箱根路をまた熱く走らん

11月1日(日)

船底のわずかな空気わかちあい救出までの四日間ああ

泣きじゃくる娘二人をかかえ抱き生の喜び噛みしめている

半分はあきらめてたと転覆の船底に四日ひそみしいしこと

うれしいとただうれしいと言うばかり救出されし後の会見

裏山に夜盗のごとく猿群れてわれらの畑を窺がっている

裏山の木々を揺するはサルの群れ暗くなっても鳴声止まぬ

10月31日(土)

ウエブ上に天国ありと思いしにサイトの詐欺師殺人犯す

転覆の船の船底四日間息ひそめいて救出さるる

鳩山氏美辞麗句にて答弁を飾るがまるで具体性なし

雛壇に借猫のごと座れるか昔日のかげ長妻氏なし

灯り消す障子に明るく差し込めり今宵輝き十三夜の月

第一歌集『母胎』より(2)

大島噴火 長男の死

10月30日(金)

鍵盤にたましいこもるごとき音カンパネラ響くフジコ・フレミング

歌作り始めて知りしこと多し影に光の意味のあること

ひとつ散りまたひとつ咲きバラの花わが家の庭を明るくたもつ

庭隅に菊の花白く咲いているその静けさをわれは愛する

仏像を見つつ思いぬ人間の心はまるみを欲するらしき

すかいらーく全店なくなる

レストランに家族そろいて食事せし楽しかりにし子の小さき頃

第一歌集『母胎』より(1)

恩師 童貞  倒産 出稼ぎ  (つづく)

10月28日(水)

金運を運びくれるか黄の色のつわぶきがはや庭を飾れり

初孫(はつまご)が産声(うぶごえ)上げて生まれたりわれも新たな年にむかわん

孫の歌大いに歌え難産の末に生まれしこの孫の歌

山茶花がもう咲いている北向きの庭隅に真白きさざんかの花

畑には決して入らず分(ぶん)を知り野菊の花は土手に花垂る

税金を納められない者が増えじわじわ国を動かしている

10月27日(火)

神忘れ親を忘れし罪としてうつ病の刑われは受けしか

うつなどにかまっていられぬせめて今日自分のことにかまっていられぬ

外に出て大きく息を吸ってみる泡立ち草も生きているんだ

とげとげとするはやめよう葉の上でしずくがまるくまるくなってる

南天の実もまるいんだもちの木の実もまるいんだまるくなろうよ

うつうつと家にいないで外に出た雨上がりたる空に日が差す

長すぎる所信表明演説も野次少なきが救いであった

税金を多く納める方(かた)よりも少ない方(ほう)が威張る世なのか

10月26日(月)

うつむいて歩いておれば目鼻口穴のあいてる落葉に出会う

うつむいて歩くは止めよと穴あいた落葉が怒った顔をしている

みどり葉の影に隠れて櫨(はぜ)が早や恥ずかしそうな顔をのぞかす

「寝不足で選挙などには行けないわ」どうなっている妻の論理は

また一票捨てられるのかああわれの一票ますます値千金

庭すみの白菊の咲くあたりより昼こおろぎの声が聞える

いままさに午後の八時となりし時早や民主党の当選報ずる

10月25日(日)

結局はすべてまあるくおさまるさ月の写真を見ていて思う

自己保存本能ありてあるときは月欠けるごとうつ病となる

丈たかく伸びたるバラに一輪の花咲き庭を見下ろしている

米国の恐ろしさ知るコロンボのごとき刑事を生み出した国

結局は過去を見ているからだろう過ぎ去りたるは修正できぬ

結局は前だけなんだ修正も出直すことも前にしかなし

10月24日(土)

結局は全ての人の幸せを祈ることなり己(おの)がためにも

うつ病の本を買いたり自分にはまるで関係ないと思うも

うつ病を治すためには感じよとそうだ短歌は感じるものだ

うつうつとしたる気分を短歌にて癒しているや知らずしらずに

感じない歌が出来ない今われはうつ状態になっているのか

歌友(かゆう)よりススキの版画届きたりそでふりそうと題がつけられ

10月23日(金)

ギャーギャーと夜中の空を飛んでいる姿は美(は)しき鷺の鳴き声

暁の暗き外よりヒュールヒュール鹿鳴く声が今日も聞える

コマーシャルひとつが頭に繰り返す「やっぱりオーレはキクマサームネ」

水枯れる用水路へと枝伸ばし野菊の花の白きわまれり

金を呼ぶ色だと聞いて西側に今年は黄菊いっぱい植える

猪(いのしし)の害を逃(のが)れたサツマイモ葉は繁れども収穫少なし

10月22日(木) 「初孫」

破水して二十時間が経つなれどいまだ陣痛きざさぬという

初産(ういざん)の孫の顔見に急ぎおり帝王切開して出たる孫

天高く晴れわたりたりわが電車早よ走り行け孫の顔見ん

早く見ん孫の顔見ん伊豆急に新幹線にと乗り継いで行く

車窓より見ゆる土手にはカラスウリ赤きが垂れて光りを浴びる

孫の顔見んと電車に乗りており迢空の歌読み過ごしつつ

迢空の「倭をぐな」の歌読みつつ句読点ありしばし止(とど)まる

これがわが初孫(はつまご)なるかしみじみと握りたる指ひらきなどする

一日もいまだ経(た)たざる初孫よ新生児室にあくびなどする

何ゆえか突然泣き出す新生児これも生きゆく初仕事なり

汝(な)が母の命危ぶみ生(あ)れし孫年永く汝(な)の一世(ひとよ)を生きよ

破水して帝王切開せし嫁よ色白くなり横たわりおり

大きなる球形となり沈みゆくあたりを赤く染める夕日が

初孫の顔を見届け妻もわれも帰りの電車の中で眠れり

一日を過ぎたる孫はしみじみと眠りているか新生児室に

焼き付けし初孫の顔浮かべつつ今宵わたしも眠らんとする

10月21日(水)

総毛立つ思いに足をとどめたり青大将が足元にいる

電流を通し獣を防がんと田をも今年は電線回す

葉の落ちた梅の小枝にすずめ二羽止まりて秋の深まりを知る

漆黒となる稜線(りょうせん)を怒(いか)るがに赤く焼けたる雲が覆えり

白浜の歌会ありてみなさんが痛い体を運んでくれる

10月20日(火)

死にたいと年寄り言うがまだ若い加藤和彦きみまだ若い

童謡の夕焼け小焼け赤とんぼ加藤和彦今すでに亡き

デビュー曲「おらは死んじまった…」ほんとうに加藤和彦は死んでしまった

コスモスの花がゆれてるまるい顔背高のっぽの加藤和彦

芸能の世界が病んでいるようだやはりわれらもいけないんだよ

10月19日(月)

朝霧があたり一面覆いおり昨日のことを隠すごとくに

霧晴れて対岸ようやく現るるいまだもみじをせぬ伊豆の山

こうせつのつま恋コンサート壇上に笑顔の加藤和彦歌う

もう一度あのすばらしい愛を…の歌を歌ってくれよ

すっかりと葉を落したる梅の木がとげとげとして冬を迎える

朝夕の寒さ感じるころとなりことに野菊の白がまぶしい

丈(たけ)高く泡立ち草の囲む家このごろ家人の姿が見えぬ 

10月18日(日)

わがこころ真に正しくあるなれば宇宙動かん神も動かん

アフガンの悲惨なニュースの後にして髪の悩みのコマーシャルかよ

昨年と同じ場所なり烏瓜秋を深めて赤々垂るる

また訃報加藤和彦自死の報なにゆえかくも死を急ぐのか

戦争後死のことばかり思いおり三島由紀夫も太宰治も

10月17日(土)

子の通う施設の今日は運動会空よく晴れて木犀におう

電柱に桜の木にと結すばるるあまた万国旗ひもにはばたく

パン食いの競争となり口のみでなんとかビニール袋をつかむ

イチョウの木はや色づいて子供等の運動会に色取りそえる

運動場囲める木々の色づきて運動会を盛り上げくるる

もみじする頃となりたり山々が運動会の子らを見ている

10月16日(金)

宇宙より地球を見れば円満な水色美しき球体なのに

円満が神の最終目標か宇宙に浮かぶまろきもの見る

柿の実のごとくにならん円熟とともに渋さが消えてゆくなり

物体を球体とする力あり果(はたて)もしらぬ宇宙のちから

物体を造りし神の存在よまさに聖書はそこに始る

10月15日(木)

真顔にて本当らしきコマーシャルオレオレ詐欺に似たる思いす

台風であらかた落ちし柿の木の頂までも登りて取れり

物差しで叩いて聞きし幼き日思い出さるる故障のラジオ

足元に突然飛び立つ雉の声瞬時わたしを若者にする

夕ぐれの道をさまよう白き蝶垣根を越えて姿消したり

金木犀大きく繁り匂いたり心ゆたかな夕ぐれの道

10月14日(水)

一審で死刑二審で無期となり最高裁で死刑となれり

死刑無期結局死刑人間の最も苦しむ刑ならんこれ

乳母という根源的な存在が影響せしや太宰治に

雲ひとつない秋晴れよ風あるもむしろさわやか今日の一日

西空の雲がだんだん赤くなるこの瞬間にめぐり会いたり

10月13日(火)

死刑囚永山則夫は網走の冷たき海に散骨さるる

極寒の網走の地に捨てられし永山則夫四歳の折

独房で永山則夫は字を覚えマルクスドストエフスキー読みたり

創世記天地創造これこそが始りでありすべてと思う

天と地を神が造りし全能の成したることを信じゆくのみ

10月12日(月)

障害の子の好物と遠縁の信濃の地よりリンゴが届く

三郎はサクサクサクと食べているわれはもくもく信濃を思う

紫の芋とリンゴを煮て食べるわが昔より好物なもの

検査して悪くないのに痛いという生きてる証拠と言うは易(やす)しも

九十になれば機械も故障せんまして人間ならばなおさら

台風に葉は散りている柿の木のひとつところに実が三(みっ)つあり

枇杷の花咲き出したりと手帳には記(しる)しておきぬ今日の収穫

大菩薩峠の机竜之介残りし一子のその後はいかに

10月10日(土)

わが家のビニールハウスは散々に破られている台風の跡

根こそぎに引き抜かれたる白菜を再び土にもどしてやりぬ

猛々(たけだけ)と勝ち誇りたるごとく見ゆ台風のあとの泡立草は

太陽も月も地球も丸いなり完全無欠これら球体

台風の去りたる夜はいっせいに虫鳴く声を聞きつつ眠る

広々としたる宇宙に丸まるとした月があり太陽がある

いつからか部屋うちにいるコオロギが高いところで今日鳴き始む

10月9日(金)

柿の実のたくさんついた枝つかみ台風の手が揺すりにゆする

台風の過ぎたるあとの迷い風ふたたび庭の木々を揺らせり

枝先にひとつ咲いたるバラの花強風の中に散らず揺れいる

松の葉の青きがあまた散りており台風一過の道のあちこち

台風で葉を散らしたる梅の枝なにもなかったように動かぬ

10月8日(木)

雨は止み風もやみたりテレビでは強力台風の報道するが

木の枝に雨つぶ光りとどまれり命守らん祈りのごとく

沢蟹が鋏を開き止りたり縄張り荒らしのわれに向うと

秋雨(あきさめ)を思う存分吸い込んだ土に青々野菜芽を出す

わが家に鳩は来たらずヒヨドリがすでに縄張り決めているらし

山鳩が来りてわが家の畑(はた)荒す鳩は平和の使者にもあらず

午後七時伊豆半島は無風なりこのまま明日も過ぎてくれぬか

10月7日(水)

劫初(ごうしょ)にて天地創造なされたる主の御力(みちから)を信じ祈らん

水草に花が咲いたりむらさきのかわいい花がメダカの瓶に

人参も大根の芽もそれなりに形となった大きくなった

大根の双葉の上に大根のぎざぎざの葉が伸びてるのびてる

コスモスの葉がまた花が雨粒を受けては右に左に揺るる

大型の台風上陸するを聞き「おっかいなあ」と幼な児が言う

彼岸花咲いたる場所には不思議にも泡立草が生えてはこない

10月6日(火)

一粒の米も大事にしたるなり今日豊作を祝う祭す

鉄骨の屋根より高く伸びており泡立草のハウスとなりて

太陽も月も地球もみな丸いまるくまーるく生かされるんだ

雨粒をつけコスモスがゆれているうす桃色のコスモスの花

救急車去りてコスモスゆれている中川昭一氏はもういない 

10月5日(月)

朝もやのなかにまんまるお月さまぼんやりわが家の庭を照らせり

神仏の造りたまいしものを見よこのまんまるの満月を見よ

靄晴れて一面広がる青い空この青空よどこまでつづけ

青空にどこまで伸びる杉の木よ真直ぐまっすぐのびてゆこうよ

昨晩の雨に落ちたる椎の実が黒く小さな身を横たえる

未開なる十勝平野の開拓者伊豆出身の依田勉三(よだべんぞう)翁

いまだ見ぬ帯広の地に眠るのか中城ふみ子中川昭一

10月4日(日)

雨の音雷の音荒れる昼ひとり籠りて本を読み継ぐ

蜘蛛の巣に銀のしずくがかかれるを主(ぬし)は静かに眺めていたり

検査してどこも悪くはないと言う痛いいたいと言ういかにせん

診療所大病院と行き行けど検査結果は皆同じなり

こうなると心に決めよ信念があれば必ずそうなるんだよ

離れ住む者に向いて安全を祈れば必ず通じるという

10月3日(土)

朝(あした)から咳鼻水は治まりぬ風邪をひくのは久しぶりなり

歌友(かゆう)より歌集が今日も届きたり読むに追われて礼状遅れる

ギャラリーの三周年の記念日に何か話せと友に言われる

スマトラ沖地震の映像悲惨なり東海地震恐れつつ見る

大雨の予想の今夜オリンピックの招致結果を気にかけて寝る

10月2日(金)

核を持って核の抑止をすると言うインド人またパキスタン人

軍事的優位を誇り戦争の抑止をするか中国人も

揺さぶってゆさぶっている鶏頭の影が畳に映り乱るる

彼岸花枯れたる畑(はた)に黄の色となりてあわだち草が現る

よく晴れた一日だった西空の雲が黄色に染まって暮れる

10月1日(木)

まだ少し風邪ぎみなればのんびりと「おくりびと」など見ていたりけり

日本に生れてすでに六十余年納棺師なることば知らざりし

遠い地のごとくに見つつ「おくりびと」涙を流す死者映るたび

ときどきに激しく咳が襲いくる「大丈夫なの」と妻が問うほど

裏山に秋になりたる鹿の声細く長くも闇に聞える

南方のサモアで起きし地震にて下田も津波の警報が出る

鼻みずが止まらないので半日でティッシュペーパー一箱終る