今日の短歌NO.12
 わたしの歌歴(後藤人徳)
 昭和59年「賀茂短歌会」入会。現在編集発行人。
  歌集:「母胎」、「祈り」「わが家の天使」

以下に紹介します作品は、作ったばかりのものをそのまま書いています。推敲の手があまり入っていません。未完成の部分が多々あると思いますが、参考にしてもらえれば幸いです。...作者より
この先は楽観論に基いて生きゆくことを始めんとする

短歌は、三十一音からなる小さな世界です。その中に自分の思いを込めます。ですから、時間はなかなか織り込めない。今の一瞬、一瞬を歌うしかないのではないでしょうか。そう思います。また、そのように作っています。

平成20年今日の短歌NO.3 平成21年今日の短歌NO.1 平成21年今日の短歌NO.2 平成21年今日の短歌NO.3

 平成21年今日の短歌NO.4 平成22年今日の短歌NO.1 平成22年今日の短歌NO.2 平成22年今日の短歌NO.3

短歌と私:高野公彦 田井安曇 五島美代子 五島 茂 岡野弘彦 田谷 鋭 塚本邦雄 土岐善麿 福島泰樹 前 登志夫 前川佐美雄 安永蕗子

短歌鑑賞:石川啄木(1) 大野誠夫 塚本邦雄 岡井 隆 前田夕暮 上田三四二(1) 上田三四二(2) 宮 柊二 斎藤茂吉(1) 斎藤茂吉(2) 

斎藤茂吉(3)

短歌鑑賞(発見ということ)(1)


(注)近作は二重投稿のために掲載を遠慮します

12月31日(木)

19年2月8日(木)

耐えて咲く花かと思う遅咲きのわが家の庭の白梅の花

いかほどの蜜があるのかわが庭の梅を命の糧としている

川中に鷺うずくまるごとく見え近づきたれば乾きたる石

12月30日(水)

19年2月7日(水)

紙幣より硬貨を好む自販機でジュースを買うを覚えたる子は

二十四の息子かわいや自販機に硬貨を入れて出ると喜ぶ

なるようにしかならないがこれだけは保ち生きんと決めしことあり

12月29日(火)

19年2月6日(火)

施設へと子の去りしあと寂しさは悔やむこころと共に湧きくる

なぜもっとわが子を愛してやれんかと施設に戻せしあとに悔い湧く

明け方の空にまあるき形して月輝けり風は荒(すさ)びて

絮(わた)すべて飛ばし尽くしてすすきたちますます枯れてゆくばかりなり

冬なれば枯れし蔓より下がりおり莢エンドウに似たる藤の実

12月28日(月)

19年2月5日(月)

子を連れて外出するは休日を妻に息抜きさせるためなり

廃屋の庭に咲きたる白梅の伸び々のびし枝を見上げる

柿の木に何もなけれどヒヨドリは必ず枝に止まり飛び立つ

緑の尾輝かせつつ雄雉が光のなかをゆっくりと飛ぶ

枯れるのは完成ならんわれもまた夢の枯野を駆けめぐりたし

12月27日(日)

19年2月4日(日)

飛び出せる息子追いかけ六十四になりたるわれの息切れるなり

節分に生れたわが子三郎は鬼にはあらずわが家の宝

男性が機械のごとく働くを世の女性等は知るや知らぬや

福島や辻本議員の物言いを感情的に嫌うわたしは


12月26日(土)

19年2月1日(木)

朝(あした)よりあたりは靄に包まれて一月最後のひと日始まる

雲の無い空より激しく地に吹いて再び彼方へ風は去りたり

強風の吹きすさびたる海原に止むにやまれず白波が立つ

歌なんぞ止めてしまえと文明は一喝をせんわが躊躇(ためら)いに

深深と更けゆく夜半に爆音をたて飛行機の行くが聞える

12月25日(金)

19年1月31日(水)

分るとか出来るではなく黙々と一日一日するが仕事だ

帰宅した子が今週も真夜中にテレビ見ている音が聞こえる

施設にてみかんをむくを覚えてか籠のみかんがみなむかれてる

億光年かかり届きし光あり弥勒菩薩のごときかがやき

12月24日(木)

19年1月30日(火)

わが子なりまずわが子なり障害があるかないかはまず別にして

障害というレッテルを子に貼りてそれにこだわるわれと思うよ

自閉児と付けねば歌が作れんかわが子の歌がつくれないのか

雲間より光の束が幾筋もわれを目がけてふり注いでる

静かなる心を持てば砂浜を濡らして波がおだやかに引く

12月23日(水)

19年1月29日(月)

朝焼けの空にまわるく群れつどうカラスの声は山に響けり

忠魂の文字を彫られし碑(いしぶみ)が真東に向き朝日を受ける

鶏がカラスが犬が鳴き出して東の空が徐々に明らむ

節分の仕度している寺庭に紅梅の花満開となる

12月22日(火)

19年1月28日(日)

霜解けのしずくをまとい枯すすきいま日差し受け輝いている

金おろし帰る小道に写ってるわが影われの前を歩いて

わが家は紅梅やっと一分咲き白梅まだまだ堅きままにて

寒い日が続きようやく紅梅の花がほころぶわが家の庭に

冬山を覆える霧は日差し受けひかりの粒子のように輝く

清浄の霜の枯野に光さしいま復活の歓喜聞こえる

12月21日(月)

19年1月26日(金)

雲の間のわずかな空に日は移りいまいっときの光差し来る

如月の開花の前の河津さくらいま西日受け枝輝けり

五時告げるチャイム響びかう街空は茜の色にいま染まりおり

何歳か何という名か炭のごと焼かれていたり原爆により

12月20日(日)

19年1月19日(金)

傷付きしカモメが一羽汚れいて潮の満ち来る浜辺に立てり

障害者自立支援と云う言葉その実体と乖離している

障害者自立支援の法律が障害の子の負担を増やす

施設にて無事に暮してゆけることわれの望みは自立ではない

障害者施設にわが子を預けおりわれも妻にもなすことがあり

自立にはほど遠けれど施設にて暮らすわが子に喜びよあれ

12月19日(土)

19年1月18日(木)

久々の雨にぬれたる山々は煙を立てるごとく霧湧く

乾きたる河原の石に雨が降り皆いちように輝いている

群れをなす雀 番(つがい)のヒヨドリとそれぞれ生きるスタイルを持つ

霧雨が銀杏の枝を濡らしゆきしずくは光る小枝こえだに

久々の雨が晴れたるもみじ山湯気のごとくに霧立ち上る

透析を終えたる妻は炬燵にてアンモナイトのごとく眠むる

12月18日(金)

19年1月17日(水)

結局はあれもこれもと欲ばりて書籍書類のなかに埋まる

わずかなる土地を耕し東京の子らに白菜大根送る

夕暮れの光をあびて遊覧船ゆっくり下田の港をめぐる

子の嫁は中国人の姑娘(クーニャン)でしっかり者でチャーミングです

夕光を受けて黄金(こがね)となる波が今日一日を惜しみ寄せくる

12月17日(木)

19年1月16日(火)

施設より毎週戻る子のために土日を妻もわれも費やす

海沿いの小道に植えし芝桜春待ちかねてちらほら咲けり

牧水がその燈台を訪いしという神子元島に灯りが点る

西空に龍の形の黒雲が首上げるなり赤みを帯びて

12月16日(水)

19年1月15日(月)

ようやくに今日の光が差して来る一月十四日午前九時半

河原には枯れたるものの多くしてただ瀬の音を聞くばかりなり

どんど焼きの炎を囲む子供らの赤き頬から歓声上がる

燃え上がる炎のなかにめいめいがダルマを投げる御札を投げる

竹爆ぜる音山里にこだましてどんどの炎燃えさかりゆく

燃え盛るどんどの炎を遠巻きにしばし声なく見つめていたり

12月15日(火)

19年1月14日(日)

いち早く光求めて鳴き出すか雄鶏(おんどり)の声夜半に聞こえる

葉の落ちし木蓮の枝毛衣(けごろも)をまとう莟が銀に輝く

12月14日(月)

19年1月13日(土)

いつよりか雲の隙間に現われて砕かれしごとく光差しくる

なにもない時こそ歌を作ろうよ生きてることの証(あかし)となして

なにごともなくて過ぎたる今日の日よなにごともないことの幸せ

12月13日(日)

19年1月12日(金)

雲覆海の彼方に光あり神子元島(みこもとじま)がくっきり浮ぶ

沖合いの雲低ければ光うけ雪山(ゆきやま)のごと輝いている

冬の日は早くも暮れて夜となり街の明りのまぶしく感ず

山もみな闇に覆われ暗きなか青くともれる信号ひとつ

12月12日(土)

19年1月11日(木)

昨日の雲は何処(いずこ)に去りたるや青空のもと深く息すう

直接に受けたる恩を直接に返したことがあっただろうか

木炭の燃えるがごとき色をなす漆黒の山日没の空

一日に一度は空を見上げてる曇っていても雨になっても

雲厚く覆える空の見てごらん光の筋が海に注ぐよ

大空に雲あればこそ日の光そのひと筋が神のごとしも

12月11日(金)

2月23日(水)(2)

いずこへと飛び立たんとす 胡蝶蘭 希望あふれる旅立ちよあれ

純白の胡蝶蘭舞え 満月の光を浴びる 雪原の上を

胡蝶蘭咲きたる朝は なにとなく 希望のようなものの湧きくる

12月10日(木)

2月23日(水)(1)

信号が青に変わるも 気が付かず立っていました よく晴れた朝

いいんだよ いいさいいいい いいんだよ何も忘れな 波のささやく

会計は公(おおやけ)のもの 金銭は すべからく世に関わるゆえに

満月の冴える光に照らされて わが内に咲く 胡蝶蘭舞う

12月9日(水)

2月21日(月)(2)

薬物を投与されずに大人しく施設で暮らしてくれるを祈る

わたくしの果である歌はどうだろう 「木はその果にて知らるる」と言う

風強く寄せくる波に巻かれたる砂の一粒 光(ひかり)を返す

12月8日(火)

2月22日(火)(1)

生活のための仕事か 仕事のための生活か 分からなくなる

楽々とどうにかの差は大きいが 生き方なんだ 生きるとは何(なに)

寝違えて首が回らぬ 借金で首が回らぬたとえもあるが

寒風のすさぶ夜空に 生き生きと透き輝ける 今宵満月

12月7日(月)

2月21日(月)(1)

三郎は施設に戻る日なんだが 出勤時間になっても起きない

今週はなんだか元気がなかったが 施設で何かあったのだろうか

もの言えぬ三郎なれば 母親にキッスをしたりして 叱られる

おトイレにおなかがすいたお買い物おうちにお風呂 三郎の手話

12月6日(日)

2月20日(日)(2)

白梅の花びらいくつ浮かんでる 水たまりにはいくつもの空

ハクバイは購買のこと 購買の薄買のこと 節約のこと

マチス作「夢」
の女性は 眠ってる アンモナイトの化石のように

風のない冬の一日 終わらんとして西空は 黄色に染まる

いつどこで作りしものか記憶なし 切傷ひとつ 風呂で見つける

12月5日(土)

2月20日(日)(1)

母親の笑いが好きで わが息子 妻が笑えば遅れて笑う

平和とは美しいもの 美しい たとえば絵画たとえば音楽

神といい人間という議論より 二千五歳のキリストの歳(とし)

憂鬱なふりしてるんだ 曇り空 君本来の姿になれよ

12月4日(金)

19年1月25日(木)

花遅き梅の枝枝霜どけのしずくをつけて輝いている

単純に光を返し輝ける凪ぎたる海の静かなる音

海沿いに咲きたる椿よく見れば花もその葉もひび割れている

12月3日(木)

19年1月23日(火)

どう見られるかでなくしてどうするかそのまんま東氏今後問われる

自販機でジュースを買うを覚えた子紙幣でなくて硬貨欲しがる

12月2日(水)

19年1月21日(日)

一面に雲の覆える空にして厚いところあり薄いところあり

乾きたる河原の石にかすかなる鳴き声たてる鶺鴒一羽

雲覆う空にはあれど夜のあける東の山の端(は)明るみている

黒雲の低く覆える空の端(はし)うすき雲あり日はいまだなく

12月1日(火)

24年2月19日(土)(2)

忘られぬもののひとつに 単純な ルオーの黒きキリストの顔

ゲルニカは何を描くや 悲しみは 心のなかに見る外はなし

風に乗りふわりふわりと飛ぶ鳶が 今日の獲物を 鋭く狙う

曇りたる空が 必死に晴れんとす 低き黒雲流れ速まる