今日の短歌NO.14
 わたしの歌歴(後藤人徳)
 昭和59年「賀茂短歌会」入会。現在編集発行人。
  歌集:「母胎」、「祈り」「わが家の天使」

以下に紹介します作品は、作ったばかりのものをそのまま書いています。推敲の手があまり入っていません。未完成の部分が多々あると思いますが、参考にしてもらえれば幸いです。...作者より
この先は楽観論に基いて生きゆくことを始めんとする

短歌は、三十一音からなる小さな世界です。その中に自分の思いを込めます。ですから、時間はなかなか織り込めない。今の一瞬、一瞬を歌うしかないのではないでしょうか。そう思います。また、そのように作っています。

平成20年今日の短歌NO.3 平成21年今日の短歌NO.1 平成21年今日の短歌NO.2 平成21年今日の短歌NO.3

 平成21年今日の短歌NO.4 平成22年今日の短歌NO.1 平成22年今日の短歌NO.2 平成22年今日の短歌NO.3

短歌と私:高野公彦 田井安曇 五島美代子 五島 茂 岡野弘彦 田谷 鋭 塚本邦雄 土岐善麿 福島泰樹 前 登志夫 前川佐美雄 安永蕗子

短歌鑑賞:石川啄木(1) 大野誠夫 塚本邦雄 岡井 隆 前田夕暮 上田三四二(1) 上田三四二(2) 宮 柊二 斎藤茂吉(1) 斎藤茂吉(2) 

斎藤茂吉(3)

短歌鑑賞(発見ということ)(1)


(注)近作は二重投稿のために掲載を遠慮します

2月29日(月)

5月10日(木)

突然の電話の知らせ20首詠啄木コンクールに入賞したり

一握の砂こそわれの短歌なり涙拭(ぬぐ)わず示すその砂

砂金でも宝石でもなきただの砂取るに足らないひとにぎりの砂

遊びでも娯楽でもなきわが作歌生きる証(あかし)の苦行にも似る

2月28日(日)

5月9日(水)

磔刑(たっけい)をむしろ喜び逝きたるやただ真実に生きなんとして

給料を払いたきため遅らせるわれは三ヶ月社長は五ヶ月

三ヶ月遅れとなるも手にしたる給料袋を持ちて帰宅す

ジャスミンの香り漂う街中は黒船祭り一色となる

2月27日(土)

5月8日(火)

嘘つきと己を歌う啄木のその真実が迫り来る夜

楽器なく三十一音あるのみの短歌に託す真(しん)の心を

美辞麗句並べる余裕などはなし直の思いを述べるだけです

2月26日(金)

5月7日(月)

音たてて池に沈みし石つぶて意志持つごとく石のつぶやく

ぽつぽつと音たて池に沈みゆくもの言えぬ子の投げるその石

二十四となるに言葉を拒む子が感情込めるぎこちなき手話に

2月25日(木)

5月5日(土)

新緑に覆われている山肌に竹林が増え枯葉を降らす

証明用写真撮りたりしみじみとまぎれなきわれ六十四歳(ろくじゅうしさい)

障害の子が四十となりしときわれの齢(よわい)は八十となる

れんげ草生命力を誇りしも雑草に負けあまり目立たず

2月24日(水)

5月2日(水)

連休の五月初めの混みあえる街に駐車の場所を求める

駐車する場所を求めて街中をぐるぐる回る銀行に来て

渋滞の道反対の方向へ転回刹那車接近

2月23日(火)

5月1日(火)

梅の木はその円(つぶ)ら実を葉の陰に太らせている明日より五月

初夏(はつなつ)の光りとなりて風もなし四月最後の一日となる

ハナミズキうす紅(くれない)の花びらが開きもうじき黒船祭り

2月22日(月)

4月30日(月)

田植え待つ水田(みずた)は澄みて静かなり日を映しては鋭く光る

水田に小さき苗が整然と植えられてゆく機械によりて

青空に雲ひとつなく晴れた日よ鯉幟みな尾を垂れている

行楽の車激しきく走るなか乗合バスに人影はなし

2月21日(日)

4月29日(日)

ベランダに小さき鯉の幟あり洗濯物もともに泳げり

ものすごき風吹く今日は鯉幟その全身をくねらせている

雷(かみなり)を伴い降りし雨やみて新緑の山に霧昇りゆく

2月20日(土)

4月28日(土)

どうなるか先のことなど分らないほんとのところどうなるのだろう

歌一首作ってそれがどうなるやほんとのことなど詠えるだろうか

なにもなきただの三十一音のよるべなきこのわが短詩型

2月19日(金)

4月27日(金)

春なんだ生き返るんだしなやかに柿の若葉のごとき復活

趣味なんてとんでもないよ生きること必至に生きるそれが短歌だ

カラオケのほうがよっぽど楽しいよ短歌というは遊びではない

2月18日(木)

4月24日(火)

沢山に取れた竹の子ブロッコリアスパラガスも入れて子に送る

どうしても施設に戻る日の朝は自棄(やけ)食いをするなおも吐きつつ

施設より帰りしわが子早速に散歩をせんとわれの手をひく

一生は苦しみごとの連続と思えど子よりは除きやりたし

2月17日(水)

4月22日(日)

葉桜となりたるもとにつつじ咲きハナミズキ咲き祭り近づく

春にはやくれない色にもみじしてやわらかき葉が風に吹かれる

削減の市議会議員選挙明日 お願いするは市民のほうだ

2月16日(火)

4月21日(土)

しなくてはならぬと思うことひとつ頭にありて今日もなし得ず

啄木はこれが短歌と示したり取るに足らざる一握の砂

われもまた取るに足らざる一握の砂を握りて示さんとする

頬ぬらす涙ぬぐわず一握の砂を示さんわれの短歌と

2月15日(日)

4月19日(木)

銃もなく金もなくただ一行の歌あるのみの独立よあれ

個の時代と言わんばかりにオートバイ爆音たててわれを抜き去る

雑草の花の可憐さ愛でたるは六十歳を過ぎしある朝

石楠花の群生をする丘に立ち遠く真白き富士を見ている

2月14日(土)

4月15日(日)

希望というもののかたちか新緑が全山覆い輝いている

廃業のビニールハウスの切れ端が羽ばたくごとき音を立ており

一ヶ月費やし打ちたるデーターが一瞬に消え復帰出来ない

こんなこともういいかげんいいだろう年金暮らしでいいではないか

早朝の公園歩けば犬連れる老人に会う一人また一人

2月13日(金)

4月11日(水)

いい歌を作らんとするこの心卑しくないかと問う声がする

鶏のその鳴き声を聞き分けて妻は何やら声をかけおり

わが性(さが)は商家の生まれのためなるや人に合わせて話すこの性

2月12日(木)

4月10日(火)

吹き荒れし夜の名残の水たまり澄みたる朝の光を映す

雨降りて川瀬の音の響かうを切り裂くごとき雉の一声

若者よ空を見上げよ枇杷の葉の若葉そろいて伸びゆくように

2月11日(水)

4月9日(月)

はかなげに咲く花なるかさくら花つくづくと見るおしむがに見る

霧晴れて桜の花の多(さわ)に咲くうす紅色(べにいろ)の山現れぬ

霧まとう春の山々紅(くれない)の色散りばめる桜咲かせて

うす日さし霧消えてゆく遠山に名残のごとく桜咲きいる

柿銀杏若葉となるもわが庭の百日紅はいまだ芽吹かず

2月10日(火)

4月8日(日)

子が逝きて二十五年が過ぎにけり思えば若葉の4月であった

真夜中のわが家明るく人集い亡くなりし子が横になりおり

憂いもち歩めるわれを励ますと川瀬が音をたててながるる

憂い持ち俯くわれを励ますと小薮(こやぶ)のなかにうぐいすが鳴く

柿の葉はいまだ幼くぶり返す寒さを受けてちぢこまりいる

やわらかき葉におおわるる山々よその彼方なり君の住む町

2月9日(月)

4月7日(土)

道隅(みちすみ)に一円硬貨ためらいしのちに拾えり軽き一円

穴開きし巣を修復すつばめらは今年もわが家で子を育てるや

夕日受け流れる川は金色の帯となりたり今日のよき日に

柿の木に若葉が戻り銀杏(いちょう)にも活気出(い)で来しさあがんばろう

2月8日(月)

4月6日(金)

潮風をいっぱいに受け泳いでる今年初めて鯉のぼり見る

会社とは一族のものかリストラに社員はあまた退職をする

経営の失敗あまた転化されリストラされる社員はあまた

(注)ここの会社は、特定の会社をうたっているのではありません。

2月7日(日)

4月5日(木)

極まれるものの寒さか花咲けば必ず見舞う花冷えのこと

言葉なく二十四年を生きし子のことばとならぬ心根の声

雲覆う空のもとには冷えびえと咲き極まりて桜枝垂(しだ)れる

ひっそりと枝垂れ桜の咲く寺に朝の勤めの庭を掃く音

川岸に桜植えしは散りしのち再び水面(みなも)にさくら見るため

2月6日()

4月4日(水)

千年を経たる短歌の瑞々しそのみなもとは常に清しく

このごろの風の強さよ人類の環境破壊をわれは恐るる

温度計二十四度を上回る四月になったばかりというに

2月5日(金)

4月1日(日)

枯れ枝に柿の若葉が萌え出(い)でて春本番を迎えたるなり

その力出し尽くし見よ遅咲きか早咲きなるかわが知らぬこと

二分咲きの桜の蕾紅色に染まり咲かんと力漲る

2月4日(木)

3月31日(土)

あまたなる椿の花を咲かせおり庭は華やぐ廃屋(はいおく)にして

皮剥(は)ぐと山に植えたる桜の木今は山肌をけぶり染めおり

山霧が立ち昇る後遠山はすでに桜の咲きけぶりおり

六十の齢(よわい)をもちてひと世とす染井吉野は老い初(そ)めにけり

その光ガラスの如く感じつつ染井吉野の夜道を歩む

剃刀の刃のごと光る水溜り夜半(よわ)の車の車輪に掛ける

2月3日(水)

3月30日(金)

過去を捨て惨めな今も捨て去って未来描かん未来見詰めん

小椋佳「愛燦燦」を歌いおり「人生てええ嬉しいものですね」

〆切りの四日を過ぎて届きたり九十三歳の友の歌稿は

風邪ひくと元気な文字で書かれおり九十三歳の友の歌稿は

2月2日(火)

3月28日(水) 

災害の映像われは好まざりたとえば老人の食事風景

海沿いのホテルの前の道路には渡るすきなき車の流れ

ロープ張り洗濯バサミ吊るされる若布干し場の夕べを歩む

波の上に遊ぶ夕光もろともに巻き込みながら崩れゆくなり

2月1日(月)

3月26日(月)

荒びたる雨風(あめかぜ)止めばうぐいすがのどかな声でまた鳴き始む

春嵐過ぎたる庭に何ごともなかりしごとく雀降り立つ

春嵐なごりの川は濁流となり川幅を広げ流るる

歌出来ぬ時こそ心が死んでいる感じる心が死んでいるのだ

地の底に潜むマグマのごとくにも歌の心よ噴出してみよ